経 済

世界不況でタイ財政に赤信号

政府、公的債務残高の上限を引上げ


 ソムキッド財務相によると、タイ政府は公的債務残高の上限をこれまでの国内総生産(GDP)比六〇%から六二%に引き上げた。途上国では公的債務残高がGDP比六〇%を超えると財政破綻の確率が極めて高くなる。これまで黄信号が点っていたタイ経済だが、ついに赤信号となりそうだ。

 タイの公的債務残高は今年六月末現在でGDP比五五・三一%。タイ政府の従来の計画では、来年以降も財政投入して経済を下支えするが、経済は徐々に回復に向かい、二〇〇六年には財政収支を均衡させる予定だった。

 しかし、米国のITバブル崩壊、日本経済の長引く不況で、タイ経済の自立回復が遅れることが必至の情勢となり、経済目標を全体的に引き下げることになった。今年の経済成長率目標は従来の二―三%から一・五―二%に、二〇〇二年から二〇〇六年の平均経済成長率目標も五―六%から四―五%に引き下げられた。

 経済成長率目標を引き下げると同時に、公的債務残高の上限を引き上げたことは、それだけタイ経済の見通しが暗いということだ。ソムキッド財務相は「二〇〇二年から二〇〇六年の財政状況は管理出来る範囲にある」としているが、一方で「二〇〇六年までの財政均衡は難しいかもしれない」との見方を明らかにしている。

 ただ、今回の経済成長率下方修正には米国でのテロ事件発生の影響が加味されていない。十一月二十七日にはタイ中央銀行経済政策局が、テロ事件の影響で米国経済が低迷すると、タイの公的債務残高は最悪の場合、GDP比七五%に達するとの予測を発表している。これは戦争が長引き、タイの今後二十年間の平均経済成長率が三%に届かず、政府が付加価値税率を現行の七%から一〇%に引き上げなかったときに起こり得る。このシナリオでは、タイ経済は債務返済に追われながら最終的には間違いなく破綻する。

 タイ政府にとって経済を悪化させる外的要因については手の打ちようがない。だが、外国投資・観光客誘致、法制度整備、国営企業売却、付加価値税率引上げなど巨額の資金を投じなくとも経済活性化のために出来ることがある。タイ経済の行方を占う上で、これらの課題に対するタクシン政権の取り組みを見逃すことはできない。



[BANGKOK SHUHO]