タイ治安悪化 邦人犯罪被害が急増
日本大使館 援護件数は世界最多の1338件
日本人をターゲットにした犯罪事件が、タイで多発している。在タイ日本大使館(二五二―六一五一)によると、九九年に通報されたタイの邦人関連事件数は世界最多の千三百三十八件で、その数はさらに増加する傾向にあるという。また凶悪犯罪被害も昨年より急増しており、同大使館では十分な安全対策を立てるよう呼びかけている。最近の犯罪手口と被害例を挙げ、その対策を分析してみた。
手口は巧妙、悪質化
在タイ日本大使館領事部より提出された統計によると、邦人援護件数の多い在外公館(一九九八年度)は上からタイ、フランス、ロスアンジェルス、ロンドン、マニラと続いており、タイは九三年より七年連続でトップとなっている。だがこれは大使館に届けられた被害件数に過ぎず、実際にはかなりの人数が被害に合っていると推測される。
日本人がトラブルに巻き込まれる事件には、いくつか共通の手口が見られる。タイで最も多いケースは「スリ・置き引き・ひったくり」で、日本人の集まるパーティー会場やデパートにおいて、プロの手口と思われるスリが多発している。
ホテル等の部屋における盗難も、近年増加している。バンコク及びパタヤ等のリゾート地におけるゲスト・ハウスなどで外出中に部屋が荒らされ旅券・現金を盗まれたり、就寝中に盗まれるケースが多い。また偽ホテル従業員による旅券盗難事件も発生している。
「タイ人に親しく声をかけられ、その後強盗または詐欺にあう」という被害も急増している。寺院や王宮などの観光地にいる日本人を狙い「今、タイ政府が主催する宝石フェアが実施されている。日本で売れば二―三倍で売れる」などと話しかけ、粗悪な宝石を買わせる詐欺類似事件は昨年から特に増えている。
また「日本留学経験があった」などと話して飲みに誘い、スキを見て飲物に睡眠薬を混入し、眠らせて貴重品を奪い取る事件や、巧妙な手口でトランプ賭博に誘い、八百長で現金を巻き上げる被害も多く通報されている。
凶悪な犯罪も増加する傾向にある。今年一月には、バンコク市内を歩いていた日本人観光客が車に乗った三人組に押し込められ、濡れた布を口元に当たられ意識不明になり、現金を強奪される事件が発生した。
このような悪質犯罪が増加している背景には、貨幣価値の暴落に伴い、治安も悪化したことが考えられる。
これらの防犯対策としては、主に以下のことを気を付ける必要がある。
@バッグ等貴重品類は常に身体から離さず、特に旅券は肌身に付ける。A人目のある所では不用意に現金を出さない。B出張する際は、事前に出迎えの者の名前、年齢、会社などはチェックしておく。C不審に思ったら旅券をそのまま渡したりせず、先ず確認を取る。D儲け話には乗らない。E見知らぬ人の誘いには安易に乗らない。
一方、タイ警察局はこのような犯罪をどの程度把握し、対処しているのだろうか。ツーリスト・ポリス(二五五―二九六四〜八)に問い合わせたところ、日本人観光客からの被害届けで最も多いのは貴重品の紛失及び盗難で、最近は宝石を法外な値段で買わされた被害などが増えているという。対策について同局は「どの事件も一つ一つ背景が異なるため、多発しているからといってその対策を立てることはできない」と説明、犯罪に巻き込まれたら早急に通報することが一番の解決法だと述べた。
海外旅行中には「楽しさのあまりつい気が緩む」ことが度々ある。しかし上記にある安全対策と、その国についての文化、治安などの情報収集は最低しておきたい。またこの心構えは観光客のみに限らず、長期滞在者も常に気に止めておくことが必要だ。
(工原 友博記者)
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