総 合

洪水被害続出
保健省、感染症の流行警告

タイ東北部 農作物への影響が懸念


 東北部ウドンタニ県では今月十一日、同県の観測史上最も多い二百七十四ミリの豪雨を記録、深刻な洪水が発生した。市内では雨が弱まってからも水位が上昇し、十四日には八十センチから一メートルに達した。ウドンタニ空港は十三日午前七時から十四日午前七時まで安全のため電源を落として閉鎖され、タイ国際空港のバンコク・ウドンタニ便が十二日から十三日にかけ計四便欠航した。

 ウドンタニ県では十二日にキアトパン・ノイナニ知事が洪水対策会議を招集。政府も十四日より、生活必需品や医薬品の送付、医療団の派遣など救援活動を開始した。チュアン・リークパイ首相は十五日、バンヤット・バンタットタン内相、スタット・グンムン法務相と共に同県を慰問している。

 内務省によれば今年五月に始まる雨季の期間中、既に三十二県が洪水の被害を受けているが、ウドンタニ県の被害が最大だという。同県の浸水被害は四十五平方キロメートルの範囲に及び、死者は十七日までに七人に上った。市の中心部では排水作業の結果、十五日から水が引き始めたものの、郊外の低地はいまだ浸水したまま。県当局は今後、数週間は水が引かないものと見ており、農作物への影響が心配されている。

 洪水が引いたウドンタニ市内は各所にゴミが山積みされ、衛生状態が悪化した。保健省伝染病管理局は今年、ネズミなど動物の尿を媒体とするレプトスピラ菌による感染症の流行を警告しており、ウドンタニ保健所でも注意を呼びかけている。

 同県では昨年百人がこの菌に感染して二人が死亡、今年に入ってからは二十人が感染して一人が死亡した。症状は高熱、筋肉痛、頭痛などで、五日から十日の潜伏期間を経て発症する。同保健所では今回の洪水でレプトスピラ菌に感染したと思われる患者を十人ほど確認しており、さらに患者が増えるものと予想している。

 伝染病管理局によれば、レプトスピラ菌の感染者は昨年の二倍の勢いで増加、今年上半期には千百四十二人が感染し、うち五十二人が死亡しているという。これら患者のうち千六人は北部の住民だが、菌はバンコク都内のネズミからも検出されている。

 一方、運輸通信省気象局は、今後ほぼ全国的に雨量が増加することを予想、突発的な洪水に注意する必要があるとしている。バンコクではまだ深刻な洪水は発生していないが、都庁では洪水に備え、すでに三月より排水溝の整備や運河の清掃を行ってきた。

 都庁では毎年、洪水多発地区を指定し、重点的に防水対策を施している。洪水多発地区には、九七年に二十五カ所、九八年に十八カ所、昨年に十一カ所が指定されたが、排水路や貯水池などの整備が進んだ結果、今年はスアンプルー通りとスクムビット・ソイラサン(ソイ一〇五)の二カ所のみが指定されることとなった。

 さらに都庁は甚水ポンプを備えた洪水管理センターを設け、洪水発生時はいつでも職員を派遣する用意を整えた。同センターによれば現在のところ、チャオプラヤ川東側のプラナコン地区で一日当たり四十三万立法キロメートル、西側のトンブリ地区で二十二万立法キロメートルの排水が可能だという。

 またガームリン計画と名付けられた貯水池増設計画が進められており、すでに完成した都内二十カ所の貯水池で、洪水時には九立法キロメートルの水を蓄えることができる。さらに容積十三立法キロメートル分の貯水池が計画されており、現在設置場所の検討が行われている。

 都庁によるチャオプラヤ川、バンコクノイ運河、マハサワット運河沿いの堤防建設も進められており、全長八十八・八キロメートルの計画のうち、これまでに二十七・七メートルが完成した。現在二十・七キロ部分の工事が行われており、来年中にはこの部分が完成する予定となっている。

 洪水多発地域であるチャオプラヤー川及びその周辺の運河沿いでは、九二年より堤防の建設工事が続けられているが、予算不足によりわずかずつしか進んでいない。洪水管理センターでは「政府の補助金が支給されれば二〇〇四年には計画の全体が完成する」と述べている。

(小林ゆかり記者/ルァンイッサラー・カライジンダー記者)



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