チャートタイ党、内紛激化
幹事長が離党表明
世論調査
チュアン政権のイメージダウンに
タイラックタイ党が「ラブコール」
サナン副首相兼内相(民主党幹事長)が虚偽の資産報告をしたとの容疑で閣僚・議員を辞任したのを受け、チュアン首相(民主党党首)は内閣改造を実施した。今回の改造では与党第三党・チャートタイ党が幹事長のポストにあるポンポン農相を更迭するなど、同党の内紛を白日の下にさらすことにもなっている。ポンポン氏はその後、幹事長を辞任するとともに、チャートタイ党からの離党も表明しており、現在、タイラックタイ党(タクシン党首)から「ラブコール」が送られている。一方、今回のチャートタイ党の人事に関する世論調査では、「チュアン政権のイメージダウンを招いた」との意見が約半数を占めている。民主党としては総選挙を間近に控えたこの時期に、思わぬ「痛手」を被ったともいえそうだ。
チュアン首相は、現政権の任期が残り少ないことから、連立与党各党に対して改造を最小限にとどめるよう要望していたとみられている。しかしチャートタイ党は、幹事長のポンポン農相を更迭したほか、副首相、副内相、副交通相、副労働社会福祉相、副農相を入れ替えるなど、思い切った改造人事を断行した。
今回の人事に対して、ポンポン氏は「事前に何の説明もなかった。これまでに党内で農相としての仕事を批判されたことはない」と更迭の理不尽さを訴えるとともに、「今のチャートタイ党は過去二十五年の歴史のなかで最悪の状態だ」とバンハーン党首を批判している。
チャートタイ党は一九七四年、ポンポン氏の父親であるプラマン氏や、チャチャイ元首相が中心になり結成した政党。初代党首にはプラマン氏が選ばれている。しかし同党はその後、「歩くATM」の異名をとるバンハーン氏が権力を掌握、かつての主流派であるポンポン氏のグループは、今では非主流派となっている。またバンハーン党首との不仲説は常に囁かれていた。
今回の更迭は、農業政策を巡り、バンハーン党首と意見が対立したためとの見方が一般的だ。特にアジア開発銀行からの融資問題では、その使途を巡り激しく対立、これがマスコミに大きく取り上げられることにもなっている。
同党首は十六日、更迭理由の説明のなかで、「ささいなことを無意味に騒ぎ立てた」とポンポン氏を痛烈に批判、さらに「農相としての業績はほとんどない」とも言い切っている。
しかしアサンプション大学がバンコク都内在住の千百二十人を対象に実施した世論調査では、ポンポン農相の更迭に批判的な意見が三八・一%と、容認派の二二%を大きく上回った。
野党第一党・新熱望党アディソン副党首も「どちらの言い分が正しいかは明白」と、ポンポン氏を擁護する発言をしているほか、週間『マティチョン』誌でも、「私物化された政党に未来はない」と、バンハーン党首の「独裁」を批判するコラムを掲載している。
ポンポン氏は幹事長を辞任するとともに、チャートタイ党を離党することを表明している。このため現在、タイラックタイ党が同氏に「ラブコール」を送っているほか、ポンポン氏の従兄弟であるコン氏が党首を務める国家開発党も、受け入れに積極的とみられている。
一方、前出の世論調査では、四一・九%が「今回の内閣改造でチュアン政権のイメージがダウンした」と回答、チュアン首相の指導力が問われることにもなっている。さらに、「政権に参加すべき政党」との質問には、二九・九%がタイラックタイ党と回答、民主党の一九・八%を上回った。
このため、仮に今回、ポンポン氏がタイラックタイ党に入党することになった場合には、次期総選挙で民主党のライバルと見なされている同党にとっては「棚からぼたもち」、また民主党にとっては、サナン氏の失脚とあわせて、「泣き面に蜂」といえそうだ。
(倉林義仁記者)
|