経 済

株安とバーツ安が同時進行

経済回復に黄信号ともる


 五月一〇日、タイ証券取引所(SET)の主要指数であるSET指数は四パーセント下落、三四三・五三ポイントで引けた。これは九九年三月以来の低水準。SET指数は心理的障壁である三五〇ポイントを割り込んだことで、さらなる下落が予想されている。世界的な株式市場の急落の影響が大きいが、外国人によるタイ株離れを指摘する声が後を絶たない。

 さらに、タイ中央銀行のチャトゥモンコン・ソナクン総裁が「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)がタイ株式の比重を引き下げ、MSCI指数から除外する可能性がある」と発言して地場投資家のパニック売りを誘った。MSCIは国際投資市場で強い影響力を持ち、MSCI指数から外されれば、世界市場から取り残されたも同然になる。

 米店頭取引市場(ナスダック)の急落に始まった世界株価乱高下の余震はまだ続いており、しばらくの間、神経質な動きが続きそうだ。さらに来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げが予想されているため、地合いが極端に悪くなっているという印象は否めない。

 米国では記録的な株高は終焉を迎え本格的な調整期に入ったという見方と、現在の乱高下は一時的で、ほどなくもとに戻るという見方が拮抗している。最近まではナスダックが急落すればニューヨーク市場が上昇するという具合に、株式市場からの本格逃避は見られなかった。しかし、現在は両市場とも急落しており、今後は過度のリスクを嫌う年金などの機関投資家が証券市場への露出を減らす可能性もある。

 株安と同調するように、タイバーツ相場もじりじりと下落しつつあり、現在一ドル=三九バーツ付近で推移している。アナリストによっては、一ドル=四三バーツまで下落するという見方も出ている。また、株安と為替安の同時進行によって、タイの経済回復に影響が出るという危惧も広がっている。

 実際、外国人アナリストらはタイの経済回復がダイナミックでないということを認識し始めているようだ。タイ諸機関による二〇〇〇年の経済成長率予測は四―四・五パーセントであるが、これは国際通貨基金(IMF)によるアジア地域(日本を除く)の平均成長率予測(六・二パーセント)よりはるかに低い。

 株価の下落を食い止めるために、証券市場改革も検討されている。SETのコンサルタントを務めるボストン・コンサルティング・グループは、シンガポールやマレーシアの証券市場と提携することを提唱。チャトゥモンコン中銀総裁は、SET運営を民間の専門家に委ね、効率を高めることを提案している。   


[BANGKOK SHUHO]