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2004年 |
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旧暦3月、太陽暦で2月ごろにムン川を遡上(そじょう)するのは小型の魚が多い。事情を知らない人がこの時期の漁を一見すると、小魚を獲ってしまっているように見えてしまい、そのため、資源の枯渇を招くのではと心配になることだろう。だが、これらは成長しても20センチを越えることのない種類の魚なのだ。 しかし、小さいとはいえ、地元の人々の生活のなかで重要な役割を果たしている。まず、漁師の家の食卓に上る。この時期、コイ科の魚の一部は日本の鮎のように苔を食べる。焼いて食べても泥臭さはそれほどない。余れば竹ひごを刺したものを2〜3匹ずつまとめ、村の中で売る。更に余分があれば地元の市場で販売する。 ただ、このように鮮魚として流通する魚はそれほど多くはない。一度に大量に獲れる魚は、「パデーク」にするのが一般的だ。これは魚を発酵させたもので、「プラー・ラー」とも呼ばれる。東北タイ(イサーン)やラオスでは、日常生活に欠かせない調味料兼副菜である。 大量に獲れた回遊魚は、市場に行くまでもなく、川の船着場で買い付けに来た地元の人たちによって運ばれていく。メコン川流域で、どの程度の量の魚が消費されているかはっきりと分からないのは、このように村人から村人へと流通する分が非常に多いからだ。発酵させて食べるので、魚が小さくとも有効に活用できる。以前訪れたラオスの村では、水田のめだかを大量にとり、それでパデークを作っていた。
ところで、パデークの作り方だが、まず魚を塩漬けにして、その後発酵させる。魚の内臓を取り、きれいに洗ったものに塩をすりこみ、炒った玄米や糠などと一緒に壷に漬け込む。壷はふたをして、3か月ほど軒下などにおいておく。出来上がったものは、調味料として料理に入れるほか、主食のもち米と一緒に食べる。 イサーンの人々は半ば冗談で「ウジが湧いていないパデークは本物ではない」と言う。実際、しっかりと泥で固めて隙間ができないようフタをしているのに、壷を開けるとウジが湧いていて不思議だ。おまけに、これを食べるのかと思うと少々ひるむが、ウジがいるのはフタの近くの表面部分だけで、内には全くいない。 バンコク都民の大半が「不潔な食べ物」として偏見を持っているパデークだが、納豆や鮒鮨(ふなずし)を喜んで食べる日本人の中には、「なかなかの美味」と感じる人もいるはずだ。 ただ、残念なのは、多くの人が最初に大量のグルタミン酸を投入すること。それも〃適量〃をはるかに超えた量を入れるのだ。地元の人は「味が良くなる」というのだが、パデーク自体が出す旨みで十分なはずだ。「日本のものは良いね」と褒められることもあるが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し、と思ってしまう。
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