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2004年 アジアこども教育センター(筆者主宰)の活動の一環として日本の大学や小中学校などを毎年まわり、開発教育を軸にした文化交流をおこなっている。そのうちのひとつ東京都荒川区の尾久八幡中学校を2年まえに一度だけたずねた。面識はないが、同中の1年生にメビサさん(13)というタイ人女性が在籍している。定住をもとめて東京入国管理局など政府とおこなった一連のやりとりは新聞・テレビでも報道された。ご存知の方もおおいだろう。メビサさんをめぐる問題は日本の官僚の非国際性・反国際性ぶりをあらためてしめした。 彼女の支援にくわわった知人や新聞の記事などをもとに経緯を要約すると次のようになる。 メビサさんの父は交通事故で、母は病気のため死亡。日本人と結婚して東京にすむ父方の祖母をたよって昨年2月に来日した。荒川区立の小学校六年に編入し、ことしの春から尾久八幡中にすすんだ。祖父母とはすでに養子縁組してある。 半年から3年までの滞在しかみとめられない在留資格をとれたが、今年7月7日で期限がきれることになっていた。「日本がすきで、友達もたくさんできた。タイにかえってもそだててくれる人はいない。日本にいさせて」とうったえたメビサさんは東京入国管理局に定住をみとめてくれるようもうしでた。 だが永住者の養子でも6歳以上だと定住者の資格をえられないという法相告示を楯に同局はうけつけなかった。ここでおわっていれば事態は公にはならず、メビサさんはいまごろタイにおくりかえされていただろう。 6月29日―。東京入国管理局の処分とりけしをもとめる訴訟を東京地裁にメビサさんはおこした。このあたりから学校関係者や地域の人々を中心に支援の動きがひろがりだした。尾久八幡中や区の教育委員会らは7月1日から署名運動をはじめた。支援者の署名はおよそ6000人分にたっし、7月5日午前に東京入国管理局へ提出した。 この運動をすすめた中心人物のひとりにアジアこども教育センターの関係者G氏がいる。別の中学校の教員で、尾久八幡中の校長先生とは旧知の仲だ。メビサさんが東京入国管理局に出むいた5日はG氏も彼女に同行した。G氏の話によると、支援者たちは交渉の場で、メビサさんに定住資格をあたえてくれるようつよくお願いした。 これにたいして東京入国管理局の関係者は拒否の姿勢をくずさず言った。「法律を無視するわけにはいかない。日本は法治国家である」と。この言葉にG氏はあきれかえったという。 憲法を完全に無視し、戦争しているイラクへ自衛隊という軍隊を大量に送り込んでおいてなにが「法治国家」か。お嗤い草である。 滞在期限のきれる前日の6日、政府側の態度が手のひらを返すように変わった。在留期間の更新をみとめるという(未確認だが、とりあえず1年とのこと)。G氏いがいで、支援活動にくわわった複数の知人は異口同音にいった。「小泉首相の鶴の一声。参議院選がらみでしょう」。この見方がただしいかどうか、わたしにはわからない。ただこういう意見がでてくるほど日本の政治家は信用されていないという証明にはなろう。 メビサさんの在留延長決定のニュースをG氏が録音し、国際電話でそれをきかせてくれた。「とうぜんの措置。人道支援だ」という小泉首相の話がさいごにはいっていた。白々しさをわたしはかんじた。「とうぜん」と胸を張るのなら、定住者の資格をただちにメビサさんへあたえるべきであろう。メビサさんをめぐる問題の今後に注目してゆきたい。
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