![]() |
|||||
|
2006年
「眼鏡をかけることで、どんな自分になってみたいですか?」。 これが、「丸顔の私でも似合うのはどんな眼鏡でしょう?」という筆者の問いに対し、「眼鏡作家」伊藤正人さんがまず、言った言葉だ。眼鏡をかけ始めて随分とたつが、そんなことを考えたことは1度もなかったので、いささか面食らった。 伊藤さんは、顧客の要望をききながら、世界に1つだけ、その人だけの眼鏡を作る「眼鏡作家」だ。愛知県を拠点に眼鏡を制作、日本国内はもとより、パリなどでも人気を集めている。日本以外のアジアで個展を開催するのは、今回のバンコクが初めてだ。 伊藤さんいわく、眼鏡は、「なりたい自分になるための積極的な小道具」。丸顔だとか、面長といった顔の造詣を基に眼鏡を選ぶのではなく、「シャープなイメージの私」や、「やり手エグゼクティブ風の私」などを作り出す、自己演出の1つの手段というわけだ。
伊藤さんが眼鏡を作り始めたのは、1997年のこと。学校卒業後はまず、テクニカル・イラストレーターや子供向け絵画教室の教師などをする傍ら、自分の作品をほそぼそと作ってきた。 しかし、師匠と慕う人に、「アーティストとして大切なのは、制作できる環境を整えることだ」と指摘され、90年代半ばから、「作品を作って販売する」というシンプルな生活スタイルに思い切って変更。アクセサリーや腕時計など制作する作品は紆余曲折を経たものの、最終的に今の眼鏡に到達。現在は、日本六古窯の中でも特に古い歴史をもつ愛知県常滑市で、幕末時代に建てられた古い日本家屋をアトリエに改造、1本1本の眼鏡をすべて1人で手造りしている。 手造り一点物ということで、心配なのがお値段だが、1本1万500バーツ+相談料(3500バーツ〜)とお手ごろ。これも、「芸術作品として扱ってもらうより、実際に使ってもらうことで初めて作品がいきてくる」とのポリシーがあるから。できあがった眼鏡は全て、「僕とお客さんとのコラボレートです」と言い切る。 日本では最近、安売り眼鏡の台頭により、逆風も感じているというが、バンコクでは「ダイレクトな反応がかえってきています」と手ごたえも上々のようだ。個展初日で既に、数点のオーダーも入ったという。一時期、バンコク移住も真剣に考えたというアジア好きの伊藤さん。今後はアジアの他都市でも展開を検討しているそうだ。
|
|||||
|
|
|
|