内陸部のエビ養殖
輸出促進のため禁止を再考
ピタック副首相「外貨獲得の手段に」
ピタック・インタラウィタヤナン副首相は先月二十五日、農業協同組合省、科学技術環境省の代表との会談で、エビの輸出を促進するため、現在禁止されている内陸での養殖を再開するよう主張。三十一日の閣議でも提案したが、審議は今月七日に持ち越されることとなった。
タイは昨年二十四万九千トンのエビを輸出し、千七十億バーツの外貨を獲得した。しかし今年は輸出全体が伸び悩んでおり、エビに関しても輸出高は八百億バーツ程度にとどまるものと予想されている。
養殖エビはブラックタイガーと呼ばれる品種が中心で、年間生産量は約二十万トン、その約九割が輸出されている。農業共同組合省水産局が重要輸出品目として養殖を奨励したこともあり、生産量はここ二十年間伸び続けてきた。しかし一方では、養殖場で使用する飼料や薬品による環境汚染問題も引き起こしている。
さらに内陸部におけるエビの養殖は、塩水が漏れ出すと水田や果樹園に悪影響が及ぶ。また一旦養殖に使用した土地を再び耕作用に戻すことが困難なことから、チュアン前内閣は九八年七月、中部のスパンブリ、ナコンナヨック、ナコンパトム、ラチャブリ、アユタヤ、プラチンブリ、ノンタブリ、アントンの計八県でエビの養殖を全面的に禁止した。当時、大手業者は「排水を厳重に管理すれば問題はない」と反発したが、結局認められなかった。
エビの養殖はもともと南部の臨海地域で始まったが、短期間で多額の現金収入が見込まれることから、経済不況に陥った九七年後半より、内陸部の農民が耕地を養殖場に転換する例が急増した。
しかし同時に排水管理が不十分な養殖場が増えたため、耕地を保護する目的で、内陸での養殖が禁止されている。
今回のピタック副首相による解禁案は、ワタナ・ムアンスク首相府事務次官の意見が元となっている。同事務次官は、エビ飼料の六〇%を生産するアグリビジネスグループCP会長の親類に当たる人物、またピタック副首相もCP会長の秘書を務めた経験があることから、一部で私益がらみとも疑われている。
ピタック副首相は提案の理由について、輸出向けのエビを増産すれば、より多くの外貨を獲得できると説明。「内陸でエビの養殖が禁止されて以来、タイ経済は大きな損害を被った。このままでは競合国のベトナムやインドに大きく水を明けられてしまう」と語っている。
これに対しソンタヤ・クンプルム科学技術環境相は、現在エビの養殖が認められている二十五県で、養殖場に転化可能な荒れ地が百六十平方キロも残っていることを指摘し、「これら県で増産すればよい」としている。
一方、農業協同組合省土地開発局では、全面解禁には同意していないものの、環境基準の遵守と地方当局の認可取得を条件に、一部で養殖場の設置を認めることを検討している。当該地域は、土壌が塩分を含む耕作不可能な場所とする予定だが、調査が必要なため、特定にあと一年はかかるという。
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