経 済

中小企業を重視する商業銀行

膨らむ不良債権に懸念も


 商業銀行各行が中小企業との関係を深めている。普及が急速に進んでいる企業間電子商取引で、中小企業の役割がクローズアップされていることがひとつにある。銀行は中小企業を電子決済ネットワークに取り込むことで、幅広い金融サービスを提供したい考えだ。その一方で、中小企業向け融資の不良債権化が問題になっており、中小企業ビジネスの困難な側面も表面化している。

 タイファーマーズ銀行、サイアムコマーシャル銀行、バンク・オブ・アジア(BOA)の三行は他行に先行し、インターネット上の電子決済システムの提供に乗り出している。中でもITを使った銀行サービスを強調しているのが、タイファーマーズ銀行で、「eガールス」を使ったマーケティング・キャンペーンが話題を呼んでいる。またサイアムコマーシャル銀行は早くから、電子マネーや電子商取引に取り組んでおり、ノウハウの蓄積では一日の長がある。

 現在、流通・メーカー各社が企業間電子商取引に本格的に着手しているため、中小企業も電子決済システムを導入せざるを得ない状況となっている。地場銀行はこうした企業のIT導入を手助けし、電子決済の基盤を構築することを目指している。

 銀行が中小企業の取り込みを急ぐ背景には、銀行以外の企業に企業間電子商取引の主導権を奪われかねない状況がある。タイの企業間電子商取引で先行しているのが、ウィンストア社。ネスレ、サハグループ、バーリジュッカーなど大手企業と手を組み、全国の卸売業者や小売業者との注文・決済を電子化する計画を発表している。予定通りいけば、電話やファクスによる受注は段階的に廃止され、インターネットによる電子システムに切り換えられる。

 一方、銀行業界で大きな影響力を持つオラーン・サイアムコマーシャル銀行取締役は、中小企業向け融資の不良債権化が消費者や企業向け融資よりも大きな問題になるとして、警鐘を鳴らしている。地場銀行は約三十万社の中小企業に融資しているが、一兆五千億バーツの融資残高のうち、三千三百億バーツが不良債権になる見通しという。

 中小企業に対する融資の三分の一以上が、タイ中央銀行の不良債権再構成プログラムに含まれていない。このため中小企業向け融資は、銀行経営の大きな不安定要因となっている。

 タイファーマーズ銀行調査部によると二〇〇〇年中は、預金金利と貸出金利の乖離が大きくなると予想されており、商業銀行の収益性はおおむね改善する見込みだ。しかし、タイの銀行システムは、なおも九百億バーツにのぼる資本投入を必要としている。別の調査では、バンコク銀行で三百億バーツ、アユタヤ銀行で二百億バーツ、バンコク・オブ・アジアで百億バーツの増資が必要、と見積もられている。



[BANGKOK SHUHO]