総 合

低額医療サービス

タイ全県で実施へ


広報不足 現場では混乱も

 外来患者が病院で支払う一回の医療費を一律三十バーツに抑えるとの低額医療サービスが今月一日から、バンコクを含むタイ全国七十五県に導入された。この制度は、タクシン首相が党首を務めるタイ愛国党が総選挙で有権者に公約していたもので、今年四月に六県、六月に二十一県で試験的に導入、そして今月からバンコクを含む残りの県でも実施されることになった。しかしバンコクに関しては、今回の適用されるのは十六区だけで、五十区すべてに導入されるのは来年四月になる予定だ。

 同サービスの全国的実施にあたり、制度の監督官庁である保健省のスダラット大臣は、「すでに準備ができていたため、新たにプログラムを導入した国立、私立病院でも問題はほとんど起きていない」と説明しているものの、一部の現場では相当混乱があった模様だ。 バンコク都内ノッパラートラチャタニ病院の関係者は、制度をよく理解していない人がほとんどで、看護婦、職員がてんてこ舞いの状態と話す。公務員は保険制度があるため、低額医療サービスを利用できないのだが、そうとは知らずに病院に足を運んだ者も相当数にのぼるという。

 このほか、病院側の準備不足により、スタッフの理解が不十分だったことも、混乱に拍車をかけることになった。ノッパラートラチャタニ病院にはスダラット大臣が自ら視察に訪れていた。 

 同サービスは、二十一県ですでに導入から数カ月間経つわけだが、スラポン保健事務次官によれば、「これまでにいくつかの問題点が指摘されている」という。

 この制度を利用するためには、まず最寄りの病院で登録したうえで、登録証を受けることが必要となる。つまり、低額医療サービスを受けることのできるのは、その時に登録した病院に限定されるわけだが、これを知らずに、指定された病院以外で、サービスを受けようとする者が後を絶たないということだ。保健省では、「このような導入当初の問題は、人々が慣れるに従いなくなってゆく」と楽観視しているが、広報不足との批判は免れないだろう。

 また、低額医療サービスの対象として、社会保障制度の適用を受けている人や、国の保険制度が適用される公務員や国有企業職員は、低額医療サービスの対象から除外されているが、このことも国民の間では、理解が徹底していないようだ。

 この制度に関しては以前から、有権者の関心を買うための人気取り政策だとの批判があった。また、現場の医師たちからは、大勢の人が病院を訪れるようになり、政府の用意した予算では足りず、医療サービスの低下が起きかねないという指摘も出ている。



[BANGKOK SHUHO]