総 合

1日当たりの利用者14万人
バンコク高架鉄道の施設拡充へ

エスカレーター12基を新たに設置


身障者用エレベーターほとんど利用されず

 バンコクに高架鉄道が開通して半年が過ぎた。当初は交通渋滞解消に貢献することが期待されていたが、自動車通勤からの切り替えは進んでいない。乗客数は開通時よりも二割近く減少しており、通勤・通学客の獲得が急務とされている。高架鉄道を運営するバンコク・システム・トランジット社(BTSC)では、先に運賃割り引きキャンペーンを実施、新たに地上からのエスカレーターを設置するなど、施設やサービスの向上に努めている。


 バンコク・システム・トランジット社(BTSC)によれば、一日当たりの平均利用者数は、開通した昨年十二月に最も多い十七万一千人を記録して以来、今年一月には十四万五千人まで減少、二月は十三万五千人、四月は十四万人となっている。高架鉄道は比較的学生の利用が多いため、大学も含めたすべての学校が休暇となり、タイ正月で帰省する人も多い四月はもともと利用者が少ないものと見られていた。しかし新学年度が始まった五月の利用者数も、同社広報部によれば、ほぼ横ばい状態だという。当初一日当たり六十万人と発表していた利用目標を、後に四十万人に下方修正したものの苦しい状況が続いている。

 BTSCでは利用促進のため、二月から複数回乗車できるマルチカード(Stored Value Ticket)の運賃割引率を、従来の一〇%から期間限定で引き下げた。二十一歳以下の学生については三五%、一般については二五%を割り引くこのキャンペーンは、開始後さらに期間を約二カ月延長し、四月末に終了した。BTSCでは現在、新たな割り引きキャンペーンとして、定期券や外国人旅行者を対象とした一日乗車券の発売を検討している。

 施設面では「長い階段を昇りたくない」という利用者の声に応え、地上から駅構内に至るエスカレーターが現在建設中。完成は七月中旬の予定で、設置はナナ、トンロー、エカマイ、プラカノン、ラチャテウィ、アリー、サラデン、タクシンの各駅に一基ずつ、戦勝記念塔、モーチットの各駅に二基ずつの計十二基となっている。

 またバンコクのピチット・ラッタクン都知事と身体障害者団体の強い要求で設置されたエレベーターは、二月から身体障害者だけでなく妊婦や老人にも利用が拡大された。しかしエレベーターはサイアム、チョンノンシー、オンヌット、モーチット、アソークの五駅にしか設置されておらず、駅員を呼び出す必要もあることから利用は非常に少なく、「全部の駅を合わせても利用者は一日一人いるかいないか」という状態。BTSC広報部では「高架鉄道は身体障害者にほとんど利用されていない」と述べている。

 一方、車を駅前に駐車して高架鉄道に乗り換える「パーク・アンド・ライド」は、バンコク都庁が開通前より企画していたが、専用の駐車場が確保できないままとなっていた。しかし最近になってようやくモーチット駅近くで、駐車場の建設が進められている。この駐車場は完成すれば千七百台の収容が可能で、すでに三百台分のスペースが無料で開放されている。バンコク都庁では、当面は駐車料金を無料とし、将来的には駐車場の管理を民間に委託して有料化する方針だ。ただしこの駐車場は現在のところ、高架鉄道に乗り換えるためより、むしろ付近のジャトジャク公園や同公園で開かれるウィークエンドマーケットを訪れるために利用されている。

 運輸通信省陸運局によれば、「パーク・アンド・ライド」用の駐車場はこのほか、オンヌット駅近くにも民間企業が建設しているという。さらにバンナ地区の国際貿易展示センターに駐車場を設け、オンヌット駅までシャトルバスを運行させることも計画されている。

 BTSCでは高架鉄道開通と同時に、主要駅から十三路線の連絡バスを運行する予定だったが、運行は延期されたままとなっている。同社広報部は、昨年末「運行開始日は全く未定で、運行されるかどうかもわからない」と述べていたが、今月一日現在「月末までにはバンコク大量輸送公社と共同で運行を開始する」と語っている。

(小林ゆかり記者/ルァンイッサラー・カライジンダー記者)



[BANGKOK SHUHO]