経 済

エマージングベトナム

復活するフロンティア(4)


 スローペースながら着実に変わりつつあるベトナム。その政治・経済の現状と将来に関して、サイゴン・タイムスのトラン・ノック・チャウ編集長に話を聞いた。    

文民エリート初の共産党トップ

――今年四月に発足した共産党新体制をどう見るか。

 「共産党大会でノン・ドク・マイン氏が書記長に選ばれた。彼はベトナムでは少数民族のタイ族出身で異色といえるが、別の面でもこれまでの共産党トップとは異なる。前書記長までは革命時代に活躍した軍人で、高度な教育を受けていなかった。しかしマイン氏は旧ソ連に留学経験のある森林エンジニアだ。同氏のような高度な教育を受けた文民が共産党のトップになるのはベトナムでは初めてであり、当然、国民の期待も高い。マイン氏がベトナムをどのように変革したらいいか理解しているはず、との期待があるのだ」

――マイン氏と、大統領と首相との関係は良好か。

 「トラン・ドク・ヌオン大統領、ファン・ヴァン・カイ首相もソ連で教育を受けており、マイン氏とうまくやれるはずだ。両氏は高齢だが、マイン氏を支援して体制が固まれば二年後に若い世代と交替するだろう」 

新体制が進める民主主義

――ホーチミンでは共産党を支持しない国民も少なくないようだが

 「共産党はこれまで、国民の豊かさ、国家の強さ、社会の平等さ、それに文明化を目指してきた。現在の党体制は、それに民主主義を加えた。どのよう変わったかというと、以前は共産党幹部だけが党のトップを選んできたが、今回はすべての共産党員がトップの選出に加わった。現党体制では民主主義を重視していることから、今後は共産党員以外にもトップ選出の機会が与えられるのではないか。数年後には総選挙があるかもしれない。共産党が民主化されれば国民の支持を回復することができるだろう」 

――人々の顔が明るくなったのは何故か?

 「最近は経済が順調で、二、三年前と比べると人々の顔が明るくなった。これは貧しい人々でさえ同様だ。政府が貧しい人々のために家を建て、今では皆が家に住んでいるからだ。ベトナムでは一九八六年に経済を自由化するドイモイ(刷新)に取り組み、これまで着実に進んできた。新体制もその延長線上にある」

――改革の上での問題点は?

 「現在の官僚システム、管理システムは新しい時代に追いついていない。社会主義と市場主義、共産主義と民主主義、改革と保守といった二律背反する矛盾をバランスさせるのも容易ではない。こもため政府は時々どのように改革をしたらいいか混乱している。だがあまり混乱している余裕もないだろう。ベトナムは二、三年先にはさらに多くの経済的問題に直面するだろう。東南アジア諸国の自由貿易化、米国との通商協定締結による米国市場での新たな競走などだ。ベトナム経済は世界経済に統合されるのだ。新体制は国や企業が新しい機会に挑戦できるよう、努力して環境を整備しなければならない」   

(聞き手・水谷 昇 記者)



[BANGKOK SHUHO]