マネーロンダリング疑惑
銀行幹部を逮捕---タイ警察
石油密輸、麻薬密売への関与を追求
UOBラタナシン銀行のサリンナ・マハマット副頭取補佐が先月三十一日、自分が役員を務める企業数社を通じて九七年から現在までに七十五億バーツにのぼる資金を不正な手段を使い、バンコク銀行経由で外国に送金した容疑で逮捕された事件で、警察当局は、捜査官二十人で構成される特別チームを設置し、全容の解明に当たることになった。
この巨額資金の海外送金は、石油の密輸などで得た不正な利益を正常な資金に清浄するためのマネーロンダリングと、警察では断定。送金の窓口として使われたのは、タナサップタウィー、イースタン・ペトロパワー、ラタナコーシン・インターナショナルの三社で、このほか、容疑者らが役員を務める会社数社が事件に関係している可能性があるとして、捜査を進めている。
また、サリンナ容疑者の姉とその夫であるウォラポン警察庁経済犯罪捜査課副司令官の関与も疑われているが、同副司令官は捜査が終了するまで東北部コンケン県の国境警備警察部隊に異動になった。 バンコク銀行によれば、同容疑者らによる海外送金は百九回に及び、その額が大きいため、規定に従って金融当局に報告を行っていたという。不正資金洗浄対策法では、銀行は一定額以上の送金、入金があった場合、当局に報告が義務づけられている。同行幹部によれば、容疑者らが送金手続きをいつも同じ行員に任せるよう要望したことから、不信感を抱くようになったということだ。このため、タイ中央銀行が経済犯罪捜査課にマネーロンダリングの可能性を伝え、サリンナ容疑者が逮捕されることになった。
サリンナ容疑者は、「私が役員を務めるトレード・パシフィック・イースタン・ペトロ社はタイ石油公社(PTT)のパートナーとして合法的に石油取引事業を行ってきたのであり、送金した資金もこの事業からの合法的な収入だ」として無実を主張しているが、PTTによれば、同社からはこれまでに一度だけ、ミャンマー・ペトロリアム・プロダクツ・エンタープライジズ社に月間四万八千トンの燃料を輸出したいとの申し出があっただけだという。同社はこのミャンマー企業と売買契約を結んでいると説明していたが、PTTでは、その言い分を信用するに足りないと判断、申し出に応じなかったという。
また、イースタン・ペトロパワー社に数年前から燃料を販売していたタイ・ペトロケミカル・インダストリー(TPI)グループのオイル・マーケティング担当者によれば、「四年前に容疑者から燃料を購入したいとの連絡があった」ということだが、この時、イースタン・ペトロパワー社の保証人として六百万バーツの小切手を振り出したのが、前出のウォラポン副司令官だった。同副司令官は、「自分の行為は法に則ったものでやましい点はない」としているが、警察当局は、容疑者らが数回にわたり大金を同副司令官に提供していた事実を掴んでいるとのことだ。
なお、TPIはそれ以後約四年にわたり、月間約百万リットルの燃料を同社に販売してきた。しかし、サリンナ容疑者が逮捕される一週間前に、イースタン・ペトロパワー社が一方的に契約の打ち切りを伝えてきたという。
警察当局では、容疑者らの活動のうち、TPIからの燃料購入だけが合法的なもので、これを隠れ蓑に石油の密輸、あるいは麻薬の密売や違法宝くじなどで巨額の利益を上げていたとみて、厳しく追求していく方針だ。
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