1253号(2007年1月15日)の経済ニュース


外国人事業法変更の可能性、暫定政権の動向注視
外国人事業規正法改定、影響は軽微との見方も
シン株売却から改正案承認までの経緯
外国人事業規正法改正案の主要変更点
外国人事業規制法改定、業界関係者コメント
ドンムアン空港、国内線限定で再利用へ
ユナイテッド証券、日本語投資情報を拡充
連続テロ事件、第1四半期で500億Bの損失
BOI、投資家の信頼回復に注力
格付け会社、タイの長期的成長を懸念
航空業界、連続爆弾テロ事件の影響は軽微
BOT、バーツ高対策の一部修正示唆
12月の歳入、目標を達成
BOI、ゼロ成長を予想
石油各社、9日からガソリン価格引下げ
監視カメラ市場が拡大、テロ再発を危惧
タイ南部開発、国際ネットワークを活用
連続爆弾テロで、買い物客が大幅に減少
低予算航空会社、クラビへ就航・増便




外国人事業法、内容変更の可能性あり
暫定政権の動向注視が必要

 1月9日、暫定政権はタイの外国人事業規正法改定を閣議で決定した。同改定案施行までには、今後立法議会での審議を経る必要があり、今回決定された内容で直ちに規制が実施される訳ではないが、日系企業も今後の同法改定の動向には注意を払う必要があるだろう。   
(松房 達也記者)

 タイにおける外国人企業の事業活動については、2000年3月に施行された「1999年外国人事業法」によって規制が設けられていたが、今回の改定では一部規制が見直される格好となった。

 今回、同法が改定されるきっかけとなったのは、06年1月にタクシン前首相一族が支配していた通信大手、シン・コーポレーション株のシンガポールの政府系投資会社、テマセク・ホールディングスへの売却(売却益は733億バーツ)と見られている。

 通信業種は同外国人事業規正法では第2リスト業種(国家安全保障に関する事業、芸術・文化・伝統的な習慣、手工芸に影響を及ぼす事業)に分類。本来、外資系企業が参入するためには、内閣の承認、商業相の許可が必要だったため、問題点として指摘された。

 今回の改定案では、第1リスト業種(特別の理由により外国人の営業が認められない事業)と第2リスト事業について対象業種の変更はなかった。

 これらの業種について、外資規制リスト事業に該当する(BOI認定企業や監督法が別途ある業種を除く)場合は、外国人比率が、出資比率で過半の場合、1年以内、議決権比率で過半の場合には2年以内に是正を図ることが必要となった。

 また大きく規制対象業種が変更されたのは第3リスト業種(タイ人がいまだ外国人との競争力を備えるに至っていない事業)。同業種については、「精米業、米その他の穀物を原料にした製粉業」、「水産物の養殖業」、「会計事務」「エンジニアリング業」など12の規制業種は従来と同様だが、主に変更されたのは「小売業」「卸売業」、「その他のサービス業」などの規定だ。

 また旅行案内業や、その他のサービス業のうち、証券業種、商業銀行、ファイナンス業などが規制対象から除外された。小売・卸売業を除く第3リストの業種については、改定法適用日(現在未定)以前に設立された企業については、廃業まで現状維持が可能だが、改定法適用日以降、1年以内に商業省より証明書の発行を受ける必要がある。

 また、小売業・卸売業で、同法改定前は、最低資本金で1億バーツ以上あれば、許可を得ずに外資として営業が可能だったが、改定後は資本金に関係なく許可申請が必要となった。

 これにより、同改定法適用以前に設立された既存小売・卸売業のうち登録資本金1億バーツ以上で外資の形態で営業していた場合、1年以内に同改定法適用以前から外資で小売・卸売業務を行っていた旨の証明書を商業省より受領しなければならない見通しだ。

 また両業については、同改定法適用日以降の設立については、仮に1億バーツ以上の登録資本金を用意しても、商業省への許可申請を行わなければならない。

 なお、同改定法についても今後、内容が変更される可能性もあり、日系企業は今後の暫定政権の動向を注視していく必要があるだろう。


外国人事業規正法改定、影響は軽微との見方も
対象企業はすでに対応検討

 暫定政権が閣議決定した外国人事業規正法改定だが、業界ごとに見方は様々だ。ある日系企業関係者は次のように話した。

 「新聞報道では外資排斥のイメージの報道になっているが、同法改定の影響はそれほど大きくはない。製造業、輸出企業、BOI認可企業は当然、対象外。実際に既存企業のうち、改定法適用で影響を受けるのは、優先株等を用い、議決権数を意図的に外国側に多く保有させていた、いわば不自然な形式の外資企業が対象」

 「タクシン前首相のシン・コーポレーション株売却に端を発した外資企業の定義問題も、実質的に既存企業に影響が大きくならない格好で落としどころを探った感がある。ただ、発表のタイミングが、外為規制、年末爆弾事件の直後だっただけにややイメージの悪い印象を与えた事は否めない」

 また証券会社駐在員事務所長はこう述べた。

 「同法改定は製造業にはほとんど関係ない。新規企業の設立には影響があるだろうが、タイへの投資の急激なスローダウンがあるとは思わない。しかし、多少の影響はあるだろう。製造業は以前から数多く、タイに進出しているが、今後はサービス業の進出も増えると見られていた。しかし、これまでノミニー(名義貸し)でできていたものが、今回の法改定で難しくなる。飲食業はすぐノウハウが伝わるので、よほどしっかりしたローカル・パートナーを選ばないと、企業を取られてしまう可能性もあるのでは」

 今回の法改定の背景について、同事務所長は「実際には改定したくなかったが、テマセクの話で対処せざるをえなかったのではないか。タイでは昨年12月の外為取引規制以降、株価も低迷するなど、暫定政権の政策は裏目裏目に出ている。インドが先般、外資への開放を発表したのとは対照的だ」

◆タイは外国投資を軸に発展してきた国

日本大使館関係者は個人的な見解と断った上で、以下のように述べた。

 「最終的な条文も確定していない段階で、はっきりとは言えないが同法改定はインパクトとしてはそれほど大きなものではなさそうだ。現在、盤谷日本人商工会議所(JCC)などと連携を取り対処している。日系企業への具体的な影響は今のところまだ分からないが、より緊密にフォローすべきだ」

 「欧米の報道での取り上げ方が、大きいため、醸し出す印象がタイは相当に要注意といったものになっている。このため、特に欧米のビジネス関係者は神経質になっている。実体がないにもかかわらず誤ったイメージが伝わるのはよくない」

 「タイは外国投資を軸に発展してきた国だ。投資は進行形のものだが、今回の法改定で将来的にありうべき新規の投資・参入についての懸念はある。タイのイメージが悪化し、投資が減少すれば、激しい国際競争の上でもタイは不利になる。タイ経済が影響を受ければ、日本にも影響が及ぶはず。個人的には、個別のトラブルを超えた問題意識を持っている。今回の同法改定に限らず、暫定政権には総合的に判断した慎重な政策運営に留意してもらいたい」

 日系企業との取引を行っている邦銀関係者は「極力情報を集めているところ。一連の動きを見ていると国王が承認されるまで、目を離せない。当行もタイで200社ほどに出資しているが、同法改定が9日に決定されて以降、卸売業、物流、商社等のサービス業関係者を中心に1日10件ほどの問い合わせがある。しかし、多くは資本金200万バーツ以下の小規模企業が中心」と説明した。

◆BOI認定企業からも懸念の声

 同法改定については直接的な影響を受けていない企業からも懸念を示す声がすでに挙がっている。日系大手家電販売業のマネージング・ダイレクターは「まだ改定法自体をよく見極めていないが、当社はBOIの認可を得ており、直接的な影響はない。しかし、同法改定がタイへの投資の足枷になる可能性はあるだろう。現在、次の海外投資先はインドやベトナムといわれている中で、法改定によって、タイが投資先として問題と見られかねない。昨年の外為取引規制の施行など、長期的な目で見ると投資にとってよいことはない。タイのイメージが悪化する」と述べた。

 一方、実際に対応措置を取らざるを得ない企業もすでに現れている。日系空運会社のマネージング・ダイレクターは「株式の上ではタイ側がマジョリティーを占めているが、日本人の側にイニシアチブがあるよう、発行しているのは優先株だ。他社のことは分からないが、全外資系運輸業者のうち半分くらいに影響があるのではないか。しかし施行まで時間を要するとのことや議決権変更にあたっての期間として、施行から2年間の猶予があるので、その間に対応するしかない」と説明した。


シン株売却から外国人事業法改正案承認までの経緯

 タクシン前首相失脚の遠因ともなったのが、同前首相一族が支配していた通信大手、シン・コーポレーション株を昨年1月23日、シンガポール政府の投資会社、テマセク・ホールディングスに売却したことだった。売却金額733億バーツという、このタイ証券史上最大となる取引は、ほとんど非課税となった。このことに国民、有識者、野党などからの批判が集中。一国の指導者としてのモラルが問われることになった。

 この時、テマセクはシン株をシーダー・ホールディングスなど他社名義で保有。さらにその後、TOB(株式公開買い付け)で、マレーシア在住のタイ人実業家、スリン氏を筆頭株主とするクラーブケオ社が、シン株を買い増しした。

 このクラーブケオ社はシーダー・ホールディングス社に大口出資をしていることなどから、クラーブケオ社がテマセクに名義貸しをしているのではないか、との憶測が流れ、外国人事業法(99年制定)に抵触するとの疑いが浮上。というのも、通信関連企業では外国人は40%までしか株式を保有できない。そのため、テマセクがクラーブケオ社をダミーとして使い、株式を所有。間接的に議決権を行使していることが疑われることになった。

 しかし、クラーブケオ社では、筆頭株主がタイ国籍であることから、れっきとしたタイ企業であると主張。さらに、テマセクの代理でシン株を取得したわけではなく、事業拡大のための戦略と説明していた。

 このため、タイ商業省事業開発局ではクラーブケオ社とテマセクとの関係を調査。その結果、シン株購入資金の流れでクラーブケオ社とテマセクとの間に深い関係のあることを突き止めた。そこで、テマセクが外資出資比率の上限規定を回避するため、クラーブケオ社に株式を保有させたと判断。今年9月、起訴に踏み切った。

 しかし、起訴はしたものの、前首相一族、シンガポール政府系企業がかかわるだけに捜査は進展せず、この混乱の中、外国人事業法改定要求が高まっていった。
外国人事業法改定案が閣議決定された後の記者会見で、プリディヤトン副首相兼財務相は、クラーブケオ社の名を挙げ、「改定法案が国民議会で可決した場合は、クラーブケオ社は外国企業とみなされるため、株主、議決権の見直しが必要となる」との見方を示した。


外国人事業規制法改正案の主要変更点


外国人事業規制法改定、業界関係者コメント

◆日系大手自動車メーカー社長

 「外国人事業規制法改定で、当社に直接的な影響は及ばない。しかし、一緒に仕事を行う、リスト3に属する保険会社が規制対象業種なので、間接的な影響はあるかもしれない。盤谷日本人商工会議所(JCC)を通じて、規制を強化しないよう要望していく」

◆日系大手デパート関係者

「外国人事業規制法改定の全容がいまだ不透明なため、現時点では判断し兼ねる。今後については、顧問弁護士と相談しながら、対応を考えていく。同法改定後も、法律を遵守して商売をしていくという当社のスタンスは変わらない」

◆日系大手スーパー関係者

 「当社はもともと51%の株をタイ人及びタイ法人が所有している。一方で、議決権については、優先株の発行許可を財務省から既に受けている。そのため、外国人事業規制法改定後も現状維持が可能と見ている」

◆日系旅行代理店関係者

 「旅行案内業が規制対象外の業種になっていることは知らなかった。当社はタイ人が51%出資しているタイ企業であり、いずれにしろ外国人事業規制法改定は当社に影響を及ぼさない」

◆投資専門家

 「今回の外国人事業規制法改定は、シン・コーポレーション株のテマセクへの売却がきっかけとなっている。外資系企業の行き過ぎたタイ国内企業支配に歯止めをかけるというのは名目に過ぎず、実際には通信事業を規制し、タクシン前首相の資財を潰すことが狙いだ」

 「今回の改正で重要なポイントは、外資企業の定義に『外国人が株式数の過半を有する』のほか、『外国人が議決件数の過半を有する』が追加されたことだ。小売業、卸売業について、今までは最低資本金が1億バーツあれば許可を必要とせずに外資で営業できたものが、改正後は資本金額に関係なく、許可申請しなければならなくなることも見逃せない。規制対象となる日系企業は少なからずでてくる。許可が下りるとは限らないので、規制対象企業にはその懸念もあるだろう」

 「また、他者の意見を聞かず、いきなり条文を出してくる暫定政権の政策運営には問題がある。同改定法発効については、3〜4カ月程要するだろう。現時点では全容が不透明なので、外国人が無駄に大騒ぎし、タイ人を刺激するのはよくない」


ドンムアン空港、国内線限定で再利用へ
実施日や路線は不確定



一度は幕を下ろしたドンムアン空港

 タイ空港社(AoT)は1月11日の役員会で、現在スワンナプーム国際空港で運航中の国内線の一部をドンムアン空港に、再移転することを決定した。

 12日の現地報道では、国際線と接続のない国内線の運航をドンムアン空港で3月15日に再開する意向。タイ航空、ノックエアー、タイエアアジア、ワンツーゴーの各社はこの決定により、国際線利用客からの乗継が多いプーケット、チェンマイなどの路線を除き、国内線の運航を再移転させる方針と伝えられている。

 昨年9月のスワンナプーム国際空港開港で、ドンムアン空港はチャーター便のみに使用されている。しかし、格安航空会社からは、スワンナプームの混雑を理由にその再利用を求める声が上がり、これにタイ航空が反対していた。

 今回の決定では、格安航空会社と共にタイ航空も国内線運航の一部を移転するようだ。AoTでは「3月15日を目処としているが現時点では決定ではない」としており、実際に移転するかどうかについても各航空会社に判断を委ねるとのことだ。

 航空会社各社の広報担当者に聞くと、「検討中である」(ノックエアー)、「まだ確定していない」(ワンツーゴー)、「答えられない」(タイ航空)と回答した。

 ただし、タイエアアジアのみは、「国際線と国内線の両方で航空機を使用しているため、現時点での移転はない」としている。

 さらに、「スワンナプームに移転したことでコストが30%も上昇した。カウンターの数も十分でなく、格安航空会社はスワンナプームに適していない」と不満をあらわにし、「国内だけでなく国際線も移転できるなら明日にでもドンムアンに移りたい」と話した。

 一方、日系の旅行代理店では、この件については「知らない」という声が多い。今回もまた、暫定政権による一部関係者のみの決定だったと言えそうだ。


ユナイテッド証券、日本語投資情報を拡充
タイ株をより身近に



20日のセミナーには陸上の為末大選手も特別ゲストとして参加する

 「日本人投資家向けのタイ株投資の仕組みづくりは完了した。07年はその質を高める」――タイの証券会社で唯一、日本語オンライン取引サービスを提供するユナイテッド証券の此下竜矢最高経営責任者(CEO)は、こう話す。

 同社は昨年7月、日本語オンライン取引サービスをスタート。同時に、タイ株についてのセミナーをバンコクほか、東京、大阪などタイと日本の各都市で開催し、日本人投資家のタイ株投資の拡大に取り組んでいた。

 「〃タイ株をより身近に〃が、日本人投資家向けサービスの今年のキーワード。タイ企業にあまり詳しくない人でも投資しやすいように、会員ウェブなどで発信する日本語の投資情報をより詳細に分かりやすくする。セミナーもより充実させたい」

 タイ株にとって、昨年は不安定な政治情勢や政策の影響を大きく受けた1年だった。年初からの反タクシン政権運動の高まり、その後、9月のクーデターなどにより、タイ証券取引所(SET)の年間取引高は前年を大きく下回った。

 さらに、暮れも押し迫った12月19日には、前日に中央銀行が発表した外為取引規制により、株価指数は取引所創設以来の108.41ポイントの暴落に見舞われた。この規制は、あまりの大きな影響に、翌20日には「株式に限り撤回」となったが、年末にバンコク首都圏で爆弾テロが発生したことから、株価指数は今年に入ってからも下げ相場が続いている。もはや、下げ相場は「底を突き抜けた」感もある。

 それでも「タイ株の魅力は衰えていない」と此下CEO。

 「例えば、タイ株のPER(株価収益率)は7倍と、日本株の22倍、中国株の20倍、ベトナム株の22倍に比べて割安。SET指数も、タイ経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)そのものは悪くないため、一時的に600ポイントを割り込んでも、年央には750〜760ポイントが望める。当社はそうしたタイ株の魅力を日本人投資家に伝えていく」

 中国株、ベトナム株に代わり、今年はタイ株が日本人投資家の注目を集めそうだ。

◇タイ株セミナー「ずばり儲かる30銘柄」
日時  1月20日(土)・午後2時30分から
会場   タイ証券取引所(SET)・1202号室
講師   此下竜矢・ユナイテッド証券CEO
特別ゲスト  為末大(世界陸上選手権銅メダリスト)
会費 4800バーツ


連続爆弾テロ事件、今年第1四半期で500億バーツの損失

 タイ商工会議所大学経済・ビジネス予測センターのタナワット所長によると、死者3名、負傷者42名をだした昨年12月31日〜1月1日の連続爆弾テロ事件は、タイ経済に深刻な悪影響を及ぼすことが予想され、損失額は07年第1四半期だけで500億バーツに上る見通しだ。

 同所長は「今回のテロ事件で、国内消費と個人投資が約300億バーツ減少、最終的に第1四半期の経済成長率は0.4〜0.5ポイント低下し、前年同期比4%増にとどまるだろう。さらに、消費者や投資家の不安感が今後も継続した場合は、第2・第3四半期の経済成長にも悪影響を及ぼし、ゼロ成長になる恐れもある」と述べた。

 一方で、同テロ事件による観光業に及ぼす損失も今年第1四半期で200〜300億バーツに上る見通し。

 同センターが旅行代理店100社を対象に行った調査によると、07年第1四半期にタイを訪れる外国人渡航者数は、当初の400万人から10〜20%減少するものと見通されている。


BOI、投資家の信頼回復に注力

 投資委員会(BOI)によると、BOIは今月、連続爆発テロ事件によって低下した投資家の信頼回復のため、国内外の投資家との討論会を開催する予定だ。

 BOIのサティート事務局長は「連続爆発テロ事件は国内外の投資家の信頼感に大きな影響を及ぼすことは避けられないが、討論会によって、投資家の見通しは明るくなるはずだ」と期待を込めた。

 また、同事務局長は「我々が最優先に考えているのは、タイに長く滞在し、国内事情に精通している外国人投資家の信頼回復だ。外国人投資家は昨年9月の軍事クーデターが投資に大きな影響を及ぼさなかったことを認識しており、討論会後に、現実を第三者に伝えてくれるだろう」と述べた。

 さらに、BOIは今年、最先端技術などの産業分野の長期的な魅力を高めることに焦点を当てているが、同事務局長は「我々が求めているのは、投資家の数でも投資価値でもない。同産業分野を長期的に強化してくれる投資家だ」と述べた。また同事務局長は、税制など、投資に対する障害を撤廃する用意があることも強調した。


格付け会社、タイの長期的成長を懸念

 複数の格付け会社は、連続爆弾テロ事件以降、タイの長期的成長を懸念し始めているという。

 国際的な格付け会社、スタンダード&プアーズ(S&P)の関係者は「今回の連続爆弾テロ事件はそれほどでもないが、『軍事クーデター』、『為替取引規制』、『暫定政権に対するクーデターの噂』、『外国人事業法改正の不透明性』など一連の出来事は、タイの長期的成長に悪影響を及ぼすだろう」と分析している。

 さらに同関係者は「現在、世界の市場では外国人投資家を惹きつけるために激しい競争が行われている。しかし、タイはその競争に負けてしまった」と述べた。

 日本の最大手格付け会社である格付投資情報センター関係者も「外国人投資家はタイの安全性に魅力を感じていたが、連続爆弾テロ事件によって、それが失われてしまった」とタイの長期的成長を懸念、「当社は同テロ事件で、タイの格付けを変更する予定はないが、日本の投資家はタイへの投資に警戒感を強めている」と述べた。

 また両社共に、同テロ事件が、特に04年12月に発生したインド洋大津波以降除々に回復していたタイの観光業に悪影響を及ぼすことを懸念している。


航空業界、連続爆弾テロ事件の影響は軽微


航空会社にも爆弾テロの影響が出ている

 日本航空、タイ航空、シンガポール航空などの航空会社によると、連続爆弾テロ事件後のタイへの出発便のキャンセルは若干でているものの、さほど多くないという。

 「クーデター」、「テロ」、「疾病」などに敏感に反応するといわれる日本人やシンガポール人の多くが、テロ事件以降もタイへの渡航をキャンセルしていない。JALウェイズバンコク支所のクリアンサク副支所長によると、同社の日本―バンコク便について、テロ事件以降も多くの利用客が予約をキャンセルしていないという。

 同副支所長は「日本人渡航者は今回のテロをタイの国内事件と捉え、タイへの渡航を中止するほどのことではないと考えているのかもしれない。もし国際テロリストによる犯罪だとすれば、状況は大きく異なるだろう」と述べた。

 しかし、今回の連続爆弾テロ事件の全容はいまだ不透明。航空業界関係者は同様のテロ事件再発を懸念しているところだ。


BOT、バーツ高対策の一部修正示唆

 タイ中央銀行(BOT)のタリサ総裁は、検討の結果不必要と判断された措置は取りやめる必要があると述べ、先に導入したバーツ高対策を将来的に一部修正する可能性を示唆した。

 この対策は投機目的の短期資金流入に歯止めをかけるものだが、民間部門からは無関係な外国資金にまで影響しているとして善処を求める声が強まっている。


12月の歳入、目標を達成

 財務省のソムチャイ報道官によると、06年12月のタイ政府の歳入が合計で918億6000万バーツとなり、目標を1.2%上回り、前年同月比では6.3%上回った。また、06年第4四半期の歳入は3070億1000万バーツに到達、目標を3.6%上回り、前年同期比では16%上回った。



「今年の投資額は前年並み」と述べたサティート事務局長
BOI、ゼロ成長を予想

 投資委員会(BOI)のサティート事務局長は、特典申請ベースの今年の投資額は、昨年と同じ5000億バーツほどにとどまるとの見通しを示した。今年は、先の連続爆発テロなどのマイナス要因で外国投資が伸びない可能性が高いとのことだ。また、民間部門からは外国直接投資が過去7年間で最低となるのでは、との悲観的見方も出ているという。


石油各社、9日からガソリン価格引下げ

 タイ国内の石油各社は、世界市場で石油価格が下落していることを受け、1月9日からガソリン価格の引下げを開始する。新価格は、オクタン95が1リットル=25.99バーツ、オクタン91が1リットル=25.19バーツ、ガソホール95が1リットル=22.94バーツとなる一方で、軽油は1リットル=22.94バーツに据え置かれる。


監視カメラ市場が拡大、テロ再発を危惧

 新たなテロの可能性を危惧する政府機関や企業の需要増で、タイの監視カメラ(CCTV)市場が拡大する見通しだ。同市場の07年の成長見通しは、前年比30
%増から40%増に上方修正され、40億バーツ以上の市場規模が見込まれている。


タイ南部開発、国際ネットワークを活用

 フィリピンで開催されるアセアンサミットを前に、タイはマレーシア、インドネシアが主導する開発トライアングル(IMT―GT)計画で、南部14県すべてを包含するよう申し出る準備を行った。現在、インドネシアから2県、マレーシアから4県、タイからは最南部など8県がIMT―GTの対象エリアとなっており、「陸路の整備」、「エネルギー開発」、「鳥インフルエンザ対策」などに共同で取り組んでいる。


連続爆弾テロで、買い物客が大幅に減少

 ウイークエンド・マーケットなどバンコク都内のショッピングスポットでは、連続爆弾テロの影響で買い物客が大幅に減少した。衣料品を扱っている商人は、「特に外国人旅行者が少ない。外国の政府は自国民に十分注意するよう呼びかけており、そのせいだと思う」と述べた。


低予算航空会社、タイ南部の楽園クラビへ就航・増便


アオナンのビーチロードは観光客で賑やか

 タイの低予算航空会社2社がバンコク・クラビ間の便を就航・増便する。就航するのはタイ航空傘下のノックエアーで、1月15日から3月24日まで、156人乗りのボーイング737-400を1日2往復運航する。

 料金は税金など含めた合計で片道1250バーツから。これはタイ航空の約3分の1の料金だ。同社にとってクラビは9カ所目の就航地となる。

 一方、1日1往復から2往復に増便するのはワン・トゥー・ゴー(オリエントタイ)だ。料金は1750バーツ均一。航空機は216人乗りのボーイング757と176人乗りのダグラス・マグドネルMD82を併用する。

 クラビはタイ南部アンダマン海に面するプーケットと並ぶビーチリゾート。ただ、プーケットほどは開発が進んでおらず、自然を求める観光旅行者には人気が高い。

 津波後に一旦落ち込んだ旅行者数は、既に欧米人を中心に戻ってきている。観光シーズン、週末になるとバンコクからの便はタイ航空、エアアジアとも満席状態。そこで格安航空2社の就航・増便となったようだ。