週間ニュース


九月十三日(木)

被害者にタイ女性

 米国で起きた同時多発テロ事件で、投資委員会(BOI)の経済顧問を務めるタイ女性が重度の火傷を負って治療を受けていることが、ボランティアとして救助活動に加わったタイ人看護婦によって確認された。この女性、ワサナさん(四八歳)はテロリストに乗っ取られた最初の航空機が世界貿易センタービルに激突した際、一階でエレベーターに乗ろうとしていた。エレベーターの扉が開いて炎が吹き出したため、逃げようとしたが、背中などに重度の火傷を負った。その場にはタイ観光庁(TAT)のナムフォン長官補もいたが、バックパックを背負っていたため、全身の二〇%程度の火傷で済んでいる。

裁判所で人質事件

 トンブリの刑事裁判所で、銃の不法所持で裁判を受けていた男が裁判所の職員を人質にとり、約三時間後に警官隊に取り押さえられるという事件が起きた。男は二本のナイフで職員を脅して法廷に立て籠もり、「宗教的な信念について語りたいので、チャンネル3の司会者、トライポップさんに会わせろ」と要求した。法廷の外で、警察と報道陣が人質の救出方法について相談した結果、レポーターを装った警察官がカメラマンらとともに犯人に近づくことになった。話すよう促された犯人はマイクに手を伸ばしたところで取り押さえられ、人質の女性職員は手に二センチほどの切り傷を負っただけだった。男は言動が尋常ではないため、病院で検査を受けることになっている。

牛肉の輸入禁止

 保健省は、狂牛病汚染の可能性が指摘された日本、チェコ、ギリシャからの牛肉の輸入を禁止するよう決定した。スダラット保健相によれば、食品薬品管理委員会は当初、チェコとギリシャからの輸入だけを禁止する方針だったが、最近初めて感染の疑いが報告された日本も含めることにした。この輸入禁止措置は官報で発表され次第、発効する。タイは昨年一年間に百七十八万バーツ相当の牛肉と牛肉製品を輸入しているが、今回の措置により、欧州の十三カ国と合わせて十六カ国から牛肉の輸入が禁止されることになった。

役員の処分

 タイ国際航空の役員二人が職権を濫用し、航空券を無料または割り引き価格で配布した容疑で処分を受けることになった。関係筋によれば、ある役員は、シーロム支店の責任者だった際、特定企業に対し国内線の運賃を一五%割り引いていたという。これによる同社の損失は四十万バーツ。ちなみに国内線では、実質的に競争相手がいないため、値引きは五%までに制限されている。またもう一人の役員については、台北に駐在していた際、タイ国際航空とは無関係の者に無料で航空券を渡し、会社に千四百万バーツの損失を与えた疑いが持たれている。

九月十四日(金)

基地としての利用

 タクシン首相は、米国がアフガニスタンを報復攻撃する際に、タイ国内の施設を基地として利用することを認めるか否かについて明言を避けた。首相によれば、米外務省からタイの外務省に問い合わせがあったが、その内容は明らかにできないという。首相は、「状況によってはタイの立場を明確にしなければならない。必要なら、数日中にも関係当局と協議することになるだろう」と表明。さらに「同時多発テロ事件に対する米国の反応は限られたものになる。第三次世界大戦に発展するようなことはない」との見方を示した。

紅茶を返送

 世界的なコーヒーチェーン、スターバックスは、覚醒剤の原料エフェドリンを含む紅茶を販売したとして米国で訴えられた。このためスターバックス・タイランド社は、関税局の保税倉庫にあったティーバッグを米国に返送した。食品薬品管理委員会は先に、この紅茶の分析を予定していたが、同社は騒ぎが大きくなることを恐れて商品を受け取らなかった。保税倉庫にある物品は、まだ通関手続きを経ていないため、輸入したとは見なされない。

人事異動を説明

 タクシン首相の指示によりタイ国際航空で社長の退陣、理事会の総入れ替えが決まったことについて、ワンノー運輸通信相は「同社の運営に政治家が干渉することはない」と明言した。タイ国際航空の人事異動は、社内問題が業務にまで影響していることから、首相が「経営陣の刷新が必要」と判断して指示したもの。また同時にプラチャ副運輸通信相に代わって、ワンノー運輸通信相が同社を監督することになった。同相は「経営が方針に沿ったものか確認するだけで、実務は新しい経営陣にすべて任せる」と語っている。タイ国際航空では、パイロットと職員団体幹部の対立が表面化しているが、チャイアナン会長代行は、問題がこれ以上深刻化することはないとしている。理事会のメンバーは、大株主の財務省が選任する予定で、ワンノー運輸通信相によれば、政府代表の理事は最少人数に抑えられるという。

九月十五日(土)

三人の行方不明者

 同時多発テロ事件で行方不明になったタイ人三人について、米国のタイ領事館がタイ料理レストランに写真を張り出すなどして情報を集めている。これら三人は、ニューヨークの世界貿易センタービルで働いていた。ボストン大学で国際経済を学んだ女性サランヤさん(二三歳)は百四階の会社で債券取引を担当、ニューヨーク大学を卒業した女性オラシーさん(二六歳)は百七階のレストラン「ウィンドウ・オン・ザ・ワールド」で二カ月前から働いていた。また男性のナットさんは、六十九階の会社に勤務していた。

実験用原子炉

 原子力平和利用室は、ナコンナヨック県オンカラックに、十メガワットの実験用原子炉などの核施設を四十六億バーツかけて建設する計画を検討中。しかし核施設安全小委員会の書記を務める、核施設管理センターのパンチット所長は「原子力平和利用室と工事を請け負う米国のジェネラル・アトミックス社から提示された安全基準は、ナコンナヨック川のダムが氾濫した場合や、上空を飛行する航空機などの危険要因について情報が不十分なため、受け入れがたい」と語っている。原子力平和利用室では、核施設管理センターの認可を受けられないために、着工できない状態が続いている。

麻薬密売容疑

 警察当局は、サムットプラカン県ムアン郡で、麻薬密売容疑の男三人を逮捕するとともに、現金千四百万バーツを含む約五千万バーツの資産を押収した。現金はすべて千バーツ札だった。警察当局は、麻薬密売に関与していた者から情報を得て、これら三人を逮捕した。

ティーバッグ

 香港のスターバックス・コーヒー・アジア・パシフィック社幹部は、先の「スターバックス・タイランド社が問題のティーバッグをバンコクの保税倉庫から米国に返送した」との報道を否定。現在、ティーバッグはまだタイの保税倉庫に保管され、食品薬品管理委員会が成分を分析していると指摘した。しかし食品薬品管理委員会は「スターバックス・タイランド社は問題を恐れてティーバッグを送り返すことにした」と述べており、スターバックス・コーヒー・アジア・パシフィック社側の言い分と食い違っている。

九月十六日(日)

連立政権への参加

 タイ愛国党のサノ顧問団長は、「今は国家開発党を連立政権に招き入れる時期ではない。現タクシン政権は発足してまだ半年あまり。一年くらいは閣僚を入れ替えずに、当面の課題に専念する必要がある」と語った。一部では「サノ氏が国家開発党を嫌っている」との報道もあるが、同氏は「国家開発党の党員は旧知の政治家たちで、みな私の弟のようなもの」と述べ、確執を否定した。

協力的姿勢

 タクシン首相は「テロ行為をなくすために米国及び国連に協力する」と、タイ政府の姿勢を示した。これは国家治安評議会の特別会議の後、タクシン首相が述べたもの。しかし首相は「米政府が軍事的な報復に踏み切った場合、タイ政府が具体的にどのように支援するか」との質問には明言を避けた。

一人の安否確認

 外務省は、同時多発テロ事件の際に世界貿易センタービル内にいて行方不明になったタイ人三人のうち、男性のナットさんの安全が確認されたことを発表した。ナットさんの友人がタイ領事館に連絡してきたもので、この友人は「無事との情報は得ていたが、本人に確認がとれなかったため、領事館に報告できなかった」と語っている。

民間の救助隊

 警察庁消防隊幹部は、民間ボランティアの救助隊が火災の際に現場に駆けつけて作業を手伝うことについて、「消防士の仕事の領域にまで入り込み、場合によっては消火作業を妨害している。民間の救助隊には、作業の限度を定める必要がある」と指摘した。民間の救助隊は複数の慈善団体によって組織されており、その法的な位置づけは曖昧なままとなっている。政治家がこれら慈善団体を支援しているため、当局も法律を厳しく適用しにくいようだ。消防隊幹部によれば、民間の救助隊員の中には火事場から金品を盗む不心得者もいるという。このため消防士は民間の救助隊員を火災現場に近づけないようにしており、隊員を阻止して消防士が負傷する事故も起きている。

九月十七日(月)

ラード爆弾で報復

 連立政権の中核・タイ愛国党のティナワット議員が、ブッシュ米大統領に対し、「テロリストにはラード(豚の脂肪)を詰めた爆弾を打ち込むべき」という内容の電子メールを送ろうとしていたことが発覚した。同議員は「核弾頭を搭載したミサイルやパトリオット・ミサイルを使うより、イスラム教徒が忌み嫌う豚の脂肪を浴びせた方がよい」と語っていた。一方、同党のスラナン報道官は、「ティナワット議員は世界の人々の感情を無視しており、慎重さに欠ける」と批判。「もちろん民主主義社会では自由に自分の考えを表明してよい。しかしティナワット議員の発言は、タイ愛国党の姿勢を反映したものでもない」と述べている。

エビ養殖問題

 政府首脳のもとに配られた文書によれば、米作地帯で塩水を使ってブラックタイガーエビを養殖することに国王陛下が反対されているという。陛下は先月二十二日、CPグループ幹部がプラチュアプキリカン県のクライ・カンウォン離宮で謁見した際に、「ロッブリ、アユタヤ、スパンブリといった米所での養殖には一度も賛成したことはない」と述べられたとされる。陛下は御自身の提案によりプラチンブリ県で試験的に行っているエビ養殖は容認するものの、海水を内陸部に運んで養殖するやり方には反対を唱えられた。

大量のカフェイン

 チェンライ県ムアン郡で、道路上に乗り捨てられていた大型トラックから大量のカフェインが発見された。警察当局によれば、袋詰めにされたカフェインは三トンに及び、これを原料に六千万錠の覚醒剤が製造可能だという。バンコクでは一キロ千五百バーツ程度でカフェインを入手できるが、ブラックマーケットでは二倍の値段で取り引きされている。トラックに積まれていたカフェインは、覚醒剤密造のためミャンマーに輸送される途中だったものと見られている。警察は事前に「大量のカフェインが密輸される」との情報を掴んでおり、トラックの運転手は身の危険を感じて逃走したらしい。

九月十八日(火)

問題発言で辞職

「ラード爆弾をテロリストに打ち込むべき」と発言して各方面から批判を受けたティナワット・タイ愛国党議員が、責任をとって辞職することになった。同議員は「世界中のイスラム教徒の反感を買う」として、同僚議員から厳しく非難されていた。同議員は謝罪したが、党内では「謝って済むことではない」との意見が支配的で、結局辞職を選ばざるを得なかった。辞職したチナワット議員は「元来の楽天家で、ユーモアがありすぎたのがいけなかった」と述べている。党内には、同議員が辞職しなければ、力ずくで追い出すような雰囲気があったという。

化学薬品の処理

 先にバンコクの高速道路上で有毒な化学薬品アクリロニトリルが大量に流れ出した事故では、安全な処理が行われなかったことに批判が高まった。これを教訓に、バンコク都庁の民間緊急救助課は、化学薬品の流出事故に対応するための特別班を編成する予定だ。同課のキティナン課長は、「公害予防局が指定した四カ所の化学薬品危険地帯に対応するため、特別班はクロントイ、タリンチャン、チョムトン、スアンルアンに設けられる」と説明している。

大気汚染で訴訟

 北部ランパン県メーモで地元住民三人が、「火力発電所による大気汚染の被害を受けた」として、タイ発電公社を相手取り、約三億バーツの損害賠償を求める訴訟を起こした。ランパン地方裁判所はすでに訴えを受理しており、今後内容を詳しく検討する。同地の発電所は褐炭が燃料で、以前から煤煙による大気汚染が指摘されていた。原告の弁護士は、発電公社が三人の村人にそれぞれ一億二百万バーツを支払うよう求めている。

遊興施設の規制

 盛り場やパブなどの遊興施設で二十歳未満の若者の入場を制限する法案が、閣議で承認された。ヨンユット政府報道官によれば、同案については今後、法令委員会が詳しく検討するという。この案は内務省が提出していたもので、内務省が遊興施設と規定した施設では二十歳未満の入場を禁止するという内容。三十五年前に制定された法律の改正だが、違反の刑罰は、現行の「三十日以内の禁固または三千バーツ以下の罰金」が「九十日以内の禁固または一万バーツ以下の罰金」へと強化されている。

九月十九日(水)

タイに感謝

 タクシン首相は、早い段階で米国による報復攻撃を全面的に支持すると表明し、国内で批判を受けた。しかしヘクリンガー駐タイ米大使は、「大事におけるタイ政府、タイ国民からの支援に感謝する」と述べている。また外務省報道官によれば、タイ政府は二十一日にも、アフガニスタン周辺の国々で働いているタイ人の救出作戦を協議するという。

マネーロンダリング

 マネーロンダリング疑惑では「七十五億バーツにのぼる資金が外国へ不法に送金された」と報道された。しかし警察庁のノッパドン長官補は「実際にマネーロンダリングされた金額は百億バーツを越える」との予想を発表。同補佐によれば、七十五億バーツは九八年から昨年にかけて送金された分であり、容疑者が逮捕されるまでに、さらに送金されていた可能性が高いという。


[BANGKOK SHUHO]