証券詐欺
違法ブローカー一斉逮捕
逮捕者数100名以上---被害総額70億バーツ
七月二十六日、バンコクで不法に株式取引電話セールスを行っていた証券ブローカー二社の事務所に警官隊が踏み込み、外国人八十五名を含む百人以上を一斉逮捕した。逮捕の理由は証券取引法違反と反マネー・ローンダーリング法違反。容疑者達は海外の顧客をターゲットに電話で株式投資を持ちかけ、送金された金をすべて着服していた。被害総額は二年間で総額三億豪ドル(約七十億バーツ)にのぼり、主にオーストラリア、ニュージーランド、香港、南アフリカの顧客が被害を受けた。現在、警察当局は国際的な犯罪組織との繋がりを追っている。
手入れを受けたのはバンコク都心のサトン通りとシーロム通りに事務所を構えるブリントン・グループ(以下、BG)とベンソン・デュポン・キャピタル・マネージメント社(以下、BDCM)。事務所には六十台以上の電話が設置され、度々海外にかけられたことを示す通話記録が発見された。事務所には監視カメラが設置されており、外部からの訪問客をカメラでチェックしていた。彼らが営業を開始するのはタイ時間の午前五時。標的にしていたオーストラリアやニュージーランドの日常が始まる時間だった。
彼らの証券詐欺の手口は組織的かつ悪質だ。専用のテキストを用い短期間で電話セールス・マンを養成し、海外の中・高所得者をターゲットにバンコクから国際電話をかけて勧誘する。そして、ありもしない株式投資の話を持ちかけ、株式購入代金は送金するよう指示する。被害にあった顧客の訴えによると、セールスの勧誘はかなり高圧的でしつこいもので、一旦株式を購入した顧客に対しては株式を売却しないよう様々な理由をつけて慰留に努めたという。時には脅しに近い説得を受けたという訴えもある。こうして騙し取った金は高級コンドミニアムや高級外国車の購入等に充てていた。また、彼らが証券詐欺をしていた期間、バンコクの高級プレイ・スポットで豪遊する社員の姿が度々目撃されている。
今回の株式取引詐欺が発覚したきっかけは被害者からの訴えだ。各国の証券委員会がそれぞれ自国の被害者から通報を受け、オーストラリア政府がタイ証券取引委員会に捜査を要請した。事態を重く見たタイ警察当局はオーストラリア連邦警察と米国FBIの協力を得て捜査を開始し、短期間で二社の罪状を調べ上げた。タイ証券取引委員会の話では、「これらの犯罪グループは大変素早く行動する。電話交換所としての役割を持つ架空の事務所を設置し、外部からかかって来た電話を別の場所に転送して業務を隠蔽しようとするので捜査が大変難しい」と語る。実際、一度営業を開始した事務所は比較的短期間で閉店し、別の社名で新たに立ち上げる行為を繰り返していた。また、手入れを受けたBGとBDCMは二社だけで活動していたわけではなく、複数の会社を使って違法取引を続けていた事実も判明している。
今回の手入れで逮捕された外国人容疑者八十五名の主な内訳は英国人三四名、米国人とアイルランド国籍者、オーストラリア人が各十名、フィリピン人六名、カナダ人五名その他だ。うち五名は事件に関与しておらず、すでに釈放されている。
容疑者に課せられる刑罰は事件への関与の度合いにより異なる。BG役員だった三十四歳のオーストラリア人、スコット・フィッシャー被告とBDCM役員のアイルランド人、ポール・ヒッキー被告は証券取引詐欺と証券取引法違反の罪で最大五年の禁固刑が課せられそうだ。国際マネー・ローンダーリングの容疑については現在取調べ中。一般社員で電話セールス業務を担当していた七十八名の外国人については、すでに不法就労または不法滞在の罪で二ヵ月間の禁固刑(一年間の執行猶予付き)か五千―八千バーツの罰金が課せられている。
タイ証券取引委員会は手入れを受けた二社の他に、違法な取引業務を行っていると思われる証券ブローカー二十一社のリストを公開しているが、警察の手入れが行われた後、ほとんどの会社が営業を停止している。タイ証券取引委員会は国内外の一般投資家に対し、見知らぬ証券会社からかかって来る電話勧誘に十分注意するよう警告し、合法な会社か確認する時は同委員会に連絡(〇二―二五六―七七〇八)するか委員会のウエッブ・サイト、www.sec.org.thをチェックするように呼びかけている。
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