泥沼の上院議員選
選挙法改正作業が急ピッチ
4度目の投票が3県で実施
定数二百人議席のタイ初の直接選挙となった上院議員選挙(定数二百)は、先月二十四日のウボンラチャタニ県に続き、東北タイのノンカイ、ウドンタニ、マハサラカムの三県で今月九日、四度目の投票が行われた。これまでの三度の投票で二百議席中百九十六議席が確定しているが、これら四県では不正行為がおさまらず、中央選管からは毎回、「やり直し」を命令していた。しかし、中央選管によれば、今回も立候補者による有権者の買収が多く報告されているという。
ノンカイ県で選挙の監視に当たったNGO「Pネット・ノンカイ」は、有権者を買収のため十地区以上で現金や酒、痛み止め薬、ボトル詰め飲料水などが配られた、と報告。具体的には、立候補者側から票のとりまとめのため、地区のリーダーに現金が渡され、その後、有権者に二十〜三十バーツを配るという流れということだ。
マハサラカム県では現地の地方選管に少なくとも三地区から選挙違反の報告が入っており、ある地区では、候補者から金をもらった村長が拡声器を使って村民に、その候補への投票を呼びかけたケースもあるという。一方、ウドンタニ県では、投票所に現れる有権者が非常に少なく、キアティパン知事は、「繰り返される投票に有権者も関心を失っている」と述べている。
また、中央選管のユワラット委員は、「今回、三県での投票率は二九・五二%に過ぎなかったが、これまで当選圏に入ったことのない候補が多くの票を獲得しており、評価できる」と指摘した。同委員会では、当初、二度にわたり当選圏内に入ったものの選挙違反で当選認定を取り消された候補に対しては再立候補を認めない方針を発表していたが、先日、憲法裁判所がこれを「違憲」とする判決を下したことで、今回の選挙ではこれらの〃灰色〃候補も立候補できることになった。このため、中央選管としては、これまで当選圏内に入ったことない候補の当選を期待しているようだ。しかし、中央選管では、「今回の投票でも当選圏内に入った候補が不正行為で当選認定を受けることができなかった場合、第五回目の投票を今月二十二日に行う予定だ」としているため、ふたたび選挙が実施される可能性も否定できないでいる。
また、政府が設置した選挙法改正のための作業部会(座長・ミーチャイ前上院議長)は先に初会合を開き、少なくとも五つのポイントについては改正が必要だとの点で一致した。
第一は、開票方法に関する条文の改正。現行法では、開票所にすべての投票所から投票箱が集まって、初めて開票が可能とされているため、一部の投票箱の到着が遅れたり、紛失したりした場合は開票作業を始められないことになっていた。
第二は、住民登録した場所以外での投票を可能にすること。バンコクなど大都市には、地方から大勢の人々が出稼ぎにきているが、住民票を移していないケースがほとんど。このため、これらの人々は投票のために帰省しなければならず、これが大きな負担になっており、投票率を下げる要因にもなっていた。
第三は、在外タイ人有権者の投票は下院選挙のみとすること。これはコストがかさむためで、作業部会は、外国に住むタイ人有権者の投票は下院議員選挙の第一回目の投票に限り、補欠選挙や再度の投票は対象外とすべきだとしている。
第四は、比例代表制で候補に不正が見つかった場合の対処法を整備すること。作業部会は、選挙違反で当選認定を拒否された候補の再度の立候補を禁止する権限を選管に付与すべきだとしている。
そして第五は、有権者の買収などに資金が投入されたかどうかをチェックするため、タイ中央銀行や商業銀行から預金の引き出しなどに関する情報の請求権限を中央選管に付与すること、となっている。
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