総 合

元タイ航空女性職員  「過去告白」に首相困惑

首相副秘書官 「行き過ぎには訴訟も」


 チュアン首相に「女難の相」が出ている。六月二十日、バンコク都知事に立候補している女性候補チィティポンさんが、選挙運動と称して首相府に「押しかけ」、敷地内で演説をするというハプニングがあったが、ここでチュアン首相に面会を求め、拒否されたことから態度を硬化。チュアン首相との「過去」を改めて公表することとなった。

 チィティポンさんとチュアン首相の仲はこれまでにもマスコミに取り上げられたことがあったが、女性側の「ひとり相撲」とみられたことで、話題は長続きしなかった。しかし、今回は舞台が都知事選ということで、ふたたびマスコミをにぎわすことになっている。チィティポンさんの祖父は元民主党議員で、タイ南部人協会の発起人とチュアン首相が党首を務める民主党とも関係が深く、本人も「民主党の身内」と公言していることも話題つくりに貢献することになったようだ。

 チィティポンさんは米国の大学を卒業した後、タイ航空に就職、VIPの接待係となった。ここでいろいろな要人と接することとなり、チュアン首相ともこの時、初めて会話をすることになったという。

 「最初にチュアン首相のお世話をして以来、首相は空港を利用する時、必ず私のいるカウンターの前を通るようになった」と回想、「そのため、チュアン首相専属の世話係になった」と語る。

 その後、民主党の選挙運動にも協力、「首相も常に優しくしてくれた」ほか、首相の実家を訪ねた時には、「息子をよろしく頼む」と母親にいわれたという。

 これに対してチュアン首相は、「この手の問題で傷つくのは女性」として、事実関係を否定するだけにとどまっているが、それでも、「チィティポンさんが空港のあちこちで〃待ち伏せ〃していることで、タイ航空に苦情を言ったことがある」と告白。また実家訪問の件も「母親も訪ねてくる人を無下に拒絶するわけいはいかないので、困惑したことだろう」と説明するなど、両者の言い分は大きな食い違っている。

 一方、今回の都知事に立候補した理由だが、チィティポンさんは「チュアン首相との関係を保つため」と公言する。過去にチュアン首相との「関係」が記事になったことでタイ航空から「自粛」を命じられたチィティポンさんは、「自分が都知事になれば、次期選挙で民主党が政権党となり、チュアン氏が再び首相のポストに就いた場合、協力して仕事ができる」と考えたということだが、何とも現実離れした発想といえなくもない。

「彼女とも何の深い関係もない」とチュアン首相は断言、世論も「女性側のひとり相撲」との声が多いため、首相としてもあまり事を荒立てたくなかったようだが、ここでチィティポンさんの矛先が首相夫人のパクディポンさんに向いたことで、事情が少し変わってきた。

 チュアン首相が夫人とまだ正式に入籍していないことは周知の事実だが、ここでチィティポンさんが、「かつてパクディポンさんから、私が首相の家族に迷惑をかけていると批判されたことがあるが、パクディポンさんはまだ前夫と正式に離婚しておらず、首相夫人を名乗る資格はない」として、「もし、離婚しているなら、離婚届を公表してほしい」と息巻いたことで、首相も無視するわけにはいかなくなった。このためニポン首相副秘書官が、「これ以上しつこいと、訴訟もありうる」と警告することにもなっている。

 クリントン米大統領の女性問題と違い、今回のチュアン首相の女性問題は、それほど深刻なものとはいえないが、それでもチュアン首相の悩みがもうひとつ増えたことは確かであろう。



[BANGKOK SHUHO]