週間ニュース


●6月15日(木)

報告書の全面公開
 スチンダ元陸軍司令官は、九二年の流血の惨事「五月事件」に関する国防省の調査報告書、および陸軍の調査報告を公開すべきとの見解を示した。同元司令官は、「事件に関する調査レポートは、すべて公開すべきだと思う。特に陸軍の報告は開始すべきだ」と述べた。また、スチンダ氏は、「これらは非常に重要な報告書である。しかし、現在も内容がそのままかどうかは分からない」と付け加えた。この事件は、前年九一年にクーデターにより当時のチャチャイ首相を追放し、全権を掌握した軍幹部が、政治に直接関与したことから起きた。当時大勢の市民がラチャダムヌン通りなどに集まり、スチンダ陸軍司令官の首相就任に強く反対し、これを軍部などが武力弾圧し、多数の一般市民が死亡した。また、スチンダ元司令官は調査委員会などで証言したこともなく、調査報告書にも目を通したことはないという。スチンダ氏によれば、同氏を含め当時の軍部首脳は誰一人として市民に発砲することなどは命じていないという。

エイズに感染
 保健省の発表によれば、米国に中国人の女を入国させるためのカモフラージュに使われたとされるタイ国籍の男児(三歳)が、エイズに感染していることが判明した。これによりこの男児のタイ帰国がさらに遅れるものと予想される。ロサンゼルスの裁判所は、タイで十分な世話をできることがはっきりしてから、この男児をタイに戻すとしている。同地の関係当局は、まだ不安を抱いているため、この男児の帰国が遅れている。また、エイズに感染していることが分かったことから、タイで治療の手配をする必要が出ている。

投票の延期
 今月十八日に予定されていた、上院議員選挙の第四回目の投票は、タイ選挙管理委員会の権限について憲法裁判所が判断を示したことから、延期されることになった。同裁判所によれば、選管には過去の投票で二回にわたり当選圏内に入ったものの選挙違反で当選認定を拒否された候補が、次の投票に立候補するのを阻止する権限はないという。これにより四人が新たに立候補できることになった。選管のユワラット委員は、「これら候補に時間を与えて、選挙ポスターを貼り、有権者の顔と名前を覚えてもらう必要があるため、第四回目の投票は来月九日あるいは十六日に行われることになった」と説明した。同裁判所では、特定の条件のもとで選管に立候補禁止の権限があるあるかどうかを審議し、権限なし七人、権限あり五人で、権限なしの判断を取ることになった。

新しい上院議長
 これまでの投票で選ばれた新しい上院議員は、今月二十三日にナコンラチャシマ県に集まり、上院議員に誰を選ぶかを協議する予定だという。関係筋によれば、この会議は、サナン前副首相兼内相の顧問だった議員を上院議長に推すグループが発案したものだという。しかし、一部の上院議員は、このカオヤイのミッション・ヒル・ホテルで開かれるイベントは、単なるパーティーにすぎないと述べて、上院議長選出の検討を目的としたものではないとしている。これまでのところ、三十人程度が出席の意向を示しているという。


●6月16日(金)

通常国会の召集
 先の憲法裁判所の判断により、今月二十四日に予定されている通常国会の召集が遅れる可能性が高まっている。この判断により、上院議員選挙にさらに時間がかかり、二十四日までに上院議員二百人全員が揃わないと予想される。また、タイ選挙管理委員会のユワラット委員は、「これからは憲法の精神ではなく、その文言に忠実に従うことにする。今回の憲法裁判所の判断は、文言をそのまま受け取った結果である。このため、憲法の精神を大切にするのは意味がなくなった」と指摘した。

鑑識法の改正
 病理学者のポンティップ医師は、警察当局は、鑑識法を改めることで、警察官による意図的な容疑者殺害を隠蔽しようとしていると指摘した。鑑識法は今月二十七日に改正されるが、これによりバンコク首都圏では、変死者が発見されたり、事件で死亡した者がいたりした場合、その地域の医師が検視を行うことになる。同医師は、「国内には検視の専門医が六十八人いるが、そのほとんどはバンコクに住んでいる。しかし、新しい法律では、これらの医師には頼まずに、地元の医師が検視を行うことになっている。これは不思議なことだ」と指摘した。この法改正には、警察病院の医師の中からも、その意図が理解できないとの声が出ているという。

知事選候補の人気
 私立のアサンプション大学のインターネット接続業者のKSCが共同で実施した世論調査によれば、バンコク都知事選挙の候補の中では、サマック・プラチャーコンタイ党党首が支持率三四%でトップだった。これは先月の二五%に比べ九ポイントアップとなっている。第二位は、タイラックタイ党のスダラット候補で一四・九%。先月の調査では一九・八%だった。第三位は国家開発党のパウィナ候補で、一〇・五%だった。これは先月の七・三%を上回っている。民主党のタワッチャイ候補は、五・九%で、七・四%からのダウン。また、ウィナイ元副都知事は一・三%、カラヤ候補は〇・九%、プラチャク候補は〇・三%だった。


●6月17日(土)

裁判官に辞職要求
 憲法裁判所がタイ選挙管理委員会の権限について最近下した判断が原因で、同裁判所の裁判官十三人の辞職を求める動きが活発になっている。民主化促進を求める複数の市民団体も協力して裁判官の辞職を求める見通しだ。これら市民団体は、同裁判所の先の判断は、政治改革の促進に逆行するものだと考えている。

漁業合弁事業
 政府によれば、先にカンボジアを公式訪問したチュアン首相は、同国政府の担当者との話し合いで、漁業分野でのタイとカンボジアの合弁事業を促進すべく、カンボジア水域内での漁業規定を明確なものにするよう提案した。これは、両国間の漁業問題の解決を目的としている。チュアン首相は、タイは漁業技術などをカンボジア側に移転する用意があり、これは、両国による漁業資源の活用、管理に大いに役立つという。このほか、チュアン首相は、フン・セン首相との会談で、タイの対カンボジア投資を増やすため、投資関連規定の整備を急ぐよう申し入れた。また、チュアン首相によれば、プノンペンのタイ大使館がタイ側からの投資拡大に努力し、また、大使館が解決できないビジネス上のトラブルなどはタイ政府が解決に乗り出す用意があるという。

漏電で外国人死亡
 新聞報道によれば、パタヤのホテルでデンマーク人の男児(十二歳)が、プールサイドの照明装置の漏電が原因で感電死した。これは、修理すべきものを放置しておいたのが原因だという。男児の両親は、ホテルの営業停止を求めて裁判を起こす構えだという。また、一緒に遊んでいた十一歳の英国人の男児も感電でけがをした。二人は、雨降りの中、プールサイドで遊んでいたもので、デンマーク人の男児がプールに入った途端、感電したという。


●6月18日(日)

国の安全保障
 社会活動家の自宅の電話が盗聴されていた問題に関連し、複数の人権活動家が、当局に対し、電話盗聴などが当局に許される要件を明確に示すよう求めている。これら運動家によれば、当局は自分たちに都合が悪くなると、国の安全保障を理由に情報公開を避けている。マグサイサイ賞受賞者のトンバイ氏は、「政府機関によってもなにを国の安全保障としているか認識が異なっているようだ」と指摘した。同氏は、不当な理由で盗聴することは、憲法三七条で保証されている通信の自由を侵すものだとしている。

浚渫船の建造
 関係筋によれば、港湾局のチョンアート局長は、同局が発注した浚渫船の建造が遅れているため、これら浚渫船が届けられた時点で、そのポストを失う可能性が高いという。これら三隻は、契約では九七年九月に届けられる予定だったが、受注したエリコット・マシン社では建造が遅れており、昨年四月に延期された。しかし、さらに建造が遅れ、納期は来月に変更されている。建造コストは十三億バーツで、同局はすでにダイキンの八十五%を支払っている。関係筋によれば、チャイヤ副運輸通信相は、同局長の解任に動き出しているという。

若者票の獲得
 バンコク都知事選の候補、サマック党首とパウィナ元国務相は、若者が多く集まるサイアム・スクエアで支持を呼びかけた。サマック党首は、古いタイプの政治家、頭の固い政治家というイメージが強いが、それを払拭しようと、若者と積極的に意見を交換した。若者が同党首にサインをねだるという場面もあった。サマック党首は報道陣に対し、若者に嫌われているわけではないことを示したいがため、ここにやって来たと説明した。また、しばらくしてパウィナ候補が十代の映画俳優とともにサイアム・スクエアに現れた。同候補のほうが若者に人気があったという。

医療費の適正値
 医務評議会のスウィット・スポークスマンによれば、同評議会は、医師が医療費を高く設定するのを防ぐため、医療費に関する公開討論会を開くことにしている。同スポークスマンは、「これは消費者の保護を拡大しようというもので、保健省の医療費公示要求とは関係がない」と指摘した。また、バムルンラート病院の経営責任者は、「自由主義経済では、医務評議会が医療費を画一化することなどは不可能だ」と指摘した。同責任者は、保健省の意図は理解できるが、医療費は患者の病気の度合いなどによって異なるため、料金公示を義務づけても意味がないとしている。


●6月19日(月)

通常国会の召集
 ウィサヌ内閣官房長官によれば、政府は憲法裁判所に対し、上院議員二百人が全員揃っていなくとも通常国会を今月二十四日に召集できるかどうかについて審議するよう要請する方針だという。具体的には、勅令の発布で通常国会を開くことが出きるか、また、可能な場合は下院議長が召集することができるか、さらに、不可能な場合は、いつ国会を召集することが出きるかについて同裁判所に判断を求めることになる。二十日に閣議で承認されれば、直ちに憲法裁判所に審議が要請される予定という。

前副首相と旅行
 サナン前副首相兼内相は、サナン氏の資産隠し疑惑問題を担当している最高裁裁判官と一緒に外国を旅行したとの指摘を全面的に否定した。サナン氏は、四月十一日から十九日にかけオーストラリアを訪問し、また、裁判官は十一日から十五日に同国を訪れている。同裁判官によれば、このオーストラリア訪問は、家族旅行であり、サナン氏とは関係がない。サナン氏も同裁判官と一緒に旅行した事実はないとしている。市民団体「人権自由保護グループ」の代表、ウィラ氏は、サナン氏は資産隠しで手心を加えてもらうため、同裁判官を外国旅行に誘い、また、現金を渡したと暗に指摘している。サナン氏は、ウィラ氏を告訴するかどうか考えているところだという。

警察長官の選出
 プラチャ氏が警察庁長官を辞任したことに伴い、この日にも新しい長官が選ばれる見通しだったが、意見の相違で人選が遅れている。バンヤット副首相兼内相は、長官と副長官を同時に選ぶことを提案したが、警察委員会からは反対する意見が出た。通常は、副長官から新しい長官が選出され、副長官が補充される。関係筋によれば、副長官の中でポンサク氏が最も長官ポストに近いとされるが、スントン氏もバンヤット副首相と親交があり、スントン氏が新しい長官に選ばれる可能性もあるという。


●6月20日(火)

ほぼ全文の公開
 国防省のサナン・スポークスマンは、五月事件に関する同省の調査報告書の内容をほぼすべて公開する予定だと明らかにした。同スポークスマンは、「今回、国防省は、チュアン首相兼国防相の賛成もあり、内容を洗いざらい明らかにすることにした」と述べた。同省は、二十一日にも、六百五ページに及ぶ報告書、百十四ページの添付書類、そして、八ページの要約をすべて明らかにするという。関係筋によれば、報告書の内容のうち、軍部の暴動対策、作戦で使用される暗号などは削除されるため、全文の九九・九九%が公開されることになるという。

外国人殺人事件
 警察当局は、サムイ島で実業家のオランダ人女性(六五歳)が殺害された事件で、この女性と付合いのあったオランダ人の男(三五歳)を容疑者とした逮捕した。この事件では、被害者は貴重品なども奪われておらず、警察は当初、犯人の動機を特定できないなかったが、目撃者の証言により、被害者の家をよく訪れていたオランダ人の男が捜査線上に浮上してきた。この女性は、今月十七日に死体で発見されたが、警察によれば、殺害されたのは十五日とみられる。容疑者の男は、同日、被害者の銀行口座から二百七十万バーツを引き出したことが確認されている。警察によれば、男が引き出す際に使用した書類には、被害者の署名があったが、異常な状況で署名された形跡が伺えるという。

諸刃の剣
 プラチャーコンタイ党のサマック党首は、最近実施された世論調査で、最も人気のあるバンコク都知事選候補に選ばれたことについて、「諸刃の剣だ」と指摘した。サマック候補は、「人気があることはいいことだが、今までの経験から、ライバル候補から嫌がらせを集中的に受ける可能性がある」と指摘した。また、同党が実施した調査では、若者の間でサマック党首の人気が高まっているとの結果が出たが、若者にターゲットを絞った戦略を立てているわけではないという。同党首は、「すべての年齢の有権者に注意を払っている。しかし、十八歳の若者の多くは初めて国政選挙に参加するわけで、その票を集めたいとは思っている」と述べた。


●6月21日(水)

政党・議員の責任
 国防省がこの日公表した、九二年の五月事件に関する調査報告書によれば、流血の惨事を招いたのは、当時のパランタム党や新熱望党の議員が結果的に市民を扇動したことが原因だという。また、CNNなど外国のニュースメディアが、当局を批判するような報道をしたのは、インタビューを受けた者が悪意をもって答えたからだとされる。

通常国会の召集
 憲法裁判所は二十二日にも、上院議員が全員揃っていなくとも勅令の発布によって国会を召集することができるとの判断を下す見通しだ。関係筋によれば、これにより政府は予定通り二十四日に通常国会を召集し、二十八日からの実質審議では、すぐに来年度予算案の審議に入ることができる。また、法律の権威として知られるミーチャイ前上院議長は、「憲法の条文をそのまま解釈すれば、上院議員が全員揃わなくては国会を開けないということになるかもしれないが、憲法裁判所は、政府が通常国会を開けるような判断を下すと考えている」と述べた。


[BANGKOK SHUHO]