憲法裁判所 裁判官に買収疑惑
市民団体代表 「サナン民主党幹事長が工作」
憲法裁判所では現在、サナン・カチョンプラサート前副首相兼内相の資産隠し疑惑が審議されているが、このなか、サナン氏が裁判官の一人を抱き込もうとした疑いが浮上している。これは資産隠し問題で以前からサナン氏を非難している、市民団体「人権自由擁護グループ」代表のウィラ・ソムクワンキット氏が告発したもの。
同氏は、サナン民主党幹事長氏は四月十一日から十九日にかけてオーストラリアを訪問していたが、それとほぼ同時期(四月十一日から十五日)にコーメン・パタラピロム憲法裁判所裁判官も同国を旅行、ここで二人はホテルで「密会」し、新たな銀行口座を開いた疑いがある、としている。
サナン氏は、閣僚就任・離任時に義務付けられている資産申告で、四千五百万バーツにのぼる資金を私企業から借りたと偽って、資産を隠そうとした、との疑いをかけられている。国家汚職制圧委員会はすでにクロの判定を下しており、現在、憲法裁判所に審議の場が移っている。仮にここで同裁判所が汚職制圧委員会の判定を支持することになれば、サナン氏は以後、五年間にわたりあらゆる政治上の職に就くことができなくなる。(サナン氏は、年内に総選挙が行われることもあり、民主党のイメージ低下を恐れ、汚職制圧委員会の判断が示された時点で、副首相兼内相、及び下院議員を辞任したが、民主党の幹事長ポストにはとどまっている)
これに対して、コーメン裁判官は、オーストラリア訪問は家族旅行と説明、また「憲法裁判所長官、及び同僚の裁判官も私を疑ってはいない。やましいところはなにもない」と裁判官を辞任する意思のないことを明言している。またサナン氏も「密談した事実はない」として、ウィラ氏の告発を全面的に否定するとともに、「ウィラ氏を告訴することも考えている」と、強気の姿勢に終始している。 ウィラ氏は先日、自宅の電話が盗聴されているのが発覚して、マスコミに大きく取り上げられたが、同氏は、オーストラリアでの密談は情報提供者から詳細を知らされたものだが、電話盗聴が発覚してから、その情報提供者からの連絡がなくなってしまったと憤る。「電話の盗聴は、資産隠し疑惑で私がサナン氏を批判していることと関係があるのは間違いない。また、コーメン裁判官はその職に相応しくないことが判明した。憲法裁判所がコーメン氏を庇うのであれば、憲法裁判所も同罪だ」と痛烈に批判した。
なお、憲法裁判所は先に、上院議員選挙の投票で過去二度にわたり、当選圏内に入ったものの選挙違反で当選認定を拒否された者には、立候補の資格がないとのタイ選挙管理委員会の決定について、憲法違反だとの判断を示した。これにより上院議員選挙の第四回目の投票は延期せざるを得なくなった。しかしこれに対して、「現在進められている政治改革を後戻りさせるものだ」「これまでで最も民主的とされる現行憲法の精神を踏みにじるものだ」との厳しい批判が政府部内、市民団体の間からは出ており、同裁判所への風当たりは日増しに強くなっている。
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