通信政策
民営・自由化の遅れ深刻
強い二公社の影響力
タイでは懸案の通信自由化と、通信二公社の民営化がスムーズに進んでおらず、通信業界のみならず経済競争力にも影響が出始めている。しかし、通信二公社の民営化に対する抵抗は根強く、自由化への政治的決意も感じられない。インターネットなどの通信先端分野における遅れは顕著で、早急な対策を施さないと致命傷になる可能性も出てきた。
交通通信省が中心となって策定した通信マスタープランによると、六月中にも国家通信委員会(NTC)と国家放送委員会(NBC)という二つの監視委員会が設立されることになっていた。両委員会は既存・新規参入企業との間で、自由・公正な競争を期すための監視機関。しかし委員を選任する上院の議員選出が遅れているため、二委員会の設立には遅れが出そうな雲行きだ。さらに近い将来、政権交替も予想されるため、民営化・自由化スケジュールに大きくずれ込む可能性がある。
民営化に先駆けて、進められているのが、これまでにタイ電話公社(TOT)およびタイ通信公社(CAT)が民営企業に与えた事業運営権(コンセッション)の株式への転換だ。二十四の民間通信事業者が既存の事業運営権を転換すべく正式申請を提出している。三十三社の通信業者のうち、九社は今回申請書を提出しなかったが、これら企業は今後五年間は転換申請することができない。
しかし、競争相手となる民間通信企業の大半に二公社が出資するかたちとなり、公正な競争が阻害される可能性がある。CATがインターネット接続事業者に対して申し出たように、二公社の持ち分を民間事業者が買い戻せるようにすれば、この問題はある程度解決する。
どちらにせよ、二公社はタダで民間企業の株式を手に入れることになり、民間企業には不公平感が広がっている。民営化が決まってからも二公社による新規事業免許の供与は続いたが、これは将来の利益を見越したものだ。
駆け込みで事業免許を受けた企業の中は、巨額の負担に耐えられなくなったところもある。CDMA方式の携帯電話事業者タワン・モバイルテレコムは九六年に十五年契約でCATより事業権を獲得した。九九年四月にサービスを開始したものの、ただちに経営危機に陥り、CATに契約変更を求めて話し合いを続けている。
同社は収益の六〇パーセントをCATに納めることになっているが、それを二五パーセントにまで引き下げたい意向だ。また同社は毎年五万人以上の契約者を獲得しなければ、CATから罰金を課されることになっているが、それについても緩和を求めている。同社の携帯電話サービスは端末価格が割高であるうえ、通話可能地域が限られているため、人気はいまひとつであった。タワン・モバイルテレコムは地場財閥サハ・パタナピブン・グループの傘下企業。
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