民放テレビ局iTVを買収
2002年第14半期をメドに上場
タイ最大の通信会社、シン・コーポレーション(シン・コープ)は五日、タイ国内で唯一の民放テレビ局、iTVの株式の過半数を買収することなどを含む事業計画を発表した。
同事業計画によれば、シン・コープはおよそ十一億三千万バーツを投じ、iTVの筆頭株主、サイアム・コマーシャル・バンク(SCB)から一億六百二十五万株を取得、持ち株比率を現在の三九%から六四%まで高めることから、iTVの経営権はシン・コープへ移行する。
シン・コープはタクシン首相により設立され携帯電話事業からインターネット事業まで幅広く手掛ける一大通信グループ。今回のiTV経営権の取得はシン・コープの事業拡張計画の一つであるマルチメディア事業への業務拡大の一環として着手された。
iTV株の放出により、持ち株比率が五五%から三〇%まで減少するサイアム・コマーシャル・バンクのチャダー総裁は「リストラ策の一環で今後非コア事業への投資を縮小する」方針だと述べ、iTVへの経営からは完全撤退する考え。
その他、シン・コープでは、株式の公開買い付け(TOB)を実施しiTV株を一〇〇%取得する計画。これに対しサイヤム・コマーシャル・バンクでは残る三〇%のiTV株について買収に応じる意向。シン・コープはiTVの設立者らが所有する株式を含めた残りの一億五千三百万株(全体の三六%に相当)を一株当たり十・六六バーツで買収する方針。
シン・コープのブンクリ最高経営責任者(CEO)はiTV買収について「最終的に二〇〇二年第1四半期をメドにSETに上場する」意向を表明。これらのSET上場計画でシン・コープは総額二十七億バーツを投入する見通し。上場後には最大で六一%の株式を放出すると述べている。
iTVは一九九二年五月の流血事件を契機に自由で独立した報道を目指し創設されたタイ初の民間放送局。これまで報道番組やドキュメンタリー番組を中心に番組制作を行い、特にニュース番組において内外から高い評価を得ていた。
しかし昨年、事業拡張の一環でテレビ事業への本格進出を狙うシン・コープが経営不振の続くiTVに資本参加。それ以来、シン・コープがiTVへの経営関与を深め、収益性の強化を叫ぶ経営陣が娯楽番組を増やしニュース番組の比重を減らす方針転換を実施した。
それを契機に上層部の編集方針への干渉を嫌う編集スタッフと経営陣が対立。報道の自由を求める編集スタッフ百人近くが集団解雇された後も上層部からの編集スタッフへの圧力が強まり偏向報道問題が浮上。さきの総選挙以来、「タクシン首相が党首を務めるタイ愛国党や現政権の不利になるようなニュースの報道が差し控えられている」と同局に対する国民の不信が募りかつてあったニュースの信頼性が失われつつある。
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