総 合

アジア開発銀行ローン
NGOが「帳消し」要求

政府、ADB年次総会での警備強化


 タイ東北部のコンケン県で先に、農民および社会活動家グループが、フィリピンに本部を置くアジア開発銀行(ADB)に対し、百八十億バーツにのぼる対タイ融資を帳消しにするよう要求した。抗議集会に参加した千人以上の農民らの代表、バムルン・カヨタ氏などによれば、「ADBからのローンの条件は貧しい人々を疎んじたものであり、タイの政府、国民を奴隷的な立場に追いやるものだ」と主張している。

 「貧者フォーラム」の顧問を務めるバムルン氏らは、タイ中央銀行北部支店に対し、ADB宛の公開書簡を提出。それによれば、ADBローンで実施されている、いわゆる「救国プロジェクト」は、逆にタイの立場を苦しいものにしており、ADBはこの分野から手を引くべきだと訴える。書簡のコピーは、政府の理解を求めるため、同地の関係政府機関にも配布された。

 観測筋によれば、今回のコンケン県での大集会は、六月六日から七日にかけタイ北部チェンマイ県で開催されるADB年次総会に向けた民間援助団体(NGO)の活動の一環、との見方が強い。NGOでは同総会の開催期間中、さらに大規模な抗議集会を開き、ここで農業部門、保健システム、教育制度の改革を目的としたADBからのローンを厳しく批判するものとみられている。

 バムルン氏は、「ADBはローン供与にいろいろな条件を付けている。これらのローンで実施されるプロジェクトは低所得者層の生活を考慮しておらず、大企業の生き残りのみを考えているものだ。このようなフェアではないローンを政府は即刻放棄すべきだ」と力説した。

 また市民団体「東北人ネットワーク」の幹部、ウィパタナチャイ・ピムヒン氏は、「ADBの農業改革計画は、農産物価格支援プロジェクトなどを政府に放棄させるものである。またこの計画では農業用水の利用料金の値上げが求められており、農民はさらに困窮することになる」と述べている。

 一方、内務省では、ADB年次総会に向けて、市民団体の活動予定をモニターするため特別センターを編成した。同センターは、治安担当の内務副事務次官が責任者を務め、また警察庁、行政局、国家情報機関、国軍最高司令部からスタッフが派遣される。警察当局は、五十八カ国から約三千二百人が出席する年次総会が混乱なく運営されるよう二千人に及ぶ警察官を動員することにしている。

 ADB年次総会はチェンマイ県ムアン郡ピン川沿いにあるウェスティン・ホテルで開催されることから、警察当局は、ピン川にパトロールボートを出して、不穏な動きがないか監視することにしている。

 ここで警察当局の担当者は、「タイ国内のNGOや活動家が過激な行動にでることはないと考えている。それよりも心配なのは、外国のNGO関係者の動きだ。ADB首脳などに水を浴びせかけることも考えられる。すでに外国の活動家がチェンマイに入っている」との危惧を示している。

 タイでは、先にバンコクのクイーン・シリキット国立会議センターで開かれた国連会議で、外国の活動家が、国際通貨基金(IMF)の専務理事の顔にパイを押しつけるという事件が起きており、治安当局は、そのようなハプニングを防ぐため、今回は警備を厳重にすると見れれている。


[BANGKOK SHUHO]