更新日:2007年12月28日(金)16:25


日刊ニュース

[政治]
■タイ国民党党首、連立参加のための条件提示
 12月27日夜、バンハーン・タイ愛国党党首とスウィット・国土のため党党首は共同記者会見を行い、「国民に団結を呼びかけられた国王陛下のお言葉に従うことにした」と前置きした上で、5つの条件を市民の力党が認めるなら、連立を前向きに検討すると発表した。

 その5条件とは、(1)王室に敬意を示すこと(2)プレム枢密院議長に敬意を示すとともに、誹謗・中傷しないこと(3)報復に類する行為を行わないこと(4)タクシン前首相に裁判を受けさせるとともに政治に干渉させないこと(5)前政権の汚職を調査中の資産調査委員会を解散させないこと。

 バンハーン党首は「この条件について交渉の余地はなく、受け入れるか受け入れないかの2つにひとつ」と明言している。

 これに対して、市民の力党のクテープ報道官は大筋で条件を認める姿勢を示したが、(3)については「何を意味するかが明確ではない」として、明答を避けた。

 今回、連立政権樹立のキャスティングボードとなる2党が連立参加を検討する前提となる条件を提示したことで、市民の力党が政権党となる可能性が濃厚となった。民主党のステープ幹事長も「野党に回ることがほぼ確実になったといえそうだ」と敗北宣言をしている。

 ただ、サマック党首はまだ5条件を受け入れるかどうか明確な回答をしていない。

■検察、「タクシン前首相を空港で逮捕」
 最高検察庁のサムパン外事部長は12月27日、「タクシン支持を掲げる市民の力党が政権を構えても、タクシン前首相が帰国するとなれば空港で逮捕され、訴追されることになる」と明言した。

 タクシン氏とポチャマン夫人は、夫人による政府機関からの土地購入に同氏が首相の職権を濫用し便宜を図ったとの容疑で起訴されたが、出廷を拒んでいる。このため、最高裁は今年8月、同夫婦の逮捕請求を認めた。

 夫人はタクシン氏が首相だった03年、都内の一等地(約5.3ヘクタール)をタイ中央銀行・金融機関開発基金から市価を大幅に下回る7億7200万バーツで購入した。

■サマック党首、バンコクの選挙結果を疑問視
 市民の力党のサマック党首は12月27日、首都バンコクにおける同党の議席獲得が少なかったことから、「不正があったのではないか」との見方を示した。

 事前の世論調査の中には、同党がバンコクの36議席中21議席を獲得するとの予測もあった。だが、実際は9議席にとどまり、ライバルの民主党が市民の力党を圧倒している。

 軍部やスラユット暫定政府は、タクシン支持を掲げる市民の力党の勝利を望んでいなかったとされるが、サマック党首は、「特に12月15日〜16日の不在者投票が公正に実施されたかどうかは非常に疑問」としている。

[経済]
■ホテル業界、2007年は低迷の年
 
年末年始に首都圏で起きた連続爆弾テロの影響を受け、2007年は収益が悪化したバンコクのホテル業界だが、最悪の時は過ぎ、今後は新政府のもと観光業は安定するものと期待されている。

 2006年には全国平均80%だったホテル稼働率が、テロ不安以外にバーツ高なども影響して2007年には70%に、さらに、三ツ星以下のホテルではバンコク、チェンマイなどで50%にまで落ち込んだ。しかし、業界は「これらはあくまでも一時的な低迷。政権も変わったことで今後は旅行者の数も増える」と、2008年以降に期待しているとのことだ。

■タイ観光業者協会、観光客の安全対策強化求める
 タイ観光業者協会のアピチャート会長は、今後の観光発展に重要なのは観光客の安全確保であると述べ、新政権に真剣な取り組みを求めている。

 同会長は、選挙運動でも各党がアピールするのは観光客誘致や新たな観光スポット開発についてばかりで、安全対策については無視されていたと指摘。外務省、国防省、内務省などタイ国政府観光庁以外の政府機関が今後いかに連携して安全対策を強化するのかを業界では注目しているとのことだ。

■バンコク都内3か所で公示地価が上昇
 財務省財務局による最新の地価公示によれば、バンコクではバンコレム、サトン、ヤナワの3エリアで公示地価が最も上昇した。地価公示は課税査定と民間の土地取引の指標となるものだ。

 2008〜11年に適用される今回の公示によれば、バンコク全体の地価は前回比で5.76%の値上がりとなる。最も高いのはビジネス街シーロム通りの16万2500バーツ(1平方メートル当たり、以下同)、逆に最も低いのはノンチョク区の65バーツ。また、チャイナタウンのヤナワ通りが13万7500バーツ、サムペンが12万5000バーツ、サイアムスクエアが8万7500バーツ、アソークが6万5000バーツ、エカマイが4万2500バーツ。

 一方、前回比の公示地価上昇率は、バンコレムが56.86%、サトンが52.38%、ヤナワが50.94%となる。

 バンコク以外の地域では、公示地価は平均26.97%のアップとなる。

[社会]

■イベントが目白押しの大晦日
 
大晦日恒例のカウントダウン・イベントがタイ各地で盛大に行われる。バンコクでの主要イベントは3 か所。王宮前広場では年配者向けの伝統舞踊やコンサート、国立競技場ではGMMグラミーレコードとチャンネル9主催のコンサートやバラエティーショー、セントラルワールド前では人気ミュージシャンらのコンサートとライト&サウンドショーなどが開催される。

バンコクのセントラル・ワールド前に設置された新年を祝うためのイルミネーション

 また、チャオプラヤ川では花火も予定。なお、昨年は同時爆破テロのためイベントはすべて中止されている。

■2007年政治・社会10大ニュース
 首都圏爆弾テロでスタートした2007年は、タイ愛国党解散、新憲法制定、総選挙など激動の年であった。その1年を振り返る。

@市民の力党、最多議席獲得
 06年9月のクーデターに伴う軍政に終止符を打つ民政復帰のための選挙として注目を集めた12月23日の総選挙は、タクシン派の市民の力党が北部と東北部で支持を集め、480議席中233議席を獲得し第1党となった。タクシン前首相が創設したタイ愛国党の解散に伴い同党から大挙して元議員が移籍した市民の力党は、「タクシン流政治の復活」を前面に出すことで、タイ愛国党の選挙地盤だった北部、東北部で多数の議席を獲得することに成功した。北部は、タクシン氏が北部チェンマイ出身であるため以前からタクシン支持者が多く、また、東北部は、タイ愛国党が人口の大部分を占める低所得者=農民をターゲットに大衆迎合政策を連発して盤石な支持基盤を築いていた。

 一方、165議席を獲得して第2党となった民主党は、反タクシン色の強いバンコク、同党の地盤・南部で市民の力党を圧倒。だが、大票田の東北部で、市民の力党に大きく水を開けられ、大差を付けられることになった。(議席数は07年12月24時点)

A元旦のバンコクで爆弾テロ
 バンコクと隣接するノンタブリ県は、06年の大晦日夜から07年元日未明にかけ、セントラルワールド前などバンコク都内および隣接県の数カ所に何者かが仕掛けた強力な爆弾が爆発し、市民3人が死亡、外国人旅行者を含む約40人が重軽傷を負った。その影響でバンコクの商業施設は数か月間にわたり客足が遠のき、売上が大きく落ち込むことになった。

 この事件では、警察が1月20日、軍関係者を含む容疑者15人を逮捕したが、証拠不十分で釈放。軍部を批判するタクシン支持者の仕業、タクシン勢力を陥れるための軍部の仕業など様々な憶測が飛び交ったが、いまだに真相は闇の中だ。バンコクでは、模倣犯とみられる比較的威力の小さな爆発物を使った事件が1月30日、4月9日、5月5日、9月30日にも起きていたが、いずれも証拠に乏しく犯人は逮捕されていない。なお、爆弾テロ防止のため、地下鉄では今も荷物検査を行っている。

Bタイ愛国党に解党命令
 01年と05年の総選挙で圧倒的な強さを誇ったタイ愛国党に対し、憲法裁判所は5月30日、政党法違反で有罪を言い渡した。これにより、タクシン前首相が98年に創設した同党は解散、役員111人は5年間の公民権停止処分となった。  

 タイ愛国党は、同党のライバル、旧最大野党・民主党とともに、06年4月の総選挙で弱小政党を買収したとして政党法違反容疑で訴えられた。しかし、民主党は無罪を勝ち取っている。公民権停止処分についてだが、この罰則はクーデター後に制定された法令を適用したもので、違反を犯した時の法律はここまで厳しいものではなかった。そのため、法を遡及させたことについては、民主党からも「不適切」との見方が出ていた。 

 この憲法裁判決はタクシン勢力にとって致命傷と思われたが、軍事政権がタクシン一族の汚職疑惑解明に手間取っている間に、元タイ愛国党主流派議員の大半が移籍した市民の力党はタクシン流政治の継承を掲げて急速に支持を拡大、タクシン勢力の立て直しに成功した。

C国民投票で新憲法草案可決
 軍事政権下で起草作業が進められてきた新憲法案の是非を問う国民投票が8月19日に実施され、承認された。同月24日には国王陛下が承認され、立憲君主制の下、18番目となる憲法が制定されることになった。

 新憲法は、97年憲法を元に起草されたが、同一政党に90日以上所属していることを下院議員選挙の立候補条件とする「90日規定」など批判の多かった規定が排除された。しかし、タクシン前首相支持グループが、「軍部の作成した新憲法案に反対」=「タクシン氏を支持」というキャンペーンを展開したことから、タクシン前首相の人気が依然強い東北部では反対票が多かった。

Dタクシン一族の資産凍結
 軍部がタクシン前政権の汚職糾明のため設置した資産調査委員会は6月11日、タクシン前首相とその一族が所有する総額529億バーツの資産を凍結することを決めた。

 一代でシン・コーポレーションを通信最大手に成長させた名うての実業家から政治家に転身したタクシン氏は、閣僚就任に伴い保有株をすべて親族などに譲渡。06年1月末には一族がシン・コーポレーション株をシンガポールの国有企業「テマセク」に売却し、732億バーツという巨額の利益を得た。しかし、資産調査委は、この株売却に絡む不正が明らかになったとして21に及ぶ一族の銀行口座を差し押さえることにした。

 この株売却は、大半が非課税となり、また、外国企業による通信企業株保有枠を売却直前に改定したことから、タクシン政権への批判が強まることになった。資産調査委は、外国への持ち出しを含め、タクシン一族の資産の動きを徹底調査しているが、目立った成果は上がっていない。

E格安航空機がプーケットで墜落
 タイ南部の観光の島、プーケットの国際空港で9月16日、悪天候の中で着陸を試みた格安航空「ワンツーゴー」の旅客機が滑走路近くの丘に激突後、炎上し、乗員乗客130人のうち89人が死亡した。乗客のうち78人は外国人旅行者だった。

 同機は、バンコクのドンムアン空港を出発し、プーケット国際空港にほぼ定刻通りに着陸する予定だったが、豪雨の中で突風に煽られ、バランスを崩した。この事故のため、ワンツーゴーは予約のキャンセルが相次ぎ、運航便数をそれまでの1日40便から30便に減らしている。タイでは数年前から格安航空の人気が高まっているが、この事故で格安航空の安全性に疑問符がつけられることになった。

 なお、98年に南部のスラタニ空港近くでタイ国際航空機が墜落して乗員乗客146人のうち101人が死亡する事故、そして、87年にもプーケットの海にタイ航空機が墜落して乗員乗客83人全員が死亡するという事故が起きている。

F仏教国教化案を見送り
 新憲法起草のため軍部が設置した憲法起草評議会は6月29日、仏教関連の市民団体や僧侶組織が強く求めていた「仏教の国教化」を見送ることを決めた。   
 
 06年9月のクーデターに伴い、それまでの憲法(97年制定)は廃止され、暫定政権の法的裏付けとなる暫定憲法が制定された。軍部は、暫定憲法下で新憲法を起草・制定し総選挙を実施するという民政復帰の公約を実現するため、憲法起草評議会を設置。97年憲法は「極めて民主的な憲法」と高い評価を得ていたが、タクシン政権の「議会制独裁」を招いたことから、クーデター以前から改憲の必要性を指摘する声が強まっており、タイ愛国党もこれを受け入れる姿勢を示していた。
 
 国民の大部分が敬虔な仏教徒であるタイだが、「君主は仏教の守護者」とする憲法規定はあったものの、仏教を「国教」と規定する憲法条文は過去一度もなかった。昨今の若者の仏教離れも手伝って熱心な仏教徒や僧侶がデモやハンストを行い、「国教化」を強く要求したが、イスラム教など他宗教への配慮もあり、結局、新憲法には盛り込まれなかった。

G迷走続くスワンナプーム空港
 タイの空の表玄関、スワンナプーム空港は、手抜き建設が次々に明らかになり、1月23日、ティラ運輸相(当時)が滑走路の亀裂が100か所以上にのぼり、修理のため施設を一部閉鎖する必要のあることを認めた。滑走路の問題は、06年9月28日の正式開港直後から報告されていた。
 
 このほか、空港ターミナルの屋根で雨漏りが見つかったほか、トイレの数が少なすぎるといった指摘もあり、同空港を管理・運営するタイ空港社(AOT)は対応に追われることになった。
 
 また、首都の空港機能をスワンナプームに一本化するとの当初の方針が変更され、3月25日には、ドンムアン空港(旧バンコク国際空港)が国内線用に再開されることになった。AOTは、スワンナプームの施設拡張計画を先送りすべく国内線の一部をドンムアン空港に割り振る計画も明らかにしているが、これには運輸省も航空各社も反対している。

Hマンチェスターシティを買収
 クーデターで首相の座を追われロンドンを生活拠点としているタクシン氏は6月21日、イングランド・プレミアリーグのマンチェスターシティFCの理事会の承認をとりつけ、同FCの会長に就任したと発表した。買収資金は約200億円とみられている。また、同資金の出所などは明らかにされていない。

 政治から足を洗ったと公言するタクシン氏だが、タイにおける政治的影響力を維持すべく常に海外からその存在をアピールしており、マンチェスターシティ買収もその一環との見方が支配的だ。タイではサッカー人気が高く、欧州プロリーグの主要試合はテレビで放映されている。タクシン氏がオーナーとなった同FCは11月には、来シーズンまで試合に出られないにもかかわらず、タイ人選手3人と契約、マスコミで大きく取り上げられた。

I枢密院議長宅前で暴徒化
 バンコク都内ドゥシット区にあるプレム枢密院議長宅前で7月22日夜、タクシン前首相支持者の一部が暴徒化して治安部隊と衝突し、約100人が負傷する事態となった。同日、王宮前広場(サナムルアン)で軍部を批判する1万人規模の集会が実施され、その半数ほどが議長宅に押しかけた。
 
 陸軍司令官を経て80年から8年間にわたり首相を務めたプレム氏は、現在でも軍内部で信望が厚く、以前からタクシン氏の政治手法に批判的だった。このため、「プレム議長がクーデターの黒幕」とする見方もあり、タクシン支持勢力の批判の矛先は、軍部だけでなく、プレム氏にも向けられることになった。

[三面記事]
■2007年3面記事10大ニュース

◆女子大生――泥酔した痴漢をナイフで撃退

 1月11日午前9時ごろ、バンコク都内パヤタイ署に「痴漢が取り押さえられたが、負傷しており、治療を受けている」との連絡が入った。

 容疑者はサイアムスター社の警備員、タンナ(24)で、泥酔しており、指・背中・腕にナイフで切られた痕があった。

  事件現場となったペッブリ通りソイ6に近い大学に通う被害者のクラテさん(20、仮名)によれば、停留所でバスを降り、大学への通学途中、屋台で果物を買っていると、不審な男が近づいてくるのが目に入った。逃げようとしたところ、抱きついてきて胸をつかまれた上、局部を触れられたという。そこで、買ったばかりの果物を投げつけると、同容疑者はひるむどころか、「何でだよ。なんか文句あるのかよ」と凄み、また近寄ってきた。

 そこで、クラテさんは、カバンの中から護身のために持ち歩いているカッターナイフを取り出し、逆襲。堪らず逃げ出した同容疑者を、今度は、警官とオートバイタクシー運転手とともに取り押さえた。

 同容疑者はクラテさんを襲う前に、別の大学の1年生、ソムさん(20、仮名)にも痴漢行為を働いている。ソムさんは道路を横断していたところ、近づいてきた同容疑者にいきなり臀部をつかまれたという。しかし、それ以上何もせず、そのまま、クラテさんのところに向かっていったとのことだ。

 同容疑者の自白によれば、夫婦喧嘩が原因で妻が家出をしてしまい、イライラを紛らすために、仕事の後、酒を飲み、そのまま事件現場まで歩いてきたという。タイでは、15歳以上の男女への痴漢行為に対する刑罰は10年以下の懲役または2万バーツ以下の罰金、もしくはその両方と規定されている。


◆インド人旅行者――売春婦に睡眠薬飲まされ瀕死の重症

 1月20日午前3時ごろ、パタヤ警察署に男性観光客が睡眠薬を飲まされ、意識を失っている、との通報があった。

 事件が起きたのは南パタヤのチャンプ・パタヤホテル。被害に遭ったのはインド人観光客で、同ホテルの602号室でカイラスさん(42)、605号室ではナレドラさん(40)とラウィさん(40)が、睡眠薬入りのビールを飲まされ、意識不明となっていた。また、現金やパスポートなど貴重品はすべて消えていた。

 第1発見者は被害者と同室の友人、ニテンドラさん(47)とスットさん。2人の供述によれば、19日からパタヤに遊びにきていたが、事件当夜、被害者3人を含む5人で散歩をしていたところ、2人連れの売春婦が声をかけてきたという。

 しかし、5人で2部屋しかチェックインしていないことから、まず、被害者3人がその売春婦をホテルに連れて行き、難を逃れた2人は別の売春婦を探すためにそのまま夜歩きを続けた。

 その後、ホテルに戻った2人が部屋をノックしたが、鍵が掛かっており、何の応答もなし。そこで、レセプションで合鍵を借りて、部屋に入ったところ、意識を失っている友人を発見することとなった。

 3人はすぐに病院に搬送されたが、医師の話では、睡眠薬の量が多かったため、かなり危険な状態という。

 なお、リンラット(28)とワラポンの両容疑者(24)は身分証明書をホテルの受付に預けたまま逃走している。


◆高僧――女性への強姦容疑で還俗
 2月1日、バンコク都内ドゥシット区のチャンサモソン寺院のウィムラムニ住職(57)が強姦容疑で還俗することになった。

 事件が起きたのは1月24日。タイに遊びにきたオーストラリア国籍のベトナム人女性、エーさん(仮名、18)は、同住職に会うため、チャンサモソン寺院を訪れた。

 ウィムラムニ住職はドゥシット地区仏教団のトップで、海外布教のため、外国に行く機会も多かった。また、被害者のエーさんの母親とは10年以上の付き合いで、絶対的な信頼を得ていた。今回のタイ旅行でも、エーさんは母親からウィムラムニ住職を訪ねるよう言われていた。

 母親の言いつけ通り、寺院を訪ねたエーさんは、住職から2階に上がるよう言われた。そこで、「最近、いろいろとよくないことが起こる」と打ち明けると、住職は「それではお払いをしてあげよう」と蝋燭をエーさんの全身に這わせ、その後、強姦に及んだ。

 エーさんは、あまりのショックでその時はそのままホテルに戻ったが、その後、オーストラリアの母親に連絡。そして、母親が在タイ・オーストラリア大使館に通報し、今回の逮捕となった。また、この時、住職が自ら隠し撮りしていた強姦シーンのビデオも証拠品として押収されている。なお、住職は事件発覚後、還俗した。


◆カラオケ店歌手――警官に右腕を切断される
 中部サラブリ県のカラオケ店の歌手、スパンサさん(24)が3月21日、「地元の警官ニルットに腕を切断されたが、捜査がまったく進んでいない」として、 セリピスット警察長官代行に「直訴」。その悲惨な姿はマスコミの強い関心を買っており、各紙とも大きな扱いをした。

 直訴を受けた同警察長官代行は、3日以内に事件の真相を直接報告するよう指示。また、容疑を掛けられているニルット容疑者を公務から外すよう命じた。さらに、同容疑者の所属する警察署の署長、および事件を担当した警官は30日間、閑職へ左遷されることになった。

 スパンサさんは以下のように供述した。

 「仕事が終わり、食堂で食事をしていると、男3人組がやってきて、一緒に座るよう声を掛けられた。断って家に帰ろうとしたところ、3人組の中の警官(ニルット)が近づいてきて、『ここで少し飲んでから、俺の部屋でカラオケをしよう』と誘ってきた。一緒に行ったら強姦されると直感したので、拒否すると、激しい口論となった」

 「帰りしな、『帰り道は十分気をつけろよ』と脅された。その後、オートバイを運転していると、後方から2台のオートバイが近づいてきて、すれ違いざま、後部座席に乗っていたニルットに、ナタのような大きな刃物で腕を切断された。このため、バランスを崩し転倒、脚を複雑骨折することになった。警察に訴えたが、容疑者が警官のせいか、まったく捜査が進まず、警察長官に直訴する決心をした」

 これに対して、ニルット容疑者は殺人未遂の容疑を全面否定。テレビのインタビューで以下のように答えた。

 「あの夜、自警団員2人と酒を飲んでいた。そして、午前2時すぎ、スパンサさんが店にやってきたが、特に気に留めなかった。その後、私のグループのひとりがスパンサさんに声をかけ、戻ってくると、『先輩のことが好きらしいですよ』と言ったため、席を移動して一緒に酒を飲んだ。そのうち、スパンサさんが『寒い』というので、僕のジャケットを貸したが、『恋人はいるの』と聞くと、急に立ち上がって何やら騒ぎ始めたので、訳も分からず謝った」

 「その後、スパンナさんがオートバイのところに歩いていったので、シャツを返してもらうために、後を追った。しかし、返そうとせず、私はオートバイのキーを引き抜いた。すると、『2人だけで酒を飲みにいかない』と向こうから誘ってきたが、『皆で僕の部屋でカラオケをしよう』と提案した。しかし、スパンナさんは不満だったようで、そのまま帰っていった。僕はその後も、店でしばらく酒を飲んでいたが、店主も従業員も帰ってしまったため、そのことを証言してくれる人はいない」

 ニルット容疑者は、「トラックに轢かれて腕を切断された可能性もある」として、事件現場とともに、「スパンナさんの前歴もよく調べてほしい」と訴えている。

 果たしてどちらの言い分が正しいのか。セリピスット警察長官代行への報告期限、3月24日を過ぎたが、真相は現在究明中だ。


◆イスラエル人――子象を「人質」に警官と睨み合い
 4月28日午前10時30分ごろ、イスラエル人の男が子象を「人質」にして、野原にいるとの連絡が中部サムットサコン県警に入った。

 この男、ユラン容疑者(45)はパタヤでレンタカーを借りて、同県マハーチャイに向け車を運転していた。しかし、その途中で運転ミスをして、乗用車、ワゴン 車、オートバイなど複数に衝突してしまった。このため、警察に逮捕されることを恐れて、レンタカーを飛び降り、近くの野原に逃げ込んだ。

 だが、すぐに市民や警官が追ってきたことから、たまたま近くにいた2歳の子象を拘束。大型ナイフを片手に、警官との睨み合いが始まった。

 警官がナイフを捨て、象を解放するよう説得したが、同容疑者はまったく聞く耳を持たなかった。しかし、約1時間後、同容疑者のスキをついて、警官が飛びかかり、子象を無事救出した。

 逮捕時、同容疑者はかなり酩酊しており、「逮捕されたくなかったので、逃げた」と供述した。


◆オーストラリア人――パッポンのホステスを殺害

 8月5日午後1時ごろ、バンコク都内バンラック署にホテルで殺人事件が発生したとの通報が入った。

 事件現場となったのは、スリウォン通りのプラザホテル9階。被害者は歓楽街パッポン通りのバーに勤務するサイピンさん(26)で、花柄の布に包まれ洋服ダンスの中に押し込められていた。顔が変形するほど殴打されており、唇が裂けていたほか、両眼はともに潰れていた。

 警察の調べによると、容疑者は被害者の恋人でオーストラリア人のポール容疑者(46)。同容疑者は電話のコードをシャワーに巻きつけ、首を吊っており、遺体として発見された。

 被害者の母親によれば、2人は知り合って1年ほどになり、その間、ポール容疑者はずっとサイピンさんと家族の面倒を見ていたという。しかし、同容疑者のパ スポートが失効、さらに、本国で起こしたタクシー運転手への暴行傷害事件で3カ月の服役が課されたことから、しばらく帰国することになった。

 同容疑者が一時帰国するやいなや、サイピンさんは、若いフランス人男性2人に言い寄られ、交際。その2人からも金銭的支援を受け、さらに、その2人からほぼ同時に求婚されることになった。

 そうこうしているうちに、7月4日、刑期を終えた同容疑者が来タイ。事件現場となったホテルでサイピンさんと暮らし始めた。

 そして、8月2日、2人のフランス人がともに、サイピンさんの携帯電話に「結婚してほしい」との内容のメッセージを送付。それを同容疑者が読んでしまったため、大喧嘩となった。

 嫌気がさしたサイピンさんは部屋から逃げ出したが、このため、同容疑者は半狂乱となり、翌3日早朝、ホテルの窓から飛び降り自殺しようとした。そこで、警官はサイピンさんに連絡。駆けつけたサイピンさんの説得に応じ、同容疑者は自殺を思い止まった。

 しかし、その日の夜、2人はまたもや喧嘩。興奮した同容疑者がナイフで自らの腕を切りつけ重傷を負ったため、近くの病院で縫合手術を受けることになった。

 その後、2人はホテルの部屋に戻っているが、4日、心配した被害者の母親が何度も娘の携帯電話に連絡したが、不通。ホテルの部屋を訪ねたところ、2人の遺体を発見することになった。


◆服を着ないおじさん――新聞に登場、全国的有名人に

 東部ラヨン県バンチャオ郡で「服を着ないおじさん」として知られていたチャルムスットさん(66)がタイ字紙に登場し、全国的な有名人の仲間入りをすることになった。

 チャルムスットさんは8歳の時から上半身裸で暮らすようになったという。これまでにも何度も服を着ようとしたことはあったが、その度に、身体がかゆくなり、圧迫感・脱力感に襲われたそうだ。

 チャルムスットさんは、どんなに暑くとも、どんなに寒くとも、裸のまま。また、スーパーマーケットに買い物に行く時はおろか、結婚式や葬式のほか、どんな公式の場でも、服は絶対に着ないという徹底ぶりだ。ただ、地元ではチャルムスットさんは有名人のため、そのことを「非常識」と批判する者は誰もいないとい う。

 そんなチャルムスットさんだが、1度だけ、洋服の着用を義務付けられたことがある。身分証明書の更新時だ。写真撮影の際、「上半身裸は駄目」と言われ、役所にあった服を着るよう指示された。しぶしぶ、従ったものの撮影終了と同時に脱ぎ捨てている。

 娘さんらが上質の布のシャツを買ってくることもあるが、そのまま、親戚や貧困者にあげてしまうという。

 なお、同県保健所のウィワット医師は、強い日差しを長時間、直接肌に受けることは皮膚がんの原因となるとして、日中の外出時だけは服を着るようアドバイスしている。


◆妻に逃げられた男――元妻の下着16枚着用し、死亡
 8月21日、東北部ロイエット県で別れた妻のブラジャーやスカートを着込んだ男性が心臓麻痺で死亡するという事件が起きた。

 チャルンさん(43)は、2階建ての自宅近くでうつ伏せになって倒れており、口と鼻から出血、息絶えていた。発見時にブラジャー15枚を身に着けていたほか、黒いキャミソールを1枚首に巻きつけていた。

 さらに、ミニスカートも履いていたが、下半身に下着は着けていなかった。外傷が全く無かったため、医師は心臓麻痺が死因と診断している。

 チャルンさんの姉の話では、「弟はバンコクの眼鏡店勤務。そこで知り合った女性と長年暮らしていたが、相手に新しい恋人ができたため、逃げられてしまった」という。

 チャルンさんは何度も復縁を迫ったが、ことごとく無視されたことから、失意のうち帰郷。日雇い仕事などをしながら生活していた。しかし、お金が貯まると、元妻に会うため、バンコクに出掛けて行ったという。

 また、警察では、チャルンさんが逃げた元妻の下着と洋服をすべて実家に持ち帰り、大切に保管していたことから、死亡時に身に着けていた下着も元妻のものと警察では見ている。

 チャルンさんは最近、ストレスが多かったため、頭痛薬を溶かしたコーヒーを1日何度も飲んでいたという。それが心臓に負担をかけた上、女性用下着で胸部と首を過度に圧迫されたことなどから、急性心臓麻痺を起こしたようだ。


◆男子学生――立小便中、まさかの感電死
 8月23日午前5時ごろ、タイ北部チェンマイ市内の公衆電話横で男子学生が感電死するという事故が起きた。

 死亡したのは、ラチャパット大学チェンマイ校に通うパリンヤさん(23)。ジーンズだけを身に着け、上半身は裸の上、裸足のまま倒れていた。所持金は85バーツで、質屋に預けている質草の携帯電話の引換証が財布に入っているだけだった。

 また遺体発見時、遺体は感電し、痙攣していたため、駆けつけた警官は触れず。このためタイ発電公社に連絡、周辺の電気を停止してもらい、ようやく現場から動かすことができた。

  警察の推測によれば、パリンヤさんは、深夜知り合いに電話しようとしたものの、携帯電話は質入済み。このため、泥酔状態で裸足のまま、友人にオートバイを 借りて、公衆電話ボックスまでやってきたようだ。そして、酒を大量に飲んでいたため、通話中尿意を催し、受話器を持ったまま、電話ボックスの外で鉄条網に 立小便。

 ところが運悪く、この鉄条網に、ぶら下がっていた電線が接触。そこから漏電していたため、尿が鉄条網と大学生を伝導し、感電することになったようだ。

 なお、チェンマイ市民によれば、ここ以外でも電線がぶら下がり、漏電の危険性のある場所があちこちあるため、地元の新聞社に訴えていたとのこと。しかし、ついに犠牲者が出ることになってしまった。


◆ネット買春にご用心――会ってみれば100キロ超える超巨体
 9月27日、買春客が売春を持ちかけた女に脅され、警察に助けを求めるという「事件」が起きた。

 バンコク都内バンカピ地区タワンナ・スクエアの携帯電話販売ショップに勤めるケンさん(仮名、28)が事件前夜、インターネットで売春情報を検索していた ところ、「色白で、スタイルのいい美女を求めている方は、この電話番号に連絡ください」という美女の写真付き書き込みが目に入った。

 妻が妊娠中で禁欲生活を続けていたケンさんは、そのメッセージに心が動き、すぐ電話したところ、3時間1200バーツで合意し、翌日、わくわくしながら相手のアパートに向かった。そして、指定された部屋のドアをノックしたところ、そこにいたのは、色白だが、ネットに掲載されていた写真とは似ても似つかぬ体重100キロを超える巨漢の女。ケンさんはあまりのショックに言葉を失ったが、すぐに、キャンセルを申し出た。

 すると、その女、アム容疑者(仮名、27)は態度を豹変し、「だったら1200バーツ払いなさい」と要求。ケンさんが断固拒否し、部屋を出ようとしたところ、女はドアのところで仁王立ちとなり、「下には私の友人の男が待っているのよ。あんたを滅茶苦茶にするわよ」と凄んだ。

 「もしかすると、本当に暴行を受けるかもしれない」と不安になったケンさんは、とりあえず、手にしていた携帯電話を女に渡したところ、同容疑者は、「電話を返してほしかったら、1200バーツ持っておいで」と凄んだ後、ドアを開けたという。

 その後、部屋を出たケンさんはすぐに警察に連絡。同容疑者は、駆けつけた警官に恐喝容疑で逮捕されることになった。

 調べに対し、同容疑者は、「まったくの誤解。お金を要求したのは、私が彼のために使った時間に対する代償として。それに携帯電話はあの人が部屋に忘れていっただけ」と供述し、容疑を否定。しかし、警察では恐喝・強盗の容疑で同容疑者を起訴する方針だ。

 なお、タイ警察によれば、現在、インターネット上に売春を持ちかける内容の掲示が増えているというが、その多くが詐欺まがいのもので、被害者が急増しているという。