総 合

警察官射殺事件

国軍関係者による犯人隠匿説も



父親の大物政治家「出頭」の約束を反故

 国防省は今月二日、チャワリット副首相兼国防相の承認に伴い、警察官殺害事件の容疑者ドゥアンチャルム中尉を停職処分とした。同容疑者は先月二十九日午前一時頃、バンコク都内のパブで、現職警察官を至近距離から撃って殺害したとされる。父親のチャルム氏はチャワリット副首相兼国防相を党首とする新熱望党の副党首を勤めていたが、事件直後に辞任した。

 ドゥアンチャルム容疑者は警察官を殺害してすぐに二人の兄や仲間と現場を去り、その後、父親のチャルム氏と会ったことが確認されているものの、現在は行方不明。チャルム氏によれば、同容疑者は二万バーツ程度の現金を所持し、五、六人のボディガードと一緒にいるはずだという。

 警察は今月一日、タイ東部トラート県に近いカンボジア領ココンのカジノで「ドゥアンチャルム容疑者の一行を目撃した」という情報を入手した。このためトラート県の入国管理官が同容疑者らが予約したとされるホテルの部屋を捜査したが、何も確認できなかった。

 プラサート国防相顧問によれば、バンコク〜トラート〜ココンは犯罪者が国外脱出に使うルートとして知られており、一度カンボジアに入国すれば、首都プノンペンで偽造パスポートを入手して高飛びすることもさほど難しくないという。

 また、チャルム氏が複数の国軍関係者と親交があることから、ドゥアンチャルム容疑者が国軍の施設に隠れていることも推測された。チャルム氏は先に、「息子を今月五日までに警察に出頭させる」と約束していたが、同容疑者は姿を見せなかった。このためナロン国軍最高司令官は今月五日、国軍の各施設に対し、同容疑者が匿われていないか確認するよう命ずるとともに、「犯人隠匿に関与した者がいれば、誰であろうと処罰する」と警告した。

 ドゥアンチャルム容疑者の行方については、このほかカンチャナブリ県にある父親所有の別荘に潜んでいるとの見方もある。しかし警察および国軍の懸命の捜索にもかかわらず、現在のところ、同容疑者の所在は判明していない。

 ドゥアンチャルム容疑者と共に殺害現場にいた仲間二人は、すでに逮捕された。警察はパブの一般客三人に協力を求め、これら二人が事件当時、容疑者と一緒にいたことを確認した。殺人を幇助したとされる二人は、「法廷以外の場所で言うことはない」と黙秘を続けている。

 一方、プラチャイ内相は、事件が起きたクラブ・トゥエンティがいまだに営業を続けていることに疑問を呈した。これに対し経営者は「店側に過失はなかった。警視庁に陳情し、営業が許可された」と説明。しかし同相は「陳情が認められるかどうかにかかわらず、凶悪犯罪が起きた店は三十日間の営業禁止となるはず」と述べている。



[BANGKOK SHUHO]