総 合

バンコク都内 妊婦の銀行強盗に恩情判決

元議員も出産援助申し出


 バンコク都内で銀行強盗を試みた妊婦が、恩情により罪を免れ、仕事も斡旋してもらえることとなった。

 この女性はナコンパトム県出身の建設作業員スパトラ・パンドゥアン容疑者(21)。スパトラ容疑者は妊娠八カ月だった6月4日、タイ農民銀行バンモット支店に押し入り、持っていたハンマーでガラスの壁を破壊。行員を脅して金を奪おうとしたが失敗し、そのまま逮捕された。

 警察の調べに対し、スパトラ容疑者は「夫に捨てられ、出産費用も食べ物を買うお金もなかった。どうしてもお金が必要だったので銀行強盗を思いついた」と語っている。

 警察が一旦、強盗未遂容疑で起訴したものの、7月21日にトンブリ裁判所で行われた審判では「十分に同情する余地がある」とされ、起訴が差し戻された。

 同裁判所のプラサン・スシカコソン裁判官は「貧困と生活上の不安から精神的に追い詰められ、発作的に犯行に及んだものと思われる」とその理由を述べている。スパトラ容疑者については、先にスチャート・トライプラシット法務長官も「全く犯罪歴がなく、犯罪者らしい性質も見当たらない。情緒不安定から起こした事件であり、起訴は取り下げるべき」と提案していた。

 またその後、オラタイ・タナチャロ元下院議員もスパトラ容疑者に対し、父親が経営するタピオカ農園を手伝う仕事を紹介、「一日百バーツの手当を支払う」と申し出ている。オラタイ元議員は現在タイ・ラック・タイ党に所属、裕福な事業家の娘で、チェター・タナチャロ前陸軍司令官の義理の娘にも当たる。スパトラ容疑者の保釈金も立て替えており、さらに出産までの保護と援助を提供したいと語っている。

 一方、スパトラ容疑者にガラスを破壊された銀行側には、補償を求めて民事訴訟を起こすことも可能とされているが、まだその動きは見られない。


[BANGKOK SHUHO]