内陸のエビ養殖
「悪影響あれば解禁せず」
論争の中、首相が明言
現在禁止されている内陸部でのブラックタイガー・エビの養殖に関し、政府部内では「輸出拡大のため解禁すべき」との意見が出されている。タクシン・チナワット首相も、これまでの発言から養殖解禁に傾いていると見られていたが、今月十日、同首相は「環境に悪影響を及ぼすことがはっきりすれば、解禁には断固反対する」と明言し、反対派への配慮を見せた。
解禁賛成派は、「エビの輸出拡大による外貨収入は、タイ経済の早期回復に大いに役立つ」と主張する。しかし過去にエビ養殖場周辺で稲作を営んでいた農民たちは、「養殖で使用する塩水は周辺の水田や河川に流れ出し、農業に悪影響を与える」として解禁に強く反対している。
政府は九八年、環境への影響を考慮して、すでにエビ養殖に転業していた農民の強い反対にもかかわらず、内陸での養殖禁止に踏み切った。この経緯から解禁については、学識経験者の間でも「目先の利益を優先して安易な決定を下すべきではない」という慎重論が根強い。
タクシン首相によれば、国家環境委員会がどの程度の規模であれば、環境を破壊せずにエビの養殖が可能か検討する予定だという。同首相は「環境に与える影響は心配している。国民の利益を害する決定を下すわけにはいかない」と語っているものの、環境委員会が解禁を認めなかった場合の政府部内の反発については、「問題ない」としか述べていない。
一方、政府が「検討中」を装いながら、裏で着々と解禁の準備を進めているとの指摘もある。一部では、養殖事業者と契約を結ぶための費用として、政府が漁業局に二億八千万バーツの予算を割り当てたと報じられた。タクシン首相はこの報道を否定したが、解禁に備え、稚エビを養殖事業者に提供する計画がすでに存在していることは認めている。
解禁に強く反対するアユタヤ米作農家協会のソムサク・ユムシリ会長は、「タクシン首相は経済効率だけでなく、農業の将来も考慮しているものと思う」と述べ、農民に対する一層の配慮を求めた。同会長によれば、政府が解禁を強行するなら、農民は抗議運動を起こす可能性もあるという。
漁業局のタムマロン・プラコプブン局長は先に、「内陸での養殖が解禁となれば、ブラックタイガーエビの輸出額は年間二千億バーツに上るだろう」と述べたが、これには下院予算審査委員会のウィナイ・センニアム委員(野党・民主党議員)がすぐに反論。
同議員は「エビの価格が下がっている現在、塩水を使ったエビの養殖はコストが嵩むだけ。淡水エビを養殖した方が利益が上がる」と主張している。さらに沿岸部では、エビの養殖で大きな負債を抱えた者が少なくないと指摘し、「もっと現実を直視すべき」と漁業局を非難した。
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