週間ニュース


九月二十七日(木)

ホープウェル計画

 タクシン首相は、政府庁舎で開かれた運輸関連の研究集会(ワークショップ)に出席。「タイ国有鉄道はホープウェル計画を復活させるより、鉄道サービスの拡充に予算を使うべき」との認識を示した。鉄道と一般道路の二層高架システムを建設する予定だった同計画は、受注したホープウェル社が資金難に直面したことから、路線の一部にコンクリート柱を建てただけで中断された。タイ国有鉄道は、この計画を復活させたい考えだが、それには数百億バーツが必要とされる。今回、タクシン首相が否定的な見方を示したため、巨大なコンクリート柱は撤去されることになりそうだ。

入国管理の強化

 スラキアット外相は、国防相、内務相と会談した後、「政府はテロリストの入国を阻止するため、入国管理を強化するとともに、ビザなし入国の特権についても見直す方針だ」と述べた。同相によれば、この措置は観光産業には影響せず、諸外国との協力拡大につながるものだという。事前のビザ取得を必要としないこの制度は、観光促進のために八六年から導入されているが、「好ましからざる人物の排除を妨げている」との指摘もある。現在、五十七カ国については、事前にビザを取得しなくても観光客として一カ月滞在でき、九十六カ国については入国時に十五日間のビザが取得できるようになっている。

遡及効の問題

 最大野党・民主党党首のチュアン前首相は、「アルパイン・ゴルフコースに隣接する分譲住宅の購入者を救済するために新法を制定し、遡及効とするには問題がある」と指摘した。問題の土地は、先に法令委員会、国土局が「寺院の所有地であり、本来は売買できないものだった」との判断を下した。このため分譲住宅の売買契約が無効となり、政府が住宅購入者の救済策を検討することとなった。法令委員会の議長で、法律の権威として知られるミーチャイ元上院議長は、「内務省主導で新法を制定し、これを分譲住宅売買の時点にまで遡って適用すれば、購入者を救済できる」と提案。しかし弁護士でもあるチュアン党首は、「何も知らずに購入した人々には同情するが、意図的に法律に違反した人物の責任は明確にしなければならない」と述べている。野党陣営は、責任の所在をうやむやにする新法の制定には反対してゆく方針だという。

九月二十八日(金)

賠償金の支払い

 民事裁判所は、九一年三月二日にバンコク・クロントイの化学薬品倉庫で起きた爆発炎上事故は、タイ港湾公社の怠慢が招いたものであると判断。火災で片目の視力、片耳の聴力を失った原告ウサーさん(二七歳)の訴えを認め、被告のタイ港湾公社に対し、三百二十万バーツの賠償金を支払うよう命じた。このような裁判で、国側の責任が認められたのは初めてのこと。勝訴の報告を受けたウサーさんは、「ラムカムヘン大学で勉学を続けたい」と語っている。

首相の米国訪問

 タクシン首相は今年十一月に米国を公式訪問する予定だ。スラキアット外相によれば、現在、両国の政府間で具体的な日程について折衝が行われているという。首相は十月二十日と二十一日に上海で開かれるAPEC首脳会議に出席するが、ここでもブッシュ米大統領と会談する機会があるものと予想される。

DNA鑑定

 チュラロンコン病院のウィスット医師が、妻のパサポン医師を殺害した容疑については、検察が先に証拠不十分として不起訴を決定。しかし科学犯罪捜査課のクリサダ警察中佐は、「DNA鑑定を行ったところ、パサポン医師の髪の毛と、捜索で発見された肉片が同一人物のものであることが確認された」と法廷で証言した。この事件については、パサポン医師の家族が、民事裁判所で損害賠償を求める訴えを起こしている。同裁判所はさらに三人から証言を得て、訴状を受理するかどうか決める予定だ。

航空貨物の運賃

 タイ国際航空は十月一日から、航空貨物運賃を欧州路線で一〇%、米国路線で一五%値上げする。国内線の貨物運賃についても、十一月一日から一五%値上げする予定だ。これは、ジェット燃料の価格が上昇し、航空貨物量が増加する冬季に合わせたもので、先に米国で起きた同時多発テロ事件とは関係がない。航空局もすでに値上げを承認している。一方、ほかの多くの航空会社は、テロ事件で保険料が上がったため、航空貨物運賃を飛行距離一キロメートル当たり十セントほど値上げしている。

九月二十九日(土)

法律の改正

 国土局が売買を認めていたアルパイン分譲住宅地が、寺院の所有地だったことが発覚。住宅購入者の契約が無効とされたため、国民の関心が集まっている。法令委員会のチャイワット事務局長は、「寺院の不動産売買を制限しない法案を議会が承認すべきだ。そうすれば寺院の利益にもなる」と強調した。

外国人労働者

 ミャンマー人労働者が、バンコク首都圏で就職するケースが増加。ミャンマーと国境を接するターク県では、人手が一万八千人分足りないという事態が発生している。ターク産業評議会のタウィーキット会長は、「ターソンヤン、メソット、メラマット、ポププラ、ウンパンなど国境に近い事業所では、職業紹介業者が三千人から四千人のミャンマー人をバンコクやその近隣県に連れて行ってしまった。ミャンマー人も待遇がよい都市部で働くことを望んでいる」と語っている。

アジア開発銀行

 北部の農業用水問題を検討する委員会は、「政府はこれ以上アジア開発銀行から財政支援を受けるべきではない」と表明。この報告は十月六日にプラパット副農相に提出される。同委員会のモントリー書記は、「政府はアジア開発銀行から六億ドルにのぼる借款を受けたため、水源を商品と見なすような銀行側の指示に従うことになった」と述べている。銀行側は灌漑局に対し、農業用水をトン当たり〇・五バーツ、工業用水をトン当たり四バーツで販売するよう指示。このほか、水道関連の国有企業の民営化も提案している。モントリー書記は、「水を商品化すれば、農業よりも工場や都市部に水を回すことになる」と指摘。カセサート大学(国立農業大学)のデチャルット講師も、「農民は政府の保護を受けず、天然資源を利用して生計を立てている。農民から農業用水の料金を徴収することはできない」と述べている。

九月三十日(日)

省庁の再編

 行政改革のもとで新しい省の設置が計画されていることに対し、「連立政権は大臣ポストを増やして結束を図ろうとしている」との批判が起きている。しかしチャワリット副首相兼国防相(新熱望党党首)は、「新しい省の設立は業務の効率化を目的としたもの。国内外の状況変化に対応するため、省庁の再編は必要だ。新しい省を設立しても大臣ポストは増やさないし、誰かが喜ぶようなこともない」と指摘した。

タイ人避難の費用

 政府は、米国によるアフガニスタンへの報復攻撃が始まった場合、中東で働くタイ人を避難させる計画だが、その費用は十億バーツを超える。外務省のノラチット報道官は、「二日の閣議では、十億七千四百万バーツの申請について審議が行われる。しかし、実際に承認される予算は申請額を下回るだろう」と述べた。労働社会福祉省は、避難のための費用を捻出しようと、現在、海外就労紹介業者からの資金調達を検討している。

怪文書の問題

 中央選管の委員選出にタクシン首相が干渉しているとの怪文書が出回った。この件について首相は、「二人の元閣僚が犯人だ」と発言。民主党のチュアン党首は、首相に対し、その二人の指名を明らかにするよう求める一方、「首相が干渉したことを示す確固たる証拠がある。タクシン首相はこの問題に深入りすると墓穴を掘るだろう」と注意を促した。さらにチュアン党首は、外来の医療費を一律三十バーツとする制度について、「多くの医師が医療サービスの低下を懸念している」、各村に百万バーツを提供したことについて、「農民の自立を阻害する」と指摘。このほか要人の車に付くパトカーの先導、国務事務次官の異動などについても政府を批判した。チュアン党首は、パニット女史が国務事務次官から道路交通管理室事務局長に異動になったことを不当としている。

十月一日(月)

ヘルスケア計画

 外来患者が病院で支払う医療費を一律三十バーツに抑える「ユニバーサル・ヘルスケア・プログラム」が全国的に実施されることになった。先行して実施された県では、住民が病院に殺到し混乱が生じたとも報じられている。スダラット保健相によれば、このプログラムは保健省職員の努力により、当初の予定より一年早く全国的な実施が可能になったという。

コンクリート柱

 タクシン首相が先のワークショップで、ホープウェル計画の復活に否定的な見解を示したことから、同計画で建設された巨大なコンクリート柱は取り壊される可能性が高い。しかしチュアン前政権で副運輸通信相として同計画を監督した野党・民主党のプラディット副幹事長は、「計画の復活については、委員会を設け、三年に渡って検討した。これだけでも数千万バーツの費用がかかっている。タクシン首相は判断を下す前に委員会がまとめた報告書に目を通すべきだ」と述べている。

省庁再編に異議

 法務省は、警察機構を同省の監督下に置くことを提案。この件は先に開かれた行政改革会議でもとりあげられた。しかし本日就任したサン警察長官は、この案について「実際的でなく、国民のためにならない。法務省は、矯正局と検察庁も警察同様、監督下に置きたいとしているが、これら二つの機関と警察では仕事の性質が異なるので同じ省が管轄すべきではない」と指摘した。同長官は、法務省の権限が大きくなりすぎることも懸念している。

通商代表を補佐

 商業事務次官を務めていたクルククライ氏は異動により、首相府で通商代表を補佐することとなった。これについては、同氏がアディサイ商業相に嫌われ、左遷させられたとの見方もある。クルククライ氏はいまだ地位が確定していないため、「異動は恣意的なものだった」と公務委員会に提訴。「公務員として、これまでは自分の役職、仕事の内容がはっきりした状態で働いてきた。現在のような不安定な状態はなかった」と語っている。

十月二日(火)

人道的な配慮

 十年前の化学薬品倉庫の火災について、民事裁判所は先に、タイ港湾公社が被害者に賠償金を支払うよう判決した。プラチャ副運輸通信相も人道的な配慮から、同公社理事会に対し、控訴しないよう伝えた。この火災で身体障害者となった原告の女性には、国民の同情が集まっている。火災で被害を受けた人々の多くは、公社の所有地に勝手に住み着いていた。しかし同副相は「過失は公社の側にあるので、被害者に賠償するのが筋。公社が原告に支払う金額は月六千バーツにすぎない」と述べている。

バス運賃の改定案

 バンコク大量輸送公社が政府の補助を受けずにすむよう、冷房バスの運賃を、現在の距離に応じた八〜十八バーツから、一律十五バーツに改定することが計画されている。ポンサコン副運輸通信相によれば、冷房バスの営業には、乗客一人当たり十四バーツの費用がかかっているという。同副相は「十五バーツの運賃が高いと感じる人は、冷房のない普通バスを利用すればよい」と述べ、一部で報道されていた「普通バスの運賃が現在の三・五バーツから七バーツに引き上げられる」との噂を否定した。

テレビの営業免許

 野党・民主党は、「ワールド・タイ・スターTV社にテレビ放送の営業免許が付与された件には、規定違反がある」として、その責任を追及する姿勢を見せている。政府広報局が九六年に免許を与えたタイ・スターTV社は、九九年五月にテレビ放送を中止。このため広報局が免許の取り消しを検討していたところ、同社はワールド・タイ・スターTVと名称を変更し、「テレビ放送を再開する」と広報局に連絡している。政府の調査委員会は、九六年の免許付与に関して調査を行っただけで、九九年の社名変更には触れていないが、「免許の付与に問題はなかった」としている。。民主党の運輸通信委員会議長のシリチョーク議員は「調査委員会の判断は承服できない。商業登録局の記録により、タイ・スターTV社とワールド・タイ・スターTV社は、株主、経営陣、所在地が異なる別個の会社であることが判明している。免許をそのまま使い続けることはできないはず」と指摘している。

十月三日(水)

失業者百七十万人

 国家経済社会開発委員会の予測に基づくと、来年の失業者は新卒者も含めた場合、百七十万人に達する見込み。イラワット労働社会福祉事務次官によれば、労働力人口は三千三百万人程度で、失業率は五%となるという。来年の新卒者七十万人のうち就職できるのは二十万人程度で、五十万人あまりが失業者に加わるものと見られている。

講師が出頭

 三カ月前に妻を殺害したとされる国立開発経営研究所(NIDA)のピパット講師がノンカイ県で警察に出頭した。同講師は警察の出頭要請にもかかわらず、ベトナムに出国し、その後、ラオス経由でタイに戻ってきたようだ。今後、同講師の身柄はバンコクに移され、本格的な事情聴取が行われる。


[BANGKOK SHUHO]