週間ニュース
●6月1日(木)
全文公開を支持
スラユット陸軍司令官は、九二年の流血の惨事「五月事件」に関する調査報告書は全文公開しても問題はないとの認識を示した。先に開示を要求していた六人に公開された報告書はその六割が検閲により黒く塗りつぶされていた。同司令官は、「報告書の内容はなにも隠すべきところはないと思う。全文を公開しても国の安全保障には影響ないだろう」と指摘した。同司令官によれば、陸軍は五月事件で肉親が行方不明になった人々が望めば、陸軍のどの施設でも公開する用意があるという。
式の取得問題
バンコクポスト社のスティキアット理事長は、同理事長がタイラックタイ党党首のタクシン氏と会談したとの一部報道を否定した。英字紙・バンコクポストのライバル、ネーションは先に、関係筋の話として、スティキアット氏がタクシン氏に会い、iTVの戦略パーになることで合意したと報じた。この記事によれば、バンコクポストはiTV株を一〇%取得することになっている。しかし、スティキアット氏によれば、このような話し合いが行われた事実はないという。また、タクシン氏が大株主であるシン社は、iTV株を四〇%取得することになっているが、同社はそれ以上の権限はなく、バンコクポストに資本参加を呼びかけることなどは考えられないという。ネーション紙は、iTVの事業に以前から関わっており、今回のシン社による株取得には、政治的な干渉を懸念して否定的な姿勢をとっている。
選挙法の改正
タイ選挙管理委員会のウィチット事務局長によれば、外国に在住するタイ人有権者に郵便での投票を許す、当選圏内に入った候補が当選認定を拒否された場合、次点の候補を当選させるといった選挙法の改正が行われる見通しだ。これは、選挙法に関するセミナーの席上で、同事務局長が明らかにしたもの。現行憲法のもとでの初の国政選挙である上院議員選挙は、六月四日に三度目の投票が行われるが、残りの十二人の選出でも問題が起きる可能性があり、同委員会は四度目の投票の準備に入っている。同セミナーで、国立タマサート大学法学部のバウォンサク講師は、現在の選挙法では選管にあまりに大きな権限が与えられており、これが問題を引き起こしていると指摘した。
遮光フィルム規制
政府は、今月一日から自動車のウィンドーの暗い遮光フィルムを規制することを決めたが、関係筋によれば、警察当局は遮光度を測定する装置の新規に購入するかどうかをまだ決めていないという。先の閣議では、遮光率が六〇%以上の暗い遮光フィルムを禁止する法律を施行するが、違反者に対しては今後一年間は警告にとどめるとの決定を下した。閣議では、遮光フィルムをすぐに剥がしたり、取り替えるのは経済的負担になるためとしているが、警察当局にも遮光度を測定する装置が足らないという事情もある。なお、警告を何度か受けても暗い遮光フィルムを使用している場合、車両登録の更新ができなくなるという。
●6月2日(金)
電話の盗聴
人権運動家のウィラ氏によれば、同氏の自宅の電話回線四本が盗聴されていた。同氏は、資産隠し疑惑で与党第一党・民主党のサナン幹事長を批判していることで知られている。同氏によれば、ある男から携帯電話がかかってきたことから、盗聴されていることを知ったという。この男は、警察に盗聴の件を届け出ることも勧めたという。このため、ウィラ氏は警察官、タイ電話公社の職員などの立ち会いのもと、同氏の自宅がある住宅地の電話配線板を調べたところ、同氏の自宅の四本にテープレコーダが接続されていた。電話回線が使われていると自動的に録音されるようになっていた。タイ電話公社は、同氏に謝罪するとともに、この件を調査すると約束した。
大使館に抗議
カンボジアの首都プノンペンで住民がタイ大使館の措置に抗議し、投石したり、大使館前でタイヤを燃やしたりする事件が起きた。外務省のドン報道官によれば、大使館に隣接する民家二棟が取り壊されたことに住民らが抗議したものだが、これらの建物は大使館の敷地内に食い込んでおり、取り壊しは必要に迫られた措置だったという。また、付近の住民百八十人あまりを代表する弁護士が、タイ大使館には取り壊しの権限はないと主張しているが、ドン報道官によれば、大使館の敷地はタイ政府がカンボジア政府から購入したものであり、今回の措置は正当なものだという。
元副大臣の殺害
警察関係筋によれば、チェンライ県でサンティ元副内相が殺害された事件で、警察当局はバンコクから特殊部隊を動員して、チェンライ県に隣接するチェンマイ県で犯人探しを行っている。この作戦は、先月三十一日に開始されたもので、また、地元の警察署には実行犯と共犯者の似顔絵が配られている。警察では、サンティ元副大臣は、誰かに金で頼まれた男に殺害されたとみており、実行犯を逮捕することで首謀者が明らかになると期待しいるようだ。
五月事件の調査
チャナサク内務事務次官は、政府からの命令があれば、五月事件の犠牲者に関する調査を新たに行う用意があると述べた。また、同省は国防省の調査と並行して独自に調査を行っているが、新たに調査を行うことで新しい事実が見つかる可能性は低いという。国防省による調査は、先にその大部分が塗りつぶされた報告書が申請のあった個人に公開されている。
●6月3日(土)
候補者の戦略
関係筋によれば、上院議員選挙の第三回目の投票が四日に九県で行われるが、候補者は有権者を買収するのではなく、金を積んで大きな政党にサポートを求めているという。九県の一つ、ナコンラチャシマ県は、選挙違反が横行していることで知られているが、今回の選挙については、目立った動きが見られないという。これは、候補者が大型政党の支持を取り付けたことが原因とみられる。また、関係筋は、「このような政党による組織票については、買収の証拠を掴むことは難しい」と指摘した。
解散・総選挙
チュアン首相は、タイ南部・ナコンシータマラート県において、解散・総選挙は来年度予算案が議会を通過した後になるとの見通しを示した。来年度予算案は九月三十日までには議会を通過する見通しだが、チュアン首相は、その後で、連立政権内で開催・総選挙について協議する方針だという。また、民主党の勢力温存を目的に、年度末(十月末)の公務員の人事異動に干渉しようとチュアン内閣は延命を図っているとの指摘について、チュアン首相は、「人事異動は官僚の仕事であり、政府には関係がない」と指摘した。
高架橋の再開
火災で損傷したラチャウィパ高架橋が、二十二日に及ぶ修理に伴い、再開された。バンコク都庁は当初、損傷が激しいため、六ヶ月は使用できないとしていた。都庁によれば、高架橋の強度には問題はないとみられるが、安全のために荷の積載量が二十一トンを超えるトラックの通行は禁止されている。
象の肉を食用
プレー県からの報道によれば、動物保護団体は同県では食用のために象を殺していると非難している。これについて、プレー県庁では、一部の村では象の肉を食することが以前から行われているが、これは死んだ象の肉を食べているのであり、食用のために象を殺すことはないと説明している。また、同県ウィアントン村の住民によれば、象の肉は人気があり、象の肉が市場に出ると、豚肉や牛肉は売れなくなるという。象の肉は同県だけでなく、ほかの地域でも人気があり、ナン、パヤオ、スコータイなどからも買いに来る人がいるという。
●6月4日(日)
独立行政法人化
政府の負担を軽減するため国立大学を独立行政法人とすることが計画されているが、国立チュラロンコン大学では、六日に開かれる会議で講師陣が同計画を受け入れないよう学長に求めることにしている。同大学はこの計画を受け入れる姿勢を見せているが、講師グループは、独立行政法人となった後も財政的に支援する、教職員の雇用を確保するといった政府の約束が守られない恐れがあるとしている。教育学部のソンポン講師は、「国の法律専門委員会が独立行政法人化計画に関する詳しい検討を行っているが、この委員会は、政府の約束は守られない可能性があるとみているようだ」と指摘した。
第四回目の投票
十二人の上院議員を選出するため九県で第三回目の投票が行われたが、タイ選挙管理委員会のサワット委員によれば、投票前に選挙違反が報告されており、第四回目の投票は不可避と予想される。選挙違反調査の責任者、サワット委員は、「ノンカイ県の選管によれば、村の厚生ボランティアに対し、シリラット候補を紹介するビラと現金が渡された。金はこれらボランティアから有権者に渡された」と指摘した。また、この日、タイは全国的に雨がちの天気で、このため、投票率は当初見通しを下回ったものと予想される。
国務相の辞任
国家開発党のスワット幹事長によれば、同党議員のパウィナ国務相が数日中に、バンコク都知事選に出馬するため、辞表を提出することになっているが、後任選びで問題が起きることはないという。都知事選は今月七日から立候補届けの受付が開始され、来月二十三日に投票が行われる。スワット幹事長によれば、パウィナ議員が正式に大臣を辞任してから、党の執行部が後任選びの検討を開始することになっている。
●6月5日(月)
盗聴で引責辞任
先にサナン元副首相兼内相の資産隠し疑惑で証言した活動家、ウィラ氏の自宅の電話が盗聴されていた事件で、タイ電話公社総裁が責任をとって辞任した。このトンチャイ氏の辞任は、同公社を監督する立場にあるステープ運輸通信相が明らかにした。同大臣は、トンチャイ氏に辞任を迫ったわけではないとしている。ステープ大臣によれば、トンチャイ氏は、この事件が発覚する前から、総裁を辞任したいと漏らしていたという。
第四回目の投票
タイ選挙管理委員会によれば、上院議員選挙は第四回目の投票がノンカイ県、ウボンラチャタニ県で行われる見通しだ。関係筋によれば、第三回目の投票は九県で行われたが、中でもノンカイ県で選挙違反の報告が最も多かったという。同委員会のサワット委員は、「第三回目の投票では当選圏内に入った十二人のうち四人が、これまで当選認定を拒否されたことの人であり、満足している」と述べた。九県のうち四県の選管からは投票結果、そして、当選者に関する正式な通知がタイ選挙管理委員会に届いているという。
価格の水増し
ソムサク教育相は、一般教育局に対し、国立の中学校・高等学校で、私企業が印刷した教科書が通常の倍以上の値段で販売されているとして、これらの教科書を回収し、代金を払い戻すよう指示した。同大臣によれば、当局の許可を得て印刷された教科書は一冊二十五バーツ程度だが、私企業が勝手に印刷したものは七十八バーツで売られていたケースもあったという。このような教科書は、業者が二五〜三〇%の手数料を払うとの誘いに乗った学校幹部が許可していたものという。また、同大臣によれば、今後、このような問題が起きないよう、教科書には、許可なく複製を販売した者は一万バーツの罰金刑が科せられ、また、印刷業の営業許可が剥奪されるとの警告文を印刷することにしている。
●6月6日(火)
潜航艇の発見
関係筋によれば、タイ南部のプーケット県で、未完成の潜航艇が造船施設内で発見された。これは、スリランカで分離独立を求める武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」がプーケットを活動拠点としている証拠だという。この小型の潜航艇は、九〇年代初めにスリランカ当局が同国のジャフナで押収したものと同じタイプだという。スラユット陸軍司令官は先に、プーケットでタミル・イーラム解放のトラのメンバーが破壊活動の準備をしている可能性があり、陸軍は注意を払っていると述べていた。スリランカの外相も先に、この武装組織がプーケットをジャフナへの武器供給に利用していると指摘している。
電話盗聴事件
ステープ運輸通信相は、社会活動家の自宅の電話が盗聴されていた問題で、「タイでは以前から盗聴が行われており、珍しいことではない。我々が野党だったときも電話が盗聴されていた」と指摘した。また、同大臣によれば、今回の事件には、タイ電話公社の職員が関与しているのは確実だという。同公社では大勢の職員がトンチャイ氏が総裁を辞職したことに反発し、同大臣にトンチャイ氏の復職を求めている。トンチャイ氏は詰め腹を切らされたとの指摘に対し、ステープ大臣は、「トンチャイ氏が総裁を辞職しても、この問題については真相を究明する必要がある。トンチャイ氏が辞任したことで事件が葬り去れるわけではない」と反論した。また、関係筋によれば、国家汚職制圧委員会は、光ケーブル納入業者を決める入札で談合が行われていた疑いについて調査を進めているが、当時トンチャイ氏は副総裁としてこのプロジェクトを担当しており、この関連で辞任した可能性があるという。
投票率の低下
上院議員選挙は、繰り返し投票が行われ、有権者の関心が低下していると指摘されているが、九県で行われた第三回目の投票は、投票率が四一%にすぎなかった。これは、第二回目の七〇%を大きく下回った。また、投票したものの投票用紙になにも記入していない無効票も増えている。このような無効票は第一回目の投票では二・四%だったが、第三回目は六・三%にのぼった。
●6月7日(水)
選挙戦スタート
バンコク都知事選は、立候補届けの受付が開始されたが、都庁前では各候補をサポートする応援団が賑やかなパフォーマンスで気勢を上げた。また、立候補届けに来たサマック・プラチャーコンタイ党党首は、タイラックタイ党は次期総選挙に向けて都民の関心を惹こうとしているにすぎないと指揮して、同党の公認候補スダラット女史を暗に非難した。また、これまでバンコク都知事を務めてきたピチット氏は、再選を望まず、国政選挙にも出馬しないとしているが、関係筋によれば、今年の下院議員選挙の後、支持者の声に応えて、再び政治的な活動を活発化させる可能性も否定できないという。
資金の用立て
憲法裁判所の審理において、AASオートサービス社のクリサナン取締役は、サナン前副首相兼内相に四千五百万バーツを融資したのは事実だと証言した。同取締役によれば、この資金はサナン氏のために個人的に用立てたものであり、表に出すことができないため、帳簿には記録を残さなかったのだという。このほか、同取締役は、「サナン氏への融資は会社内部で処理するよう経理担当者に命じていた。だが、どのような理由か分からないが、これが外部に漏れることになった」と指摘した。
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