総 合

王宮前広場のホームレス

移住先いまだ定まらず


立ち退きから1カ月、都庁への抗議続く

 バンコク都庁は八月一日より、深夜の王宮前広場への立ち入りを禁止した。理由は公共の広場を浮浪者や行商人に汚させないため、及び売春や犯罪の防止のためとしている。

 この措置により午後十一時から午前五時の間、広場で寝泊まりしていたホームレスの人々は別の場所に移動せざるを得なくなった。行商人も王宮前広場における深夜の営業ができなくなっている。

 現在、内務省前のロー運河沿いに二枚の大型テントが張られ、王宮前広場に代わる夜間の宿泊場所とされている。ホームレスの人々約四十人がここに寝泊まりしているが、狭さや不便を訴える声が少なくない。都庁は定住場所の提供を計画しているが、対応が遅れたことから抗議行動が続いている。

 ホームレスの人々を支援するヒューマン・セトルメント基金のスウィット代表は、「都庁は新しい宿泊場所を提供すると約束しておきながら、立ち入り禁止から一カ月間、何もしていない」と批判する。同基金によれば、夜間立ち入り禁止となる以前、王宮前広場には四百人以上の出稼ぎやホームレスの人々が寝泊まりしていたという。その多くは現在、ピンクラオ橋、チャイナタウン近くのジュライ・サークル、ホアランポン中央駅などに宿泊場所を移している。

 都市計画の専門家であるバナソピット前副都知事は「ホームレスの人々を夜間、別の場所に移動させただけで、問題の根本的な解決になっていない」と都庁の政策を非難。ホームレスの問題を解決するため、「地方から出稼ぎに来た人々がバンコクに二、三カ月滞在できるような簡易宿泊所を都庁が設けるべき」と述べている。

 王宮前広場に代わる宿泊場所として、都庁はこれまでタンヤブリ地区とパトムタニ地区にある労働社会福祉省運営の福祉施設や、郊外のノンチョク及びノンケムの都所有地を提供しようとしたが、いずれも「職場から遠すぎる」との理由で拒否された。ホームレスの人々の多くは、王宮前広場や近くのパーク・クローン市場で働いているため、「王宮前広場を離れるわけにはいかない」と主張している。

 ホームレスの人々は今月二日、支援者と共にラタナコシンホテルでセミナーを開催し、チャオプラヤ川対岸の国鉄バンコクノイ駅の敷地の一部と、仮設住宅の建設費二十万バーツを都庁に要求することを決議。さらに三日には数十人が都庁前で抗議集会を開催し、応対したプラナコン地区のプラサート区長と話し合った。

 バンコクノイ駅の敷地使用については、国鉄の合意を得ることが困難として却下されたが、都庁は四日になって、比較的都心に近いタリンチャン地区に仮設住宅を建設する計画を発表した。三千二百平米の私有地を一年契約で借り受ける予定だが、詳細はこれから話し合われる予定。クリアンサク助役によれば、仮設住宅は原則的に、王宮前広場から立ち退いた人々に使用が限定され、登録などの条件が付けられるという。

 都庁では一年後には、王宮前広場を宿泊場所としていたホームレスの人々に恒久的な居住地を提供したいとしている。ただし、両者は完全な合意には至っておらず、今後も話し合いは続く見込みだ。



[BANGKOK SHUHO]