1/22/2007

米国の前首相支援を恐れる軍事政権

 シンガポールの副首相がタクシン前首相と会談したことから、タイの軍事政権は怒り、同国に外交関係が悪化すると警告した。シンガポールは会談の理由を明らかにしていないが、同国にとっては、前首相から直接、話を聞きたいことがいくつもあるだろう。例えば、自国の戦略的企業であるテマセック・ホールディングスは、前首相からシン・コーポレーションを733億バーツもの金額で買収したが、軍事政権と前首相の諍いの狭間で将来が見えず、気が気でないはずだ。

 軍政は、シンガポールとの関係が悪くなると、前首相が次の渡航先に予定していた日本に対して、政府要人による会談は避けてほしいと事前に申し入れをした。日本の閣僚が会えば、タイはシンガポールに見せたのと同じ対応を日本にもしなければならなくなる。経済・外交関係が限定的なシンガポールと違って、日本との関係は緊密で、外交悪化に影響は大きい。両国修好120周年記念にも影を落とすだろう。

 その辺り、日本政府は姑息だ。タイ政府からそのような申し入れが正式にあれば、あえて両国の関係が悪くなるようなことはしない。

 しかし、内政問題を外交問題に発展させた軍政は、狡猾な前首相にまんまと乗せられたのかもしれない。タクシン前首相が引っ張り出そうとしているのは、シンガポールでも日本でもない、米国だからだ。

 前首相の弁護士は否定しているが、マスコミ報道では、前首相が米国共和党政権に近いロビー活動家と香港で契約を交わしたとされる。これが本当であれば、米国政府が動き出すことは間違いない。前首相はあくまで選挙で戦おうとした人で、武力を持った軍のクーデターで政権を奪われた。現状ではタイに帰国できず、希望をすれば、民主主義の守護者を自認する米国が亡命を受け入れてくれるはずだ。

 亡命までしなくても、ブッシュ大統領、あるいはライス国務長官あたりが会談に応じるだろう。そうなれば、軍事政権は面目を失う。米国は、タイが非難する相手としては大きすぎる。

 軍政は、ここに来て急に前首相の帰国のための条件を言い始めた。どこまでが真意かわからないが、米国が動き出すまでに、何とか前首相の動きを止めたいと思っているはずだ。しかし、軍政側にとって前首相は未だに軍事政権を転覆させかねない国民の高い人気と人的とワークを維持しており、いくら国内とはいえ、その行動を黙ってみていることはできないだろう。前首相は、今後は一切政治活動をしないとCNNに語ったが、国民に直接約束した訳ではなく、信じることはできない。それよりも、前首相の帰国で親タクシン派が勢いづく方が怖い。

 一方、前首相にしてみれば、このままでは巨万の財産が無くなりかねない。国民人気という力があるうちに、軍政、反タクシン派との和解をしてしまいたいところだろう。そのために前首相が出来ることは外圧を利用するだけだ。今後、益々外国での活動を活発にしていくだろう。【written by 水谷】

6 件のコメント:

1/23/2007 12:35 午前 に投稿, 匿名 さんは書きました...

タイ政府は、タクシン元首相の帰国を認める方向になったようですね。
ソンティ・スラユットの暫定政権は弱い政権です。
南タイのテロは激化し、イサーンや北部の学校放火は続く、経済政策で失敗し、タクシンの不正が暴くこともできなければ、1年後の選挙が終わればお払い箱ですからね。
アメリカの外圧を利用しなくても、やがて暫定政権側のオウンゴール(内政の失敗)で、親タクシン、タクシン院政政権ができますよ。

 
1/23/2007 6:48 午前 に投稿, 匿名 さんは書きました...

クーデター発生時にタクシンはアメリカにいたが、アメリカも国連もタクシンに手をさしのべなかった。
アメリカは、イギリスの利権テリトリーに手を出さないと思う。
タクシンのやった金権政治は、本当にタイの国民、特に貧困層のためになったのだろうか。タクシンが売国奴だという見方は、間違っているのだろうか。
いずれ、歴史が答えを出すだろう。

 
1/23/2007 5:08 午後 に投稿, 匿名 さんは書きました...

金権政治であろうと、賄賂政治であろうと、タクシン首相のバラマキ、消費刺激の経済政策は、乗数効果を通じて、貧困層にも恩恵が及んだと思います。

現在の経済学では、全ての国でマインド・インフレを維持しながら、経済が拡大して行くことを前提に、国債の利払いや社会福祉の支出などが行われていますから、タクシン・ノミックスは現実的な政策だったと思います。

「セッタキット・ポー・ピヤン」(本当にこんな政策が機能するのかと思いますが)などを掲げる暫定政権よりは、まともな経済運営だと思います。

 
1/23/2007 9:49 午後 に投稿, 匿名 さんは書きました...

バン週様 内容とは関係のないお願いです.日刊バン週のメールマガジンでは,ブログのリンク先を,http://www.bangkokshuho.com/blog/ とされていますが,この場合,最近(2007年になってから)「アクセスが認められていません」と表示されます.http://www.bangkokshuho.com/blog/index.htmlにすると,アクセスできます.理由はわかりませんが,後者をリンク先にしていただけると幸いです.ちなみに,私はTRUEでアクセスしています.

 
1/24/2007 7:10 午後 に投稿, ??????????????±??±??¨?????¨ さんは書きました...

ご指摘ありがとうございました。
リンク先URLを
http://www.bangkokshuho.com/blog/index.html
と改正いたしました。

 
1/27/2007 10:09 午後 に投稿, 匿名 さんは書きました...

>金権政治であろうと、賄賂政治であろうと、タクシン首相のバラマキ、消費刺激の経済政策は、乗数効果を通じて、貧困層にも恩恵が及んだと思います。

ところが現実は、日本でもアメリカでも、そうやって極端な格差社会が生まれてきました。
そればかりか、企業も国民の資産も外国の大資本においしいところをとられてしまいました。
欧米の大資本の鞄持ちだけが、勝ち組と煽てられていますが、役目が終わればお払い箱でしょう。
「自分の国や仲間たちを売るような人間を誰が信用するでしょうか。」といった映画が上映されていますね。

 

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