経 済

タイ経済

米国テロの影響、顕著に


困難な局面はこれからか

 米国で発生した同時テロ事件から一か月。その影響がタイ経済にも顕著に現れてきた。テロ後にいち早く反応したのが株式市場だ。タイ証券市場(SET)インデックスは以前までわずかながら上昇傾向にあり、テロ直前の九月十一日の終値は三三〇・三七だった。ところが、テロ後に続落し、十月十一日の終値は二八六・四二と、テロ前に比べて一三・三%の下落となっている。

 テロ事件によって混乱したままなのが観光業界だ。十月八日のタイ観光庁(TAT)の発表では、九月にタイを訪れた外国人渡航者は七十三万人で、前年同月比〇・〇三%増に止どまった。前年比でわずかながら増えているものの、これはTATが年初に出した今年の渡航者数増加率目標の七―八%を下回る。地域別に見ると米国からの渡航者が一〇・一%減と落ち込みが大きい。日本を中心とする東アジアからの渡航者も四・三%減。ただし欧州からの渡航者は一四・二%増となっている。

 TATでは今年の観光収入を当初三千二百億バーツと見込んでいたが、テロの影響で二千八百億バーツへと下方修正した。ちなみにタイホテル協会ではテロ発生からこれまでに既に百二十億バーツの利益が失われたとしている。

 タイ経済にとって重大な問題となりそうなのが輸出だ。十月十日に財務省が発表した速報によると、九月の輸出は二千二百二十三億バーツで、前年同月比一六・七%減となった。輸入も一六・四%減となっている。ただし輸出は、観光旅行のように突然キャンセルするということはできないので、九月の落ち込みは今年に入ってから出てきた輸出低迷の延長線上にあるものと思われる。テロの影響が今後の注文減少、さらなる輸出落ち込みという形で現れるのは確実。米国はインド、パキスタンに対して核実験実施の制裁とし輸入規制を課していたが、両国がテロ制裁で支援国となったため、それを撤廃した。タイは両国に繊維、宝石類で米国市場の一部を奪われる可能性もある。

 タクシン政権は今年の経済成長率目標を一・五―二%としているが、輸出・観光収入の落ち込み如何によってはもう一段の下方修正も有り得そうだ。通信社のロイターがタイの地場・外資の主要な証券会社のアナリストに行ったアンケート調査では、今年の実質経済成長率は平均で一・三五%、来年も二・三七%に止どまると悲観的な結果が出ている。 今後のテロ制裁、世界経済の情勢次第では、タイ経済は相当に厳しい局面を経験するかもしれない。

      




[BANGKOK SHUHO]