総 合

iTV職員解雇問題

労働委が復職を命令


経営陣は反発、提訴の意向

 政府の労働委員会は先月二十九日、テレビ局「iTV」に対し、解雇したスタッフ二十二人を十日以内に復職させ、また賠償金を支払うよう命じた。同委員会の説明によれば、この決定は、労働関係法に則ったもので、賠償は解雇された日から復職までの期間の給与とされている。

 iTVは、九二年五月の流血事件後、事実上全権を掌握していた軍部が報道を管制し、事実を国民に知らせなかったことから、不偏不党の立場でニュースを伝えるテレビ局として発足した。しかし、ニュース専門テレビ局としての経営は赤字続き。このため、タクシン首相(タイ愛国党党首)が影響力を持つ企業グループが昨年、iTVの株を取得、実質的な経営権をにぎり、経営方針の変更などに着手した。

 経営陣の交代により、iTVの報道姿勢にも変化がおき、これが各方面からの批判を招くことにもなった。

 iTVは今年初めに投票が行われた下院議員選挙の公示前から、「タイ愛国党やタクシン党首に有利な放送をしている」との声が聞かれ、報道セクションの複数のスタッフも放送内容について上部から直接指示があったことを認めている。

 このなか、経営陣の偏向姿勢に反発したスタッフが解雇され、また、この「不当解雇」から自分たちの権利を守ろうと労働組合を立ち上げたスタッフも首を切られることになった。これらスタッフが、今回労働関係委員会が復職を命じた二十二人である。しかし、iTV側は今も、「解雇はリストラ計画の一環で、労働組合の結成とは無関係」として、正当性を主張している。

 復職・賠償金支払いの命令について、iTVの経営責任者、サンチャイ氏は、「経営者には職員を解雇する権利がある。裁判所に判断してもらう」と反発しており、この争いは法廷にもちこまれることになりそうだ。

 一方、iTV労組のサコンデート副議長は、「経営陣による報道現場への干渉は現在も続いており、これがiTVのイメージダウンにつながっている」と批判するとともに、「経営陣は時間稼ぎのために裁判に持ち込もうとしているが、偏向報道を立証する証拠が存在するため、この戦略は墓穴を掘ることになる」とも指摘している。



[BANGKOK SHUHO]