週間ニュース
七月十九日(木)
経済専門家の講義
政府は、百万ドルを支払ってハーバード大学の経済専門家、マイケル・ポーター教授にタイ経済の再生などについて講義してもらうことを計画しているが、これに学識経験者から「無駄遣いだ」との批判が上がっている。国立チュラロンコン大学経済学部のソムキアット氏は、「経済の基礎を強化するというタクシン首相の経済政策に合致しない」と指摘。同氏によれば、「自由競争と企業買収で成功したものが生き残る」と考えるポッター教授は、困難に直面している企業を破産させるか、ほかの企業に買収させるべきとの考えを示すと予想され、これは、自給自足に重点を置き、零細企業を保護し、その成長を促進するというタイ政府の方針と相容れないとしている。
通行料金の値上げ
今月一日から高速道路の通行料金が付加価値税(七%)を上乗せしたものに値上げされているが、下院消費者保護委員会は、この値上げを中止すべきだとしている。これは、税務当局が、付加価値税と通行料金の値上げは直接の関係がないと説明したことによるものだ。タイ高速道路公社は先に、「これまで公社が負担していた付加価値税を通行料金に反映させることにした」と説明、これを根拠に四輪車の場合、料金が四十バーツから四十二バーツに引き上げることになった。しかし、国税局の担当者は同委員会に対して、「料金の値上げは課税対象となる収入の増加につながるだけで、また、その増収分については、政府が承認しなければ、課税できない」と説明している。
試験で不正行為
ラムカムヘン大学で学士号取得のために特別入学した者のうち七人に試験での不正が発覚したという。これらは、政治家、ビジネスマン、政府高官などのいわゆるVIP学生。不正が発覚したことから、これら学生は、受講した夏期講習のすべての学科の試験が零点とされた。この講習は、比較的短期間に学士号を取得できるようにと設けられたもの。
判定は不可能
警察庁科学犯罪捜査課は、ソムサク副下院議長(チャートタイ党副党首)が有権者の買収について話しているとされる録音テープで、「声の主は特定できない」との結論に至った。これは、先月三十日に行われた下院補欠選挙で、同副議長らが買収について謀議したテープとされていたが、同副議長は、「自分の声ではない」と主張していた。中央選管のウィチット委員によれば、科学犯罪捜査課は、ソムサク副議長の声のサンプルなどと比較して問題のテープの声の主を特定しようとしたが、最終的に現在の技術ではソムサク副議長の声だとは断定できなかったという。
国軍最高司令官
チャワリット副首相兼国防相によれば、今年の定例人事異動では、陸海空三軍の司令官の中から国軍最高司令官が選ばれることになった。その理由について、同副首相は、「三軍の司令官のなかから国軍最高司令官に就任するのは異例のことである。しかし、今年は九月末で、現在主要ポストにある軍人の多くが定年退職するという異例の年でもあり、人事も例年とは違うものとならざるをえない」と説明した。現在のところ、国軍の中で最も実質的な権限を持つとされる陸軍司令官ポストにあるスラユット大将が、国軍最高司令官に就任し、ニポン陸軍副司令官が陸軍司令官に就任する可能性が高い見通しだ。
七月二十日(金)
競争力の研究
ボストンにあるポーター教授の事務所は、「『半年間にわたりタイの競争力について研究を行う』というタイ政府の要請に関する話し合いを無期限に延期する」との声明を発表した。また、同教授による一日半の講義にタイ政府が百万バーツを支払うと報じられたことに関しては、「見当違いだ」とのコメントを出している。この計画については、タクシン首相は、タイ政府が競争力強化に本気で取り組んでいることを示すもので、意味があるとしていた。一方、学識経験者の間からは、「大金を払って教授を招くのではなく、教授の著作を読めば十分だ。また、教授の自由市場論理は、草の根レベルから経済を強化するというタイ政府の方針と相容れない」という批判意見も出ている。
来月にも判決
憲法裁判所のプラサート所長は、「タクシン首相の資産不正申告疑惑に関する同裁判所の判決は九月前」との見通しを示した。同所長は、「裁判所が自由に審理を行えるよう、判決の具体的な時期については口にできない。裁判官はすべてのポイントについて審理を行っている。しかし、いくつかのポイントについて意見が一致していない」と指摘した。意見が対立しているポイントは、タクシン首相が意図的に資産を隠したかどうかであるというが、原告である国家汚職制圧委員会は法廷で、首相がすべてを承知しながら資産を隠くそうとした、と陳述していた。
大量のヘロイン
警察当局の発表によれば、バンコクで今月十七日、七十四キロに及ぶヘロインと約九千万バーツの現金が押収された。このヘロインは、ミャンマーのシャン州北部で密造され、ラオス経由でタイのチェンライ県チェンセン郡に持ち込まれたもので、米国に密輸される予定だったという。また、同時に警察当局は、女二人を含む容疑者五人を逮捕。警察によれば、今回の押収は長期間にわたる内偵の結果で、容疑者の一人がミャンマー国内の密造グループと連絡をとったことが判明し、押収、逮捕につながったとしている。
議員の関与を指摘
国防相の顧問で、国内治安作戦司令部の副議長であるパンロップ大将が先に、上下両院議員の一部が麻薬の密売、密造にかかわっている疑いがあると指摘したことから、上院議員や野党議員が、実際に誰が関与しているのかどうかはっきりさせるよう求めている。野党・民主党のチュリン議員は、「政府はこの指摘をそのままにしておくことはできない。政府はこの問題を検討する必要がある。また、国内治安作戦司令部は容疑者について政府に説明することは義務付けられていないものの、法的措置を執ることは可能だ」と指摘した。
七月二十一日(土)
競争力の検討
ハーバード大学のポーター教授は、タイ政府は同教授にタイの競争力強化について研究を依頼しているが、現在、タイ国内の状況は競争力強化に向けて建設的な論議ができる状態ではないと述べている。同教授は、新聞社の質問に対し、「残念ながらタイの政治状況はバラバラであり、生産的、建設的な論議はできない。競争力の強化については国がまとまって同じテーブルに就いて話し合う必要がある。タイの場合は特にそれが必要だ」と説明した。
火葬施設の問題
サマック・バンコク都知事は、都の環境基準に合致しない火葬施設を摘発するとの考えを明らかにした。これは、火葬施設の製造業者、販売業者との会合の中でサマック知事が述べたもの。基準では、焼却は摂氏八百五十度以上でなければならないとされている。都庁では、来年末までにすべての寺院に対し、環境に優しい火葬施設を導入するよう義務付けることにしている。国家省エネルギー事務所から依頼を受けて、火葬施設の設計を検討しているチェンマイ大学工学部によれば、環境に優しい火葬施設は約千八百万バーツするという。
マイクロバス
バンコク・マイクロバス社は、赤字経営から脱却するため、年内にバス運賃を現在の二十五バーツから十五バーツに値下げするとともに、席数以上の乗客を乗せることにする方針だ。これまでマイクロバスは、座席数以上の乗客を乗せず、客を立たせないようにしていた。しかし、同社の説明によれば、このためマイクロバス一台の収入は四百バーツから五百バーツにすぎないが、経費は三千バーツを超えてしまっているという。
七月二十二日(日)
サナムルアン広場
バンコク中心部に位置するサナムルアン広場を夜間立ち入り禁止にするとの都庁決定に抗議して、複数のグループが抗議集会を開くことを計画している。これは同広場が、地方から出てきたものの、職をもみつけることのできない人たちなどが寝泊まりする場所となっているからだ。この決定に関する討論会の席上、ある女性は、「都庁は、我々を人間以下と考えている。私と夫、四歳の息子は広場に数年前から寝泊まりしている」と訴えた。都庁は、犯罪や薬物問題の温床になっているとして、来月一日から、この広場を午後十一時から午前五時まで立ち入り禁止にすることを決めている。
大雨で洪水
東北部のスリン、ロイエット、アムナートチャルンの三県は、二十一日からの暴風雨に伴い各地で洪水被害が報告されている。また、豪雨はムクダハン、ナコンパノムの二県も襲っており、これによりメコン川が大幅に増水。さらに、プレー県では、暴風雨で百棟以上が損壊し、住民が高台に避難した。
麻薬犯に死刑判決
刑事裁判所は、麻薬所持で逮捕された、外国人二人を含む三人の被告に、死刑判決を言い渡した。香港人、シンガポール人、タイ人の三人で、バンコクで逮捕された。警察によれば、三人は、販売する意図で高純度のヘロイン六・二六九キロを隠し持っていたという。私服警官が客を装って密売人に接触するという囮捜査で逮捕されたものだが、外国人二人は容疑を否認、また、タイ人の男は、警察に嘘の自供を強要されたと主張している。
水難事故対策
タイ南部の観光地、プーケットでは、観光警察が、警察官、ライフガード、ホテル従業員などを対象に、水難事故対策のトレーニングを実施した。パトン・ビーチのホテルでは、講習が行われ、また、ビーチに出て事故を想定した救助活動も行われた。参加者に百二十人にのぼった。観光警察によれば、プーケットでの旅行者水死事故は、九七年が十七人、九八年が二十六人、九九年が三十二人、昨年が十八人、そして、今年に入ってからは十人となっている。
七月二十三日(月)
四省の新設
ポンポン副首相によれば、政府は行政改革の一環として、新たに四つの省を設置することを提案したという。これは、政府の行政改革委員会がまとめた計画で、省庁の再編は、二〇〇三会計年度がスタートする二〇〇二年十月に開始されることになっている。設置が提案されているのは、国際貿易省、天然資源環境省、観光省、社会生活開発省だ。国際貿易省は、輸出入を監督し、貿易交渉を担当。天然資源環境省は、政策、規格、水源、鉱物資源、森林資源などを監督する局で構成される。また観光省は、観光産業、スポーツ振興、観光促進、国際会議などを監督する部署で構成するが、タイ観光庁(TAT)はそのまま残される予定だ。そして社会生活開発省は、青少年育成、女性の権利向上、社会的弱者や高齢者の保護、社会開発を担当する局などで構成され、また、その下部組織として国家住宅公社が置かれることになる。
新大統領の誕生
スラキアット外相は、アセアン外相会議に出席するため訪問しているハノイで、「インドネシアのメガワティ女史が新しい大統領に選ばれたことを歓迎する。タイとしては、政権の移譲が平和裡に行われたことを喜んでいる。タイは新しい大統領に協力し、また、話し合っていきたいと考えている」と述べた。また、スラキアット大臣によれば、アセアンの外相は、インドネシアの政変はインドネシア国内の問題であり、アセアンとしては干渉することは考えていないが、この問題が地域全体にどのような影響を及ぼすかについては協議することもあり得るということだ。
上院麻薬委員会
サワット上院議員は、同僚議員からの強い批判に伴い、上院麻薬委員会の議長ポストを辞職した。同議員は、名前の頭文字がSの上院議員が麻薬事件に関与しているとの一部報道に伴い、調査を開始、した。これに対し、同僚議員が猛反発していた。同議員は、「委員会としては上院の名誉を守るために調査を行う必要があると考えたもので、容疑についてはなにも公言していない」と釈明している。
七月二十四日(火)
医師が患者を告訴
インターナワナコン病院の医師が、女性患者を名誉毀損で訴えたことで、注目を集めている。この患者によれば、胸に痛みを感じ、同病院を訪れたが、長時間に待たされたあげく、飲み薬を処方されただけだったという。このため、不信感をいだいた女性が、プミポン病院でも診察を受けたところ、乳ガンであることが判明。同病院は、社会保障制度が適用されるよう、インターナワナコン病院から紹介状をもらってくるようアドバイスしたが、同病院がこれを拒否、このため、この女性は一万バーツに及ぶ治療費を支払うことになった。一方、この問題について、調査を実施した社会保障事務所は、「インターナワナコン病院にミスがあり、これまでにこの女性が支払った治療費四万バーツを負担すべきだ」という判断を示したが、これに対し、インターナワナコン病院のウィチット医師は、「この女性患者は嘘をついている」として、名誉毀損で女性を訴えることとなった。また、この問題を扱っている消費者基金では、関係者を集めて話し合いを行ったが、主張は食い違ったままで、妥協点を見出すことはできなかったという。同医師は、乳ガンであることは分かっており、次に検診に来たときに手術の必要があることを告げようと待っていたが、女性が勝手にほかの病院にかえてしまったと述べ、医療ミスはなかったと主張している。
高速道路の問題
第二高速道路システムを管理、運営するバンコク・エクスプレスウェイ社(BECL)は、高速道路公社を相手取って五十一億バーツにのぼる賠償を求める訴訟を起こした。同社の主張によれば、公社は契約に従って、九三年までに、第二システムの二キロ区間を建設するため、その土地の管理権を同社に移譲することになっていたが、公社側がこれを怠ったため、同社は損失を被ったという。土地の管理権を移譲できなかったのは、付近の住民が強く反対したことが最大の原因だと報じられていた。
七月二十五日(水)
十九人に死刑判決
刑事裁判所では、この日行われた五件の公判で、合計十九人の被告に対し、死刑を言い渡した。一日でこれだけ多くの死刑判決が下されたのはタイの裁判史上初めてだという。十九人の被告のうち女は三人。これら被告が関与した犯罪では、二百万錠に及ぶ覚醒剤、九キロのヘロインが押収されている。また、タイでは容疑を認めた場合、死刑の求刑に対し、終身刑が言い渡されることが多いが、この日の公判では、薬物の量が多いケースについては減刑は認められなかった。
内陸でのエビ養殖
ピタック副首相は、エビの輸出を拡大するため、内陸の淡水ゾーンでのブラックタイガーエビの養殖を再び許可する必要があるとの考えを示した。このエビの養殖には、塩水を使うため、周辺の農家などから「コメや果物の栽培に悪影響が及ぶ」との批判が上がっていた。このため、三年前に当時の民主党主導の連立政権は、内陸でのブラックタイガーエビの禁止したが、ピタック副首相は、「この措置はエビの輸出減少、外貨収入の減少につながり、タイ経済にとってはマイナス面の方が大きいため、閣議に検討を要請することにした」と述べている。
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