買収謀議の録音テープ
選挙違反の証拠とならず
警察庁が音声の分析断念
選挙違反の謀議を録音したとされるカセットテープと人物映像のないビデオテープを検証していた警察庁科学犯罪捜査課は、「声の主を特定することは技術的に困難」と結論。テープは、選挙違反を立証する証拠に採用されないこととなった。
テープの内容は、先月三十日に投票が行われた下院補欠選挙における、ナコンナヨック県の有権者買収についての謀議で、投票前に有権者に金をいくら渡すかなど、買収の具体的計画が語られている。声の主は、与党・チャートタイ党副党首のソムサク・プリサナナンタクン下院副議長と、チャートタイ党のシティチャイ・キティタネスアン議員(ナコンナヨック県選出)ではないかと疑われていた。
このテープは最初、チャンチャイ・イサラセナラック元民主党議員(ナコンナヨック県)によってテレビ局に持ち込まれた。テレビ局ではこれを放映した後、中央選挙管理委員会に提出。チャンチャイ元民主党議員が言うとおり、テープの声がソムサク副議長のものかどうか警察が分析を進めていた。
中央選管のウィチット・ユースパープ事務局長によれば、科学犯罪捜査課では、ソムサク副議長に声を録音してもらい、さらに議会での発言を録音したテープも取り寄せて、比較調査を行ったという。しかし状況が異なるため比較が難しく、分析を断念することとなった。
科学犯罪捜査課のアンポン・チャルチンダ主任は、「問題のテープとサンプルのテープは、録音した機材も場所も異なるため、米FBIの設定した基準に照らして比較分析することができなかった」と説明。テープを持ち込んだチャンチャイ元民主党議員が、録音した人物を明らかにしなかったことも、警察が証拠として採用しない理由の一つとなった。
科学犯罪捜査課が分析を断念したことについては、「政治家絡みの事件なので怖じ気づいた」との批判が起きている。以前、タクシー運転手が空港警備員を名乗って、ラジオ番組に電話をかけた狂言事件では、科学犯罪捜査課の音声分析によって事件が解決したとされる。このため今回のように、音声の分析が不可能な場合があるとは考えられない人が多いようだ。アンポン主任はこのような批判に対し、「当時も電話をかけてきた人物とタクシー運転手が同一人物とは判断できず、結局、自供が犯人逮捕の決め手になった」と打ち明けている。
有権者の買収は、特に地方では当たり前のように行われている。買収に金をかけて当選した議員は、次の選挙に備えて汚職で金を蓄える。このような悪循環をなくすために政治改革が始まり、選挙違反を駆逐する目的で大きな権限を持つ選挙管理委員会が設置された。しかし政治家の意識を変えて、選挙違反を減らすにはまだまだ時間がかかりそうだ。
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