バンコク・ゲイ・フェスティバル事務局 「ゲイの意中の都知事」を調査
予備調査ではサマック氏が一番人気
ピチット現バンコク都知事が六月二日で任期切れとなることから、バンコクでは七月中に都知事選挙が実施されることになる。これまでの立候補者の顔触れをみた限りでは、サマック・プラチャーコンタイ党党首、スダラット・タイラックタイ党副党首、パウィナー国家開発党議員(国務相)、タワッチャイ氏の四人の戦いになりそうな様相だ。このなか、一風変わった世論調査がタイで話題となっている。
今月十七日、『バンコク・ゲイ・フェステバル』事務局(※)の代表であり、ゲイの世界で知名度の高いパコン・ピムタン氏が、「ゲイらの望む都知事を投票で決める」と発表したことが、大きくマスコミに取り上げられた。同氏は今回の世論調査の目的として、「ゲイたちの政治意識を高め、都知事選へ関心をもたせる」ことを挙げている。
具体的な調査方法だが、まず同調査への回答を希望する場合は、ポケベル(152#284745)にコンタクトして、メッセージと連絡先を入れる。すると、事務局から折り返し、連絡があり、回答者がゲイであるかどうかを確認、さらに細かい質問をすることになる。また、「バンコク・ゲイ・フェスティバル」のウエブサイト(www.khsnet.com/bgf)を通じて回答を送ることも可能だ。
同世論調査の第一弾として五月上旬、約百人のゲイを対象として、「ゲイの意中の都知事」の予備調査を行ったところ、一番人気となったのがサマック氏。それにタワッチャイ氏、スダラット女史が続いた。
ここで興味深いのが、それぞれの候補の支持層に片寄りがあったことだ。サマック氏を支持している者の大半は三十才以上のバイセクシュアルのゲイ。またタワッチャイ氏の支持層は未成年のゲイで、男役・女役による差はあまりない。しかしスダラット女史の場合には、圧倒的に女役のゲイの支持が多いという。
パコン氏によれば、サマック氏の支持理由として、「人間のスケールが大きそうなため、ゲイの社会的ポジションを認めてくれそう」というものが多かったという。このほかには、「公正」、「仕事熱心」、「毒舌だがすべての住民を等しく守ってくれそう」――との意見が上がっていた。
タワッチャイ氏を支持した未成年のゲイからは、「思いやりがありそう」、「温和」との声が、またスダラット女史の支持者からは、「女性特有の繊細さに期待したい」との声が上がっていた。
本調査は現在、進行中。締め切りは五月二十八日であるが、この日はバンコク・ゲイ・フェスティバル主催のパーティーがシロム通りソイ2の「D・J・STATION」で開かれ、かなりの数のゲイが集まることから、この会場で調査でかなりのサンプルが集まるものと、主催者側は期待している。
パコン氏はゲイの政治意識を高めることが必要な理由を次のように語っている。
「これまで、われわれゲイ仲間はエイズ撲滅キャンペーンなど、社会に貢献できるイベントを実施してきたが、いずれの場合も、主宰者がゲイであることの偏見からか、バンコク都から十分な支援が得られなかった。環境問題やゴミ問題ばかりを論じるのではなく、もっと広い視野で都政を指導することのできる指導者を真剣に選ぶ時期にきている」。
都内シロム地区、スリウォン地区で開店しているゲイバーは百軒ほどあり、毎晩五百人近いゲイが思い思いに時を過ごす。「ゲイは決して少数グループではない」とパコン氏は訴えるが、一般社会の偏見はまだ強く、このためゲイであることを公言できない者も大勢いるという。
ゲイであることを隠すために偽装結婚をする場合もあり、バンコク・ゲイ・フェスティバル事務局にはこのようなゲイからの相談の電話が毎日かかってくるという。ゲイによる社会への働きかけは今後もあの手この手で続くことになりそうだ。
(※)バンコク・ゲイ・フェスティバル事務局では、ゲイの交流、社会的地位の向上を目的として、年間を通じて、イベントなどを主催している。なかでも十一月五日にシロム通りで実施されるパレードとパーティは一年の総決算ともいえるメインイベントであり、全国からゲイたちが集まってくる。また同事務局ではホームページも開設している。
(倉林義仁記者)
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