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タイでは民間企業における退職積立金制度の強制加入のための法整備が進んでいるようです。従業員にとっては将来の生活保障が厚くなるなどメリットは明確ですが、民間企業、特に外国投資家にとって、保険料負担増加に見合った意義は果たしてあるのでしょうか。 ◆公的制度の補完 以前もこのコラムでふれましたが、法定外福利厚生制度には、有用社員の確保・引き留めのため、一定の効果があるようです。例えば米国では公的医療保険制度が貧弱ですが、代わりに民間医療保険制度が発達しています。大手・中堅企業では医療保険加入が福利厚生メニューとして整備され、条件も役職が上がるほど手厚くなるなど、有用社員定着のインセンティブに結びついています。 最近のマーサーの調査では、中国で不足している30代の優秀な人材の確保・引き留め策の第2位に、付加的年金給付制度整備や民間医療保険への加入が挙がっています。 このように社会保障制度が手薄い国では、企業による付加給付制度が発達する傾向があるようです。 ◆国によって違う、企業の負担具合 ただし、民間企業による付加給付制度を、法令で強制加入とするのか、任意とするのかは国の事情によって違います。米国では付加的医療保険は強制ではありませんし、中国でも現在のところ、強制加入ではありません。 しかし、タイで進めらている退職積立金制度は、従来の任意の同制度を強制加入に変更するものです。従業員数による適用除外枠は設けられているものの、2018年には原則全ての企業に対して同制度加入が義務付けられるようです。 ◆企業にとっての意義 タイにおける社会保障制度整備は、1997年の通貨危機、インド洋大津波、また前政権下で進んだ貧富の格差拡大など、社会基盤不安定化への対策の一環と考えられ、今後も進むでしょう。 一方で、タイでも高齢化問題は決して他人事ではなく、中堅・若手人材の将来に対する不安は拡大するものと思われます。タイなどの開発途上国では、日本国内と比べて若い人材の多さが目立ちますが、いつの間にか超高齢化社会が到来し、人材不足も深刻になるかもしれません。中長期的人材確保安定のため、今から付加的給付の検討を投資の1つとして考えておいたほうが良いかもしれません。 |
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大久保 信一
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