五月流血事件
国防省、調査報告書を公開
遺族 「過度の検閲」と憤慨
タイ国防省は九二年五月に起きた軍部による武力弾圧「五月流血事件」に関する調査報告書をやっと公開したが、その六〇%あまりが黒く塗りつぶされていた。六百ページに及ぶ報告書のコピーは五月二十九日、公開を要求していた六人に閲覧が許されたが、この事件で肉親が行方不明のままの人々は、「このような過度の検閲では情報公開の意味がない」と憤慨している。このグループは政府情報委員会に対し、全文の公開が可能かどうかを問うことにしている。
この報告書には、百十四ページの書類も添付されているが、これも今回、公開されなかった。このため同グループは、この添付書類の公開も求めて行く方針だという。
報告書の公開を求めていた人々は、五月流血事件で行方不明になった市民の安否、あるいは遺体が隠された場所を突き止めるうえで有益な情報が得られる、と期待していたため、今回の国防省の対応にひどく失望するとともに、怒りをあらわにした。
五月流血事件では、数十人の市民が行方不明になり、現在もその所在がはっきりしていない。兵隊が、武力弾圧で死傷した市民を軍用トラックで運び去った、との目撃談もある。当局の発表では、九二年五月十七日から二十日にかけての衝突では、四十四人が死亡し、三十八人が行方不明になったとしている。しかし、遺族らは、「数百人が死亡、もしくは行方不明になった」と明言しており、両者の言い分には今も大きな隔たりがある。
サナン国防省報道官は、「このような情報公開は前例のないものであり、また内容の一部は国の安全保障、人権の保護の観点から削除された」と説明するとともに、今回六人の個人に渡された調査報告書のコピーを一般に公開した場合、刑事罰が科されることになると警告した。また、百十四ページに及ぶ添付報告書は、信憑性の高いものだとされているが、同報道官によれば、その公開を申請するには、新たに申請する必要があるという。なお、今回の塗りつぶしの報告書でさえ、申請から公開までに数年かかっている。
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