総 合

プラチャ警察長官 労働社会福祉相に抜擢

小規模内閣改造−−国家開発党枠
東北部での選挙対策が背景


国務相(観光担当)にはアディサイ氏

 国家開発党のパウィナ国務相がバンコク都知事選に出馬するため、同ポストを辞任したのを受け、内閣改造が実施された。今回は国家開発党枠のみの改造であるが、労働社会福祉相にプラチャ現警察庁長官が起用されたことで大きく注目されることになった。

 今回の内閣改造で異動があったのは二ポスト。ウッティ労働福祉相が解任され、代わってプラチャ氏が就任。そして、空席となった国務相にはジャスミン・インタナショナル社会長のアディサイ氏が任命されている。

 下院解散を年内に控えたこの時期に、重要省庁である労働社会福祉省の大臣を変更することには批判的な意見もある。これについてコン国家開発党々首は、「海外出稼ぎ問題、及び外国人不法労働問題は早急に解決しなければならない同省の課題であり、これまでにも警察庁と二人三脚で取り組んできた。そしてこの分野でのプラチャ長官の手腕は高く評価されている」として、国家利益のための人事を強調するが、政界では「今回の人事は次期総選挙をにらんでのもの」との見方が支配的だ。

 国家開発党の最大票田はタイ東北部だが、次期総選挙では新熱望党とタイラックタイ党との激戦が予想されている。新熱望党は最大派閥のサノ派が離脱したことで規模が縮小されたものの、東北部での人気はいまだに高い。

 またタイラックタイ党(タクシン党首)はそのサノ派を吸収したことで、タイ東北部に強固な拠点を築くことに成功している。

 このなか、国家開発党としては、東北地方での戦いを優位に進めるためにも、同地域で影響力のある人材が是非とも欲しかったとみられる。その点プラチャ警察長官は国家開発党の本部のあるナコンラチャシマ県出身で、スワット同党幹事長とも懇意。また東北地方での赴任期間も長く、しかも「ダーティ」なイメージはまったくないと、同党としてみれば、申し分のない人材だった。事実、スワット氏は、これまでもプラチャ氏を口説いていたと伝えられるが、合意には達しなかった。

 それが今回、心変わりしたのは、チュアン首相は否定しているが、民主党関係者と確執があったため、との見方が強い。

 プラチャ長官はポット前長官の後任として、九六年十二月に警察長官(当時は警察局局長)に就任しているが、その時の政権党は新熱望党。このため、経済悪化の責任をとり、チャワリット政権が倒れた時、同長官は「新熱望党寄りの人物」として、更迭されるとの憶測が流れた。

 また警察内人事や〃麻薬王〃ウルフガン容疑者の保釈問題などで、警察庁を監督するサナン副首相兼内相の顧問団と対立する場面も少なくなかった。しかしその一方で、サナン氏がプラチャ氏の実績、実力を認めており、このため人事問題にまでは発展しなかった。

 しかし先ごろ、サナン氏が資産虚偽申告容疑で「失脚」、バンヤット民主党副党首が後を継いだことで、「プラチャ長官が苦しい立場に追い込まれるのは確実」との観測が強まった。これが、最終的に警察庁長官辞任を決心するする〃引き金〃になったようだ。

 なお、国務相に就任したアディサイ氏は国家開発党のスポンサーとみられている人物で、前回の内閣改造で大学庁長官として入閣する予定であったが、党内でのポスト争いが激化したため、自らからこれを辞退していた。

(倉林義仁記者)



[BANGKOK SHUHO]