総 合

知的財産権を保護

コピー商品の摘発急増


タクシン首相  官民合同対策委を設置

 タクシン・チナワット首相は今月十日、コピー商品(海賊版)の被害を訴える音楽・映画業界の代表者約三十人と会合。近日中にプラチャイ・ピアムソムブン内相を長として官民合同の対策委員会を設立し、知的財産権の侵害について取り締まりを強化すると表明した。同首相は、音楽・映画・コンピューターのソフトウェアやブランド品のコピー商品が氾濫している現状を憂慮、「コピー天国との汚名を返上したい」と語っている。(小林ゆかり記者)

 大手音楽・映画会社によれば、コピー商品の販売総額は年間三十億バーツに上り、警察の押収量は全体の二〇%にすぎないという。業界側は、製造元を取り締まるよう政府に強く求めており、特に急増しているCDのコピー商品について、CD製造機器の所有を管理する法律が必要としている。

 最近タイでは、映画VCDのコピー商品が数多く出回っている。ビデオテープより安価でサイズが小さいため、これまでビデオテープを売っていた業者のほとんどがVCDの販売に切り替えた。バンコク都内の市場などでは、映画VCDのコピー商品が、正規商品の半額から五分の一の価格で販売されている。正規商品がまだ発売されていない公開されたばかりの映画さえ、コピー商品が先に出ている状態だ。

 警察庁経済犯罪捜査局が昨年、カセットテープ、ビデオテープ、CD及びVCD、コンピューターソフトウェアについて、コピー商品の押収量をまとめた統計でも、CD及びVCDが全体の七三%を占めていた。

 警察は今月三日、バンコクと近郊のノンタブリ、アユタヤ、パトゥムタニ、サムットプラカンの各県で、コピーCDの一斉取り締まりを実施、約三万枚のCDを押収し、三十一人を逮捕した。中でもノンタブリ県では、大型のCD複製機が押収され、同県選出の元下院議員の弟が逮捕されている。

 警察庁経済犯罪捜査局、犯罪制圧局、首都圏警察本部、及び商業省知的財産局の統計によれば、昨年摘発された知的財産権に関わる犯罪は二千九百二十七件、押収されたコピー商品は三百六十万点に上るという。

 タイは九二年に経済犯罪捜査警察を、九七年には知的財産権及び国際貿易専門裁判所をそれぞれ設立し、知的財産権の侵害を含む経済犯罪の防止に取り組んできた。しかし九六年から九九年にかけては年間千五百件前後だった知的財産権を侵害する犯罪の摘発件数は、昨年、前年の二倍に急増する結果となった。

 今年は第1四半期までで、すでに千百九十四件が摘発され、バッグ、衣類、CD、カセットテープ、ビデオテープなど六十七万六千点のコピー商品が押収された。警察では押収品の公開処分を随時実施して消費者の啓発に努めているが、安価なコピー商品の人気は依然として高いようだ。

 タイはWTO(世界貿易機関)のTRIPS協定(貿易関連知的財産権に関する協定)に基づき、昨年よりこれまで未加入だった既存の知的財産権保護条約についても保護義務を負うこととなった。

 政府は法律の整備、海外の支援を受けた人材育成など、知的財産権の確立に努力しているが、米国は現在もタイを知的財産権の保護が不十分な国として監視し続けている。

 スワン・ワライサティアン副商業相は、知的財産権の確立が経済発展にとって重要であることを指摘。「これまではコピー商品の製造元を取り締まる際、情報が漏れていたため証拠隠しや逃亡を企てられることが多かった。今後は警察の取り締まり方法も改善したい」と語っている。



[BANGKOK SHUHO]