旧iTV、既存番組の行く末は?

6日、首相府報道局が1000億バーツに上る権利料未払い分と違約金の支払いを求めていた民間放送局「iTV」の事業免許取り消しを閣議が承認、同報道局は「8日午前零時からiTVの放送を一時中止する」と発表した。
しかし、翌7日、国の法律専門機関、法令委員会が「首相府報道局が同局の経営を引き継ぐことが可能」と判断、放送事業の継続は可能となった。
同局はそもそも91年の軍事クーデター、92年5月、流血の事態に及んだ民主化弾圧事件の際、既存テレビ局が軍のいいなりだったとの反省から報道専門局として95年に誕生したタイ初の独立放送局だった。
その後、タクシン前首相が支配するシン・コーポレーションが大株主となるなど、政治に翻弄されてきた放送局とも言えるだろう。
筆者にとっては、iTVは比較的よく見ていた局だ。というのも同局が毎週放送している報道番組「トート・ラハット(直訳すれば「暗号を解読する」の意)」を楽しみにしていたためだ。
同番組は社会問題の背景などを探り、不正などの実態を暴くというものだ。MCOT(9チャンネル)が放送していた、同ジャンルの番組「ルム・ダム(ブラック・ホールの意)」も以前はお気に入りだったが、年明けから、タイトルを変更し、ソフト路線に走ってしまったため、「トート・ラハット」への期待をますます高めていた矢先の、同放送中止決定だった。
02年、修士論文作成のため、iTVを訪問したことがある。当時タイで盛り上がっていた日本大衆文化のタイでの普及状況や影響などをテーマとしていたため、日本のテレビ・ドラマを数多く放送していたiTVの担当者にインタビューするのが目的だった。その際の雑談で、「『トート・ラハット』が好きなんですよ」と筆者が話すと、同担当者は「同番組の製作者は命がけでやってます」と回答。その言葉が今でも印象に残っている。
タイの放送局ではバラエティー・歌番組などが多く、ハードな社会派報道番組はあまり多くない。今後もトート・ラハットが継続して放送されることを熱望しているが、今のところ予断を許さない状況だ。
いずれにせよ、iTVから名称変更した「TITV」が、どのような変化を遂げるかは気になるところだ。【written by 井田】


