週間ニュース
八月九日(木)
料金値上げの中止
高速道路公社は先月一日からの通行料金値上げが違法と判断されたため、値上げ分の徴収中止を決めた。公社を監督するソムバット副運輸通信相は、「違法と判断した法制委員会から正式な通知があり次第、値上げ分の徴収を停止する」と述べた。同委員会は今月一日、公社には値上げの権限がなく、違法との判断を下していた。また、ソムバット副大臣によれば、徴収済みの値上げ分は払い戻すことになるが、その具体的な方法はまだ決まっていないとのこと。今回の高速道路通行料金値上げは、「付加価値税(七%)を公社が負担しきれなくなったため」との理由で、四輪車でそれまでの四十バーツから四十二バーツへの値上げが決定されていた。
憲法二九五条
憲法裁判所は、タクシン首相の資産隠し容疑に関する判決本文で、五年間の公職追放を規定した憲法二九五条に言及することを決めた。裁判所は判事十五人で構成され、八人が無罪と裁定していたが、これら八人の間でも二九五条の適用可否を巡って意見が割れていた。アナン判事は、「裁判官十五人全員が、資産の申告時に公職になくとも二九五条を適用できるとの点で一致した。これを踏まえて、判決本文には資産を隠匿する意図がなかったとの文言が盛り込まれることになる」と説明した。先の報道によれば、無罪の判断を示した八人のうち四人が、資産申告時に公職を離れていれば二九五条は適用不可との考えを無罪の論拠としていた。
陸軍司令官ポスト
チャワリット副首相兼国防相は、「自分の考えで、スラユット大将に引き続き陸軍司令官を務めてもらうことにした」と述べて、外部からの圧力に屈したとの報道を否定した。チャワリット副首相は、不仲のスラユット大将を今年の定例人事異動で、国軍の中で最も権限のある陸軍司令官ポストから降ろし、国軍最高司令官に就任させようと考えていたようであるが、軍部出身のプレム枢密院議長(元首相)が難色を示したため、スラユット大将は陸軍司令官にとどまることになった。同大将は陸軍内で人望があり、チャワリット副首相の異動計画を覆そうと、将校たちが強力に根回しをしているとの観測がこれまでにあった。
裁判官の調査要請
最大野党・民主党党首のチュアン元首相は、憲法裁判所がタクシン首相に無罪判決を下したことで、同党は裁判官の調査を上院に要請する可能性があると述べた。現行憲法では、下院議員の四分の一(百二十五人)以上の賛同、あるいは、有権者五万人以上の署名があれば、政府内独立機関に対する調査を上院に要請することができることになっている。民主党の下院議員数は百二十八人のため、単独でも要請が可能となる。憲法裁判所の無罪判決には、先にサナン元民主党幹事長、マヌーンキット上院議長が異議を唱えていた。
中央選管の役割
キング・プラチャティポック研究所などは先頃、「中央選挙管理委員会は候補者の当否を認定するだけで選挙の実施を担当すべきでない。また、投票の繰り返しを防ぐため、イエローカードやレッドカードを出す権限を中央選管から奪う必要がある」などの検討結果をまとめた。この検討では、「投票しなかった有権者には、罰金を科し、公共奉仕活動を義務づけることが必要だ」との進言もされている。これに対し、中央選管のコートム委員は、「選挙に絡む問題は選管の権限が原因ではない」と述べて不快感を示すとともに、「選管が選挙を実施しなければ、どの機関が実施するのか」と逆に質問した。
八月十日(金)
エビ養殖問題
タクシン首相は、内陸部のエビ養殖が環境に悪影響を与えるものであれば、これに断固反対するとの姿勢を示した。タクシン首相は、「養殖を解禁することで環境に悪影響が及ぶのではないかと懸念している。このため、国・国民の利益に反するようなプロジェクトを許可することはない」と明言した。一方、環境への影響については国家環境委員会が検討を行う予定。同委員会では、塩水を使ってエビを養殖した場合、自然環境にどの程度の影響が及ぶかを検討し、今月十日までに報告することになっている。なお、首相は、政府が漁業局にエビ養殖のため二億八千万バーツを割り当てたとの一部報道を否定したが、同局が内陸のエビ養殖を再開する準備を進めているとの観測も出ている。
政治家の干渉
サンパオ国軍最高司令官は、軍の人事に政治家が干渉していると強く批判した。今年の定例人事異動では、ソムタット陸軍第一管区司令官の陸軍参謀長就任が確実視されているが、これについて、サンパオ司令官は、「上官が人事異動計画を手直しするのは珍しいことではない。しかし、(ソムタット中将の件については)最高司令官である私にさえ事前の相談がなかった。また、ブンロート現陸軍参謀長が最高司令部付き参謀長に就任する話も私は知らなかった」と述べた。関係筋によれば、スラユット陸軍司令官が先に提出した人事異動案では、陸軍参謀長の交代は提案されていなかったが、ユタサク副国防相がタクシン首相に頼み込んで、ソムタット中将の異動が決まったとのことだ。
義務教育の変更
学校経営者などで構成される協会「クラブ・オブ・ベーシック・エデュケーション・ボード」は、十二年間の義務教育の開始を幼稚園に引き下げる計画変更に反対意見を表明した。当初の計画では小学一年から高校三年(職業訓練生を含む)とされていたが、先にタクシン首相は、義務教育を幼稚園から中学三年までとすると考えを明らかにした。これに対し、同協会首脳は、「憲法で保証された国民の権利を奪うものだ。また、当初の計画に基づいて教育機関は準備を進めてきたのであり、幼稚園の先生が足りない」と指摘。同首脳によれば、義務教育の開始を早めるのであれば、それに合わせて国家教育法をまず改正する必要がある、としている。
八月十一日(土)
土石流で犠牲者
北部・ペチャブン県ロムサク郡の四つの地域が集中豪雨に伴う土石流で壊滅的な被害を受けた。死者は四十三人にのぼっており、七十人以上が行方不明。同地では二日間にわたり強い雨が続き、十一日午前三時頃、雨水を大量に含んだ土砂が山から流れ出し、すそ野の村を直撃した。
情報公開の拡大
関係筋によれば、政府情報法の改正案がまとまった。同案では、中央選管などの独立機関を政府機関と規定し、政府情報委員会から要請があれば、これらの機関は情報を公開しなければならない、としている。同筋は、「改正案は、チャイワット法制委員会事務局長を座長とする検討チームがまとめたもので、今月二十日にさらに詳しい検討をするため、クラセー国務相に提出されることになっている」と述べた。なお、法制委員会は先に、「中央選管に政府情報法が適用できる」との判断を示したが、国家汚職制圧委員会は、「適用できない」として、これに反対していた。
酒税の利用
タバコ税、酒税の一部を『健康促進ファンド』として活用するとの案が今月十日、賛成九十四対反対三で上院を通過した。これら税からの国庫収入の二%が、法人組織・健康促進ファンドに回され、スポーツを奨励したり、喫煙・飲酒を控えるよう呼びかけたりするキャンペーンに投入される。ファンドは官民双方の代表十九人で構成される委員会が運用を管理、また、この委員会の仕事ぶりは、七人で構成される新設の委員会が査定をすることになる。
八月十二日(日)
犠牲者の増加
ペチャブン県では捜索作業が進むにつれ犠牲者が増加し、七十一人の死亡が確認された。土石流により広範な地域が被害を受けており、行方不明者も六十八人に及んでいる。また、災害の再発を防止するため、山裾にある村に移転を呼びかけることも検討されている。現場には、タクシン首相、プラチャイ内相などが急行、当局者と防災対策について協議した。
極右団体リーダー
七三年の『十月十四日事件』で、軍事政権に対し決起した学生たちに残虐な行為をしたとされる極右団体「グラティンデーン」のリーダーだったスッサイ少将(八一歳)が心・肝不全のため入院先のプラモンクットクラオ病院で死亡した。この団体はメンバーのほとんどが職業訓練生だった。先にヤソートン県知事殺害事件で逮捕されたチャルムチャイ少佐もカティンデーンのメンバーだった。
署長の更迭
プラチャイ内相は、バンコク都内の歓楽街を視察し、パッポンの一部の店が午前二時を過ぎても営業していたため、同地を管轄するバンラック署のプンサップ署長を更迭することを決定した。
料金値上げ問題
市民団体「コンシューマー・フォース・アソシエーション」は、今月十五日にも「高速道路公社が違法に通行料金を値上げした」として警察庁犯罪制圧課に訴える予定だ。同団体のウィロート会長は、「料金の値上げは、内相や閣議の承認を得ていないもので、違法だ。十五日には高い料金を支払わされたドライバーも一緒に犯罪制圧課に行くことになっている」と述べた。同公社は、値上げが違法であることを認め、十一日から四輪車の場合、通行料金を三十八バーツに値下げしている。これは取りすぎた二バーツを払い戻すというもので、来月二十一日以降は値上げ前の四十バーツに戻される。
八月十三日(月)
水害対策で池
ペチャブン県のプリーチャ副知事は、土石流で大規模な被害が生じたロムサク郡に水害対策のため貯水池を建設するとの計画をプラチャイ内相に提出した。この計画は二十年前に作成されたもので、プラチャイ大臣は、閣議の承認を取り付けると約束したという。同地では捜索・復旧作業に伴い、泥土の中から新たに遺体がみつかっており、これまでに八十七人の死亡が確認された。関係当局は、三十五人の行方不明者も死亡している可能性が高く、最終的な犠牲者数は百二十二人にのぼるとの見通しを示した。
外国人の登録
デート副首相兼労働社会福祉相付きのウィラサク顧問は、数日中に、政府が特例として就労を認めている外国人の登録に関するガイドラインを閣議が承認する見通しを示した。この指針は、政府の姿勢をよりはっきりさせたもので、具体的には、雇用主に対し、来月二十九日までに外国人労働者の登録をし、労働許可証を取得することが義務づけられることになる。これにより現在、国内の様々な事業所で就労しているラオス人、ミャンマー人、カンボジア人は国外退去の必要がなくなるが、期限後は当局が未登録の外国人労働者を摘発し、法的措置を執ることになるという。
避難民の帰国
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、ターク県ターソンヤンからのミャンマー避難民の本国帰国を一時中止することを決めた。同地のキャンプに収容されている五千六百六人にのぼるミャンマー人は、今月十二日に本国に戻される予定だったが、UNHCRは、「ミャンマー国内の政治状況が好ましくない」として計画中止を決定した。また、避難民の多くも帰国後の身の安全や生計を立てられるかどうかを心配しており、これもUNHCRの決定に影響したとみられている。
八月十四日(火)
救援センター
政府は、低気圧の通過で東北部から北部にかけ大きな被害が報告されていることから、急きょ、救援センターを設置することになった。ペチャブン県では土石流などで百六人の死亡が確認され、チェンマイ、ランプン、プレー、ウドンタニ、ピサヌロークの五県でも洪水による死者が報告されている。ソムキット財務相によれば、政府は複数のチャンネルを通じて、被災者への支援要請を呼びかけるとともに、義捐金を募るためのセンターを財務省内に設置したという。また、閣議では、ペチャブン県の土石流災害で住む家を失った人々の救済のため、まず九千八百万バーツを国家予算から拠出することが承認されている。
血液に変化なし
保健省によれば、先月から現在まで『V1イミュニター』を服用したエイズ患者の検査を行ったが、血液には何ら変化が見られなかったという。V1イミュニターは、チャチュンサオ県のクリニック「バーンバンプラコン」が、まだ薬品としての認可がおりていないことから、補助食品として配布しているが、同クリニックは抗エイズ効果があると主張していた。同クリニックの医療活動をサラン・ブンナーク基金(代表・サラン元警察庁副長官)が支援しているが、スラポン副保健相によれば、「今回の検査結果は基金に伝えられるが、最終的な検査結果が出るのは二ヶ月から四ヶ月後になる」とのことだ。保健省は特別委員会を設置し、V1イミュニターの薬効について、六ヶ月以上服用した患者を対象に検査を実施していた。しかし、十人に及ぶ専門家からさらに検査を行うよう提言があったため、委員会は今後最長で四カ月間検査を続けることになったという。
懲戒処分を検討
タクシン首相は、高速通行料金の値上げが撤回された問題で、これを決めた高速道路公社首脳の責任を明らかにしたいと述べた。閣議の席上、首相はソムバット副運輸通信相に事実関係を調査するよう指示した。しかし、ソムバット副大臣によれば、「国税法では付加価値税の対象となるサービス提供者は、サービス利用者に付加価値税を払わせることができるとされているため、通行料金に付加価値税分を上乗せするとの決定は法律的な過ちではない」と主張している。このため、同副大臣は、調査委員会を来月設置する方針ということだ。
判決本文の作成問題
憲法裁判所のチュン判事によれば、タクシン首相の資産隠し容疑に対する無罪判決を書面にまとめる作業が進められている。無罪の判断を示した八人の判事は、判決本文の内容をまとめる作業を続けているが、憲法二九五条の適用については八人の間で意見が割れており、同条に関する文言を書き込むことが難しい状況だ。また、チュン判事によれば、十六日には裁判官十五人全員が集まり、判決本文について協議し、その内容を承認する見通し。しかし、関係筋によれば、有罪と判断した裁判官七人が判決書に同意の署名をするかどうかはまだ分からないという。
八月十五日(水)
仕返しで閉め出し
自分が司会を務めるテレビ番組で社会問題、政治問題を積極的に取り上げてきたチュムサク上院議員は、政府首脳が仕返しのために自分をテレビ番組から閉め出そうとしていると指摘した。同議員によれば、アルパイン・ゴルフ・コース問題、タクシン首相の資産隠し問題でチュムサク議員が自分たちに不利な発言をしたと考える政府首脳は、チャンネル・イレブン、チャンネル・ナインといったテレビ局の番組に同議員を出演させないよう指示している可能性が高いという。チュムサク議員が司会をするチャンネル・イレブンの番組は、人気があるにもかかわらず、年内の打ち切りが決定したとも伝えられている。なお、先に同議員の番組で、憲法裁判所の無罪判決について有識者を集めて討論しようとしたが、上からの指示で突然放送が中止なったこともあった。
住民の不安
ペチャブン県の土石流災害の現場では、住民の多くが同じ場所で生活することに不安を覚えているという。また、今回の災害は天災ではなく、「ある政治家の提案で進められた開発計画が原因の人災だ」との指摘も出ている。災害による死者は百十三人に増え、行方不明者は二十人となっている。
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