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"サワッディークラップ" 新任ごあいさつ

タイ国トヨタ自動車社長--- 佐々木 良一 氏


 佐々木さんがトヨタに入社したのは一九七四年、二十八年前のことだ。当時は工販が明確に分かれており、トヨタ自動車販売に入社した。  「車が好きだったのでトヨタに入社しました。海外の仕事にも関心がありましたから」。

 タイ国トヨタ自動車社長には今年に入って着任。佐々木さんにとって三回目の海外駐在になる。八三年からニュージーランドに四年半駐在。九四年には米国に四年間勤務した。九八年に日本に帰国してからはアジア部門を担当し、二十回ほど出張でタイを訪れている。現在はお子さんの学校の関係で単身赴任だが、八月には家族と一緒に暮らすことになるそうだ。

タイ国王に謁見

 海外経験の長い佐々木さんは、バンコクでの生活は前の二つに比べて一番便利だと語る。

 「ニュージーランドのウエリントンには当時日本食レストランがほとんどありませんでした。米国のケンタッキーも田舎に工場がありましたから、バンコクの方がずっと都会です。タイ人の人柄もフレンドリーで良いですね。米国もフレンドリーでしたが、ディベートする時などは自分の意見をはっきり、かなり強く主張します。日本人はタイ人と米国人の中間くらいでしょうか。それと、最近のタイ人は欧米で教育を受けた人が増えています。海外に触れる機会が多くなって徐々に変わってきているようですね」。

 今回のタイ駐在と今までの駐在との大きな違いは、人と出会う機会の多さだと言う。周囲の人から、「タイに行くと幅広い範囲の人と出会う機会がある」と度々聞かされていたそうだが、実際その通りだったそうだ。

 「今年一月半ばには社長交代挨拶のため、ホアヒンにある離宮でタイ国王に謁見しました。トヨタは二年半ほど前に、タイ国王のアドバイスで関係各社とジョイント・ベンチャーで精米所を設立したことがあったのですが、国王はそのことをよく覚えていて下さいました。タクシン首相にはまだお会いできていませんが、ソムキット財務相、スリヤ工業相にはもうお会いしました。その他にもマスコミからのインタビューやTV出演の機会があり、予想外の質問をされたりするので、そういうのはさすがに緊張しますね」。

誇りを持てる会社に

 ビジネスの信条は「お客様第一」だ。

 「“お客様第一”、これがないといくら車を作っても仕方がありませんからね。それと、従業員が誇りに思える会社にしたいです。誇りに思うとは、先ず社外的な部分でトヨタの車が地域社会で高い評価を受けていること、あるいはトヨタの事業が地域社会に貢献しているということです。次に社内について言えば、明確な目標や仕事の達成感、労働条件も含めて、従業員が誇りを持てる活気ある会社にしていくことが私の大事な仕事の一つだと思っています。

 個人の信条としては、家族と友人を大事にすることです。いろいろな方にお会いする機会が多いので、人との広がりが増えるのをエンジョイしたいと考えています」。

タイ自動車産業全体の発展に貢献したい

 タイでビジネスを行う場合の抱負は何だろうか。 「先ず一つ目は、トヨタとしては持続的に成長をして行きたいということです。タイ・トヨタをグローバルで競争力のある会社にしたいですね。

 二つ目は、タイの地域に貢献したいです。会社が競争力を持ち、成長することが地域貢献につながると考えています。

 三つ目は、タイ社会において好感度の高い会社にしたいです。ブランドとしての会社の評価を高めたいと思っています。そしてタイの方達が『タイ・トヨタは良いことをやっているな、あの会社で働きたいな』と思ってくれたらいいなと考えています。これは従業員のモラルと誇りにも跳ね返ってきますから。

 四つ目は、タイの自動車産業の発展に貢献し、かつトヨタがその中心的な役割でいることです。そのためにタイ人のいろいろな人にトヨタ車に乗っていただきたいですし、同時にトヨタだけではなくタイの自動車産業全体が競争力を持てるように貢献したいです」。

 タイの自動車産業に貢献するとは具体的にどういうことか質問してみた。

 「具体的に言うと、トヨタそのものが現地生産の中でいかに付加価値を高めるかということです。例えば、現在、トヨタと取引のあるいろいろな部品メーカーさんにタイに来ていただいているのですが、これらの会社はトヨタに部品を納めると同時に、他の自動車メーカーにも納めています。そういう関連部品メーカーさんを一番引っ張ってきたのはトヨタなわけです。部品メーカーさんはトヨタだけではなく、タイの自動車産業を発展させるために他の自動車メーカーさんのサポートもしているわけなのです。そういうところでトヨタは中心的な役割を果たしていきたいと考えています」。

 佐々木さんは自動車業界の話になると話が止まらない。ご自身が自動車好きなのと仕事が楽しいのだろう。これまで書いてきたことの他にも、タイの自動車産業の話をいろいろと話していただいたが、これについては後日稿を改めて紹介したい。

 最後に趣味と読者へのメッセージを話していただいた。

 「無趣味なんですよ。ゴルフを週に一―二回やります。スポーツ観戦が好きですね。時間があるとのんびり本を読んだりします。読者へのメッセージは、高品質でお客様にご満足いただける車を出して行きたいと思いますので、引き続きご愛顧の程を、ということで。」

 家族は妻と一男一女。一九四八年生まれ、東京大学卒、五十三歳。

(聞き手・構成 宮尾和宏記者)



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