経 済

第二バンコク国際空港建設

JBICの融資条件に〃NO〃 タイ政府


運輸通信相「円借款より早期建設を優先」

 第二バンコク国際空港(ノングーハオ空港)の旅客ターミナルビル・デザインを巡り建設資金の調達先である日本国際協力銀行(JBIC)が同プロジェクトへの融資に難色を示していることから工期への影響が懸念されている問題で、タイ政府は新空港の早期建設を優先するため資金調達先をJBICに限定しない方針を明らかした。

 タイ政府は十八日に開かれた閣議においてドンムアン空港にかわる第二国際空港建設について協議し、これに先立ちJBICが運輸通信省に提示していた旅客ターミナルビルのデザインと業者の入札準備期間に関するJBIC側の要求を退けた。

 JBICの要求の一つは米系デザイン会社により作成された旅客ターミナルビルの新デザインに対する建設業者の見積額(中間価格)が予算枠三百六十億バーツをオーバーした場合、オプショナル・デザインにより再入札を実施するというもの。

 オプショナル・デザインは初期デザインを担当した日系デザイン会社、パシフィック・コンサルタンツ・インターナショナルにより作成されたもので、同社デザインを支持するJBICは今度の入札に採用される新デザインに対しこれまで難色を示していた。

 また入札条件が建設会社に提示されてから見積額を提出するまでの準備期間が短すぎるとし、二十一日以内と政府が規定した準備期間の引き伸ばしを求めるJBICの要求も却下された。

 タイ政府はJBICの突き付ける条件に〃NO〃という態度を鮮明にすることで新空港建設の主導権を取り戻したい考えで、今後、当初予定の二〇〇四年完成を視野に空港建設を軌道に乗せるため、「JBICからの円借款より建設スケジュールを優先する」(ワンムハマドノ運輸通信相)方針だ。

 さらに資金調達問題解消に向けワンムハマドノ運輸通信相は、「JBICからの融資が受けられなくても問題はない」と述べ、地場金融機関からの融資を歓迎する意向も表明。

 さきに国営クルンタイ銀行では政府系銀行を中心とするシンジケートを結成する代替案を発表。同行だけ四百億バーツ、シンジケートとして八百億バーツの資金供与が可能だと表明しており、現在タイ国内の金融システムにおける流動性が高いことを考慮すると、地元での資金調達案もますます現実味を帯びて来ている。

 しかしJBICの要求を拒否する一方でタイ政府はJBICへ歩み寄る姿勢も示している。

 タイ政府は今回の入札への参加資格を前回の入札に参加した四つのコンソーシアムに供与する方針を発表。JBICの要求していた入札参加業者をさきの入札に参加した四つのコンソーシアムに絞るという条件を受け入れた。

 JBICの強く要求していたオプショナル・デザインをタイ政府が撥ね付けMJTAデザインを採用しながらもJBICの条件を一部呑んだのはタイ政府の円借款への関心の高さの表れといえなくもない。

 不良債権処理に追われる体力のない地場行との協力は貸し出し期間や利息の支払い猶予期間など好条件を提示する円借款にかなう見込みはない。JBICの要求に一部歩み寄ることで円借款への可能性を残しておきたいというタイ側の心の内の反映ともいえる。

 第二空港建設地ノングーハオでは十二日から旅客ターミナルビルの入札結果を待たずに基礎杭工事を開始した。タイ政府は最終的な入札業者との契約を予定通り十一月三十日までに済ませる方針。入札金額が予算枠を上回った場合はこれまで入札に参加した九つの業者全てを交え再度入札が行われ、最終契約日はあくまでも延期しない方針も述べ、ドンムアン空港が近い将来に収容能力が限界に達することを見据え新空港開港に全力を注ぐ構えだ。開港の遅れはタイ経済に致命的な影響を与えかねない。




[BANGKOK SHUHO]