総 合

iTV株売却計画
タクシン党首が大株主に

報道に政治的圧力の懸念


 中立の報道機関として定評あるテレビ局iTVの株取得を、大物政治家と関わりの深い民間企業が計画、報道への政治的圧力が懸念されている。iTVは経営上の問題を抱えており、現在、債務のリストラクチャリングが進められている。その中でiTVの大株主かつ債権者であるサイアム・コマーシャル銀行が、保有するiTV株のすべてを今後五年のうちにシン社に売却することとなった。

 シン社はタイラックタイ党のタクシン・チナワット党首が大株主。このためiTVの報道が、政治的な道具として使われるのではないかと懸念されている。五年後に計画通りiTV株の八〇%を取得すれば、シン社は完全にiTVの経営を牛耳ることになる。

 iTVの報道部門でも、この計画に反発する声が強まっている。同部門の社員はタクシン党首ほか、チュアン・リークパイ首相、アナン・パンヤラチュン元首相などに陳情し、シン社への株売却を阻止しようとしている。

 iTVは九二年の五月事件の際、既存の報道機関が軍部の圧力や自主規制により、十分な報道をできなかったことを教訓として設立された不偏不党のテレビ局。その創設には、アナン元首相も尽力したとされる。

 タクシン党首は「iTV株の取得はシン社の理事会が決定したこと」と述べて関与を否定。「自分の知名度はすでに十分高く、iTVを広告塔として利用する必要はない。iTVの報道方針にも口は出さない」と語っている。

 今のところ、世論調査で次期首相候補の一人に選ばれるなど、世間の反応はタクシン党首にとって順風だ。しかし批判される側に回った場合、同党首が報道機関を利用する可能性も考えられる。



[BANGKOK SHUHO]