2005年
1170号(6月13日〜6月19日)
ワンサーン(ラオス)
文・写真/高杉等


一部は金色に塗られてしまったワンサーンの磨崖仏

 ラオスの遺跡をとり上げるとなると選択肢が限られてしまう。古都ルアンプラバンには由緒ある寺院が多数あるが、手入れのされたこれら寺院を遺跡と呼ぶ気はしない。

 エメラルド仏が祀られていた首都ビエンチャンのワットホーパケオも、19世紀にシャム軍に破壊され、それがそのまま放置されていたら魅力的な遺跡になっていただろうが、今はただの博物館だ。身勝手な考え方だが、そういった目でみるとラオスでは遺跡はあまりに少ない。

 ビエンチャンの北65キロ、ルアンプラバンへ向かう国道脇にあるワンサーンの磨崖仏は、そういった意味では貴重な遺跡だ。

 国道からわずか10分ほど枝道を入っただけで、人気のない砂岩の岩山とかん木の生い茂るいかにも秘境を感じさせる場所に出る。ちょっとした広場に面して直立した岩山があり、その岩肌に10体の仏坐像が彫刻されている。

 ワンサーンの名前は、そばを流れる川がこのあたりで1番深く、この深場を土地では「ワン」と呼び、そこに横たわっている岩を象「サーン」に見立てたため2つの言葉が合わさって呼び名になったと伝えられる。

 そういった伝承がなくても、岩と岩の隙間は象が体をこすりつけて通るのに具合がよさそうだ。昔は象の通り道だったから象にちなんだ名前、ワンサーンがついたのかと思っていた。

 両足を組んだ仏像は大小さまざまで、大きなものは4メートルほどもある。一部、土に埋もれている仏像もあり、あまり訪れる人は多くないようだ。

 彫刻された年代は、11世紀頃と思われるが16世紀だという説もある。全体の雰囲気は、東北タイに見られるモン文化とクメール文化が融合したモン・クメール様式に似ているので、11世紀の作だと言う方が納得がいく。ビエンチャン周辺には同じような仏坐像はないので、ラオス南部か東北タイからやって来た人がここに留まっり、作ったのではないかと言われている。

 一部の仏像は黄色に塗られているが、東南アジアではでよく見かける光景だ。それより国道からの入り口に、掘っ立て小屋を集めたようなワンサーンリゾートという建物ができていたが、こちらの方が心配だ。せっかくの雰囲気を壊さないで欲しい。

(アクセス)ビエンチャンから車かオートバイで行く。または旅行会社のツアーに参加する。バスも通っているが本数も少なく、時間もあてにならない。宿はビエンチャンに各種そろっている。。


【アクセス】
ビエンチャンから車かオートバイで行く。または旅行会社のツアーに参加する。バスも通っているが本数も少なく、時間もあてにならない。宿はビエンチャンに各種そろっている。