経 済

携帯一位と三位が合併

AIS、市場シェア六〇%へ


 タイ最大の通信会社シン・コーポレーション(シン・コープ)は十六日、携帯三位デジタル・フォンを買収する意向を発表した。シン・コープはデジタル・フォンを完全子会社化した後、デジタル・フォンをグループ傘下の携帯最大手アドバンス・インフォ・サービス(AIS)と合併させる。今回の合併によりAISは市場シェアをおよそ六〇%まで拡大する。

 デジタル・フォンの発表によれば、シン・コープとシンガポール・テレコム(シングテル)の合弁会社シン・デジタルは、テレコム・マレーシアが保有するデジタル・フォン株四九・九九%を百十一億五千万バーツ(二億四千五百万米ドル)で買収することで基本合意した。これによりシン・デジタルのデジタル・フォンへの出資比率は四七・五五%から九七・五四%まで増加、デジタル・フォンはシン・コープの完全子会社となる。

 同時にシン・コープ傘下で携帯一位AISはシン・コープとシングテルの保有するシン・デジタル株(出資比率はそれぞれ六九・九九%、三〇%)全株を買収、デジタル・フォンはAISと合併する。買収額はおよそ五億四千万バーツとなる見通し。AISは地場銀行から一億六千万バーツを借り入れる他、大型増資を実施し買収資金を調達する。さらに、AISではシン・デジタルの負債百七十三億六千万バーツも引き継ぐ方針だ。

 デジタル・フォンはテレコム・マレーシアとタイ通信会社サーマートとの合弁で一九九四年に発足(当初のサービス名は「ハロー」)。しかし、業績不振に陥ったサーマートは昨年、持ち株全てをシン・コープに売却。サービス基盤の拡大を狙うシン・コープはそれ以降、デジタル・フォンの買収を狙いテレコム・マレーシアに対し再三アプローチをかけていた。

 デジタル・フォンは現在、携帯電話サービス「デジタルGSM1800」を提供、加入台数二十五万台で市場シェアは五%。AISはデジタル・フォンとの合併でタイの携帯電話市場におけるシェアを現在の五五%(加入台数二百九十万台)から六〇%まで拡大、大幅値下げを謳い文句にしたキャンペーンでAISに猛追をかける同二位DTACとの差を一気に広げる。

 一方、AISとデジタル・フォン合併後の業務形態について、デジタル・フォンのウィクロム社長は「スタッフも業務もそのまま維持する」と述べ、「両社がそれぞれ独立して業務を継続する」方針を強調。「カスタマーサービス、ネットワーク拡張、マーケティングなどの部署を共有することでコスト削減を図る」と述べ、先月発表した百十億バーツを投ずるネットワーク拡張のための増資計画の中止を決定、膨大な投資が必要なネットワーク拡張事業の共同化により大幅なコスト軽減を進める考えだ。

 また、マーケティング戦略に関しては、AISをハイエンド向けサービス、デジタル・フォンを首都圏内のローエンド向けサービスとの位置付けを今後も維持。携帯電話によるインターネット接続が可能となるGPRS(ゼネラル・パケット・ラジオ・サービス)など高品質サービスを掲げるCPオレンジや低価格サービスで参入する計画のACTモバイルなど新規参入事業者を真っ向から迎え撃つため磐石の布陣を整える。

 サービス料の引き下げや市場活性化を促進する上でのキー・プレーヤーとして期待される新規参入事業者だが、CPオレンジではサービス開始を既存事業者とのローミング契約の決裂などで当初予定の今年の第四四半期から来年第一四半期に延期。三通信公社主導のACTモバイルに関してはプロジェクト自体が存続の危機に晒されていることから依然ケータイ勢力図の異変が起こる気配はなく、割高といわれるサービス料の大幅な引き下げは当面望めそうもない。



[BANGKOK SHUHO]