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■外務省、前首相の外交旅券を無効化 ■外務省、前首相の外交旅券を無効化 愛国党党首代行 「同情を集めるだけ」 サワニット副外相は今月10日、昨年12月31日よりタクシン前首相とポチャマン夫人の外交旅券を無効としたことを明らかにした。また、在タイ公館にはすでに「前首相の出入国・滞在に特別の便宜を図る必要はない」と通知したとのことだ。同副外相はその理由として、「海外での前首相の政治的動きが顕著であるため」と説明している。 さらに、11日にはアセアン首脳会議に出席するためフィリピンを訪問していたニット外相が、中国の李肇星外相にタクシン前首相と夫人の外交旅券を無効としたことを報告した(11日の時点で前首相は香港に滞在中)。 今回の措置に対して、チャトゥロン・タイ愛国党党首代行は、「そんなことをすれば、タクシン前首相に同情が集まるだけ」と憤慨。また、前首相自身も、顧問弁護士を通じて、「将来、この無効措置の理由となった疑惑が事実でないことが発覚した場合には、外相、そして外務省高官の責任を追及する」と憤りを露にしている。 ■行き過ぎたタクシン封じ込め、軍部の報道規制にマスコミ反発 首相が翌日弁明「判断は各社に任せる」 国家治安評議会(議長=ソンティ陸軍司令官)がタクシン前首相、タイ愛国党幹部らについての報道自粛を指示したことにマスコミが一斉に反発。その翌日、首相が慌てて弁明するという一幕があった。 陸海空軍司令官、警察長官らにより構成される国家治安評議会のウィナイ事務局長は10日、テレビ局・ラジオ局の代表を陸軍司令部に招集して、タクシン前首相およびその家族、顧問弁護士、タイ愛国党幹部の発言などを報道しないよう要請。「マスコミの中にはタクシン前首相を評価する番組を流しているところもある。仮に理性があれば、そのようなことはできないはずだ」と一部のマスコミを批判した。 さらに「今後、現場がタクシン前首相に関係した番組を制作した場合には、経営陣が放映・放送中止を命じてほしい」と指示。「独裁的といわれても構わない。従わない場合には、評議会が断固とした措置をとる」とも明言した。 同報道官は現在も一部地域が戒厳令下にあることから、戒厳令法11条に基づき報道規制は可能と説明。「国家を混乱から守るための措置」として、協力を半ば強制した。 これに対して、タイ愛国党のチャトゥロン党首代行は「過去10年で最悪の言論弾圧」と猛反発。マスコミが応じるわけはない、としながらも、「この談話が記事にならないとしたら、軍部に乗り込んで抗議する」と強い憤りを見せた。 一方、愛国党のライバル政党、民主党のアピシット党首も、「社会批判を生み、水面下の動きが活発になるだけ」と警告。 また、翌11日には、テレビ・ラジオ記者協会、新聞記者協会が、報道・言論の自由への著しい弾圧であり容認できない、として批判声明を出している。 このため、ソンティ国家治安評議会議長は11日、タクシン前首相の発言などを報道しないよう求めたのは国民の結束を意図したもので、報道の自由を制限しようとしたものではないと釈明。 また、スラユット首相も、「報道するかどうかは各メディアが判断すること。政府が禁止すべきことではない」と弁明した。 ■連続爆破テロ、市民団体代表が「新情報」提供 首謀者は陸軍大将、実行犯はミャンマー人
市民団体の代表が警察庁で、大晦日から元日にかけて起きた連続爆破テロの「真相」についての情報を提供した。 情報提供者は、最近、政治的発言の目立つ市民団体「テムジン」のチャナパット代表。同代表によれば、スワンナプーム新国際空港建設に関わった企業や、遠距離通信企業など、9月のクーデターにより大きな損失を被った企業の関係者らが総額15億バーツにおよぶ資金を拠出。そのうち、10億バーツが、学校放火、爆弾テロ、暫定政府・国家治安評議会の政策・対策実施の妨害に使用さており、バンコクの連続爆弾テロの資金もこのなかから出ているという。このテロ統括グループは、東北部ブリラム派、中部カンペンペット派、北部出身議員派、バンコク派、公務員・軍人・警官派、旧権力支持派に分類されるとのことだ。 また、3億バーツは暫定政権や国家治安評議会に対する抗議行動にあてられ、2億バーツは軍事クーデターに反対する市民団体への支援金などに使われている、と話す。 活動資金の受け渡しであるが、資金洗浄(マネーロンダリング)防止・制圧事務局に証拠をつかまれないよう、1回に55万バーツずつ銀行送金。さらに、手渡しという方法もとられているが、これにはタクシー運転手やオートバイタクシー運転手が使われているという。 バンコクの連続爆破テロで使用された資金は6億バーツ。総指揮は名前のイニシャルがPの陸軍大将。この人物は旧権力と相対する立場にあったが、クーデター後に望むポジションを得られなかったことで、反暫定政権の側に身を置くようになった。また、現場指揮に当たったのは、警察庁出入国管理事務所の警官(10 そして、実行部隊調達を担当したのが、スワンナプーム空港建設に関わった企業家で、中部サムットサコン県やバンコク都ミンブリ地区に住むミャンマー人違法労働者が実際に爆弾を仕掛けたという。 チャナパット代表は、情報は旧権力を支援していた企業家からのものとした上で、「権力闘争が続くなか、国民が虐げられている状況に我慢ができなくなり、情報提供を決心した」と述べている。 ジョンラック警察長官補は、今後、提供された情報を徹底的に調べ上げ、真相解明に役立てたい、とコメント。また、初期捜査に問題があったとして更迭の憶測の流れているコウィット警察長官は、捜査は折り返し点を通過しており、容疑者も浮上しているとして、真相解明への自信を示した。 ■タイ政治を読む 外国人事業規制法改定案、きっかけは前首相の資産潰し
外国人事業規制法の改定案が閣議承認を得た。同法改定の経緯には、タクシン前首相が通信関連持ち株会社シン・コーポレーション(以下、シン社)の株式を売却し、巨万の利益を上げたことがある。 タイにおいて通信事業は外国人規制業種で、株式の過半数を外国人・企業が持つことは出来ない。そこで前首相は、同社株式をシンガポールの投資会社テマセク・ホールディングと、マレーシア在住タイ人に分割して売却した。ところが、このタイ人は名義を貸しただけで、実質的にはシンガポール企業に全て売却したものと同等に見られている。 この株式売却は金額にして733億バーツにも及ぶ。前首相の権力基盤となってきたのがこの資金力であり、軍事クーデターまで起こして前首相を追い出した反タクシン派にとっては、その再興を防ぐため、没収しなければならない資金だ。 売却益の一部には脱税疑惑が持たれているが、法律の網の目を巧妙に潜っており、決定的な犯罪とは言いがたい。そこで外国人事業規制法が注目された。シン社が傘下に収めるメディア・通信事業は、外国企業にはできない「第1リスト」と「第2リスト」の業種だ。前首相とテマセクは、同法に抵触しないようマレーシア在住タイ人の名義を借りたものと見られている。 このため法律改定では、企業をタイ資本と外資に分けるとき、見かけの資本比率以外に、議決権も判定基準として加えることになった。これでタイ企業だったシン社は、シンガポール企業として扱われることになり、その事業は違法となる。 しかし、反タクシン派にとって、前首相の株式売却を違法とし、資産を没収することは無理のようだ。改定法の適用を過去に遡及し、また資産没収などの形で厳しく取り締まれば、他にもひっかかる企業が出てきて、国際的な非難を浴びかねない。その点で、今回の法律改定の的は、反タクシン派の当初の思惑から外れてしまったと言えよう。 それでもテマセクにとっては頭の痛い問題だ。「第1リスト」「第2リスト」の業種は1年以内に資本比率、2年以内に議決権をタイ側マジョリティーに是正しなければ事業ができなくなる。同社は、シン社の株式を資本比率・議決権の両方がタイ側過半数となるようにタイ人・企業に売却しなければならないのだ。これまで過半数の議決権を持って、積極的に投資、事業展開しようとしてきた同社の戦略は修正を余儀なくされるかもしれない。 ただし、今回の外国人事業規制法の改定では、タクシン潰しだけではなく、タクシン政権が進めてきた経済自由化路線を後退させようとする動きも加わっている。前政権では、国営企業の民営化、自由貿易協定が推進され、親タクシン派はそこから恩恵を受けてきた。一方の反タクシン派は自由化によって利益を失った人々だ。 例えば昨年に実施された為替取引規制はバーツ高阻止を目的としているが、それを特に望んだのは、農業、食品加工、縫製業などタイにおいて付加価値が高く、また貿易自由化で国際競争に苦しめられている地場産業だろう。 今回の外国人事業規制法改定でも、タイ商工会議所の影響があり、長期的に見て、タイ経済が拡大したとき、外資参入が規制され、地場資本がメリットを得る。 今後、反タクシン派の巻き返しで、経済自由化を後退させる、さらなる政策・規制が発せられる可能性を否定できない。 |
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