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米国テロの影響必至、失業者二百万との試算も

労働省、アグロビジネスに活路


米国テロの影響必至、失業者二百万との試算も

 労働社会福祉省は今月三日、国家経済社会開発委員会の調査を元に、来年の失業者数は百七十万人、失業率は五%に上るとの予測を発表した。来年の労働人口三千三百万人に含まれる新卒者七十万人についても、うち五十万人は就職できない見込みだという。また先月米国で起きたテロ事件は、国内だけでなく海外の就労にも大きな影響を与えることが予想される。同省のイラワット事務次官は、「テロ事件を発端として戦争が始まるようなことがあれば、失業者の数は二百万人に達するだろう」と語っている。

中東タイ人労働者、避難進まず

 首相府国家統計局が三カ月毎に発表する労働力統計によれば、通貨危機による不況が始まった九七年以降、失業率の年平均は、九八年が四・四%、九九年が四・二%、昨年が三・六%。今年は六月までの統計で、失業者数が百三十九万人、失業率が四・二%となっている。失業率が五%を越えたのは過去十年間でも、九八年の第2四半期、九九年の第1、第2四半期だけだった。

 労働社会福祉省のイラワット事務次官は、失業者のうち百万人が、求職活動を行わない怠業者となっていることも指摘する。同省では失業者の増加に備え、工業省、商業省ほか、工業連盟、商工会議所とともに対策を協議する予定。また職業訓練を提供している同省技能開発局では、戦時下でも成長が見込まれるアグロビジネスの職業訓練に重点を置く一方、景気が後退しているサービス業や情報産業に関する訓練は中止するとしている。

 九七年の不況以来、政府は海外の就労も推進してきた。労働社会福祉省の統計によると、近年、海外で就労するタイ人は十年前の三倍近い年間二十万人。就労先としては台湾、マレーシア、シンガポールなどアジア諸国が多く、全体の九〇%を占めている。一方で、九〇年に全体の二五%を占めていた中東への出稼ぎは年々減少し、一〇%を下回るようになった。それでも年間一万人を越えるタイ人が中東で就労している。

 政府は先月三十日、米国で起きたテロ事件に伴う軍事行動が始まった場合、中東で働くタイ人を避難させる方針を表明。しかし資金不足により避難が進まないまま、今月七日からは米国及び英国のアフガニスタン軍事施設に対する空爆作戦が開始された。

 海外就労については、労働者を保護する法律が整っていない問題が以前より指摘されてきた。国立チュラロンコン大学アジア研究所の調査によれば、海外就労者の多くは、民間の斡旋業者に手数料を払うため、収入のほとんどを本国に送金しながら、苛酷な状況下で働いているという。また、悪質な斡旋業者による詐欺事件も後を絶たず、労働社会福祉省には海外就労に関し、九六年から九八年の間に一万五千三百二十件、総額四億六千三百万バーツの被害が訴えられている。

(小林ゆかり記者)



[BANGKOK SHUHO]